調査以来最大と言われるノロウイルスの流行。デジタルなウイルスには強いSFC生にも他人事ではない。今回のKFCはノロウイルスについて、予防対策も含めた簡単な知識をお届けする。


 15日(金)、Ω館で一人の学生が嘔吐した。果たして二日酔いが原因だったのか、単純に体調がすぐれなかっただけなのかはわからない。しかし、もしその原因がノロウイルスであったとしたら、対岸の火事では済まされない危険を秘めている。その理由について、そもそもノロウイルスがなぜそこまで騒がれるのか、簡単に説明していきたい。
 ノロウイルスが初めて確認されたのは1968年のことである。当時は、アメリカ合衆国オハイオ州ノーフォークで発見されたことからノーフォークウイルスと呼ばれていた。これが2002年の国際ウイルス学会で「ノロウイルス」と正式に命名され、現在に至っている。その分布地域は世界各国に渡る。
■感染経路
 感染経路は主に下記の2点が考えられている。

  1. ウイルスを持ったカキなどの貝類を食べることによる経口感染
  2. 感染した患者の糞便や嘔吐物による2次感染
     Ω館での嘔吐物は、その時点でトイレットペーパーによって処理された。これは望ましくない処理の方法である。なぜなら手にウイルスが付着した場合、経口感染の可能性が高くなるからである。さらにノロウイルスは乾燥すると空中に浮遊するため、これも経口感染につながる。事実、今月初旬には都内のホテルで、客の嘔吐物が付着したカーペットが原因と見られる300人を越える集団感染が起きているのである。
    ■症状
     潜伏期間は24-48時間とされ、急性胃腸炎の症状が現れる。症状は軽いものであるが、嘔吐、下痢、腹痛、微熱などを伴う。通常は1-2日で治癒し、後遺症もない。また、人によっては感染しても発症しない場合や、軽い風邪のような症状の場合もある。ただし、ウイルスは症状が消えた後も体内に残るため、2次感染に気を付けなくてはならない。
     現在、ウイルスに効果のある薬は存在しない。そのため対症療法がとられるが、特に脱水症状を避けるための水分補給が重要である。なお、厚生労働省保健局によると、下痢止め薬は、病気の回復を遅らせることがあるので使用しないことが望ましいという。
    ■予防
     ノロウイルスは逆性石けん(塩化ベンザルコニウム)や消毒用エタノールには抵抗性が強いため、消毒には注意が必要である。消毒に有効なのは加熱と次亜塩素酸ナトリウムであり、カキなどの貝類は中まで火を通すことで食中毒を防ぐことが出来る。
     Ω館の嘔吐物はその後、清掃員によって洗浄されたようである。しかし、SFC CLIPではSFC事務室に取材を行ったが、その洗浄がどのような薬品を使って行われたのかについては回答を得ることが出来なかった。もし適切な洗浄が行われていなかった場合、ウイルスが拡散し集団感染に発展する恐れもある。潜伏期間が過ぎる明日以降、もし体調が悪くなるといった場合は速やかに係りつけの病院で受診してもらいたい。