SFC高校から学外に出る坂道を下り、下った先を左に曲がり歩くこと1分。右手に、「手作りとうふ」と書かれた青い色の建物がみえてきます。今年で創業26年になるマルミツ食品という、豆腐やがんもどき、そしてあげなどを作って販売しているお店です。豆腐屋を切り盛りしているのは、草薙さんご夫妻。豆腐づくりへの想いや、苦労話など、奥さんにお話を伺いました。

◆豆腐に熱き想いをかけた、1人の男
現在のマルミツ食品としての創業は、昭和57年で26年目になりますが、最初に豆腐屋を開いたのは、今から45年も前のこと。草薙進さん(旦那さん)が小学校5年生の時、お父さんが始めたそうです。豆腐屋をはじめ10年経った頃に、その豆腐屋をやめ、そして友達と新たに豆腐屋を経営することになったそうですが、結局何年かしてやめることに。しかしながら、草薙さんのお父さんは、"もう一度豆腐屋をやりたい"という熱い想いがあり、当時サラリーマンをしていた草薙さんを誘い、現在のマルミツ食品を開いたのです。「先代から今も頑固に、受け継がれているのは、豆腐の'固さ'。丸い塗り箸でつかめる事、これがマルミツ食品の絹豆腐の固さです。」と草薙さん。

マルミツ食品の絹豆腐
◆マルミツ食品のこだわり
マルミツ食品のこだわり、それはとうふの固さと、国産大豆を100%使用していることです。国産大豆100%で作ることになったのは、草薙進さんになってからのこと。「今でこそ、食べ物についてこだわる人が多くなりましたが、今から25-26年前は、あまり気にもされていなかった」と草薙さんは言います。なんと、国産大豆と外国産大豆では、同じ30キロでも1袋の値段の差が1万円も違うことがあったそうです。それでもなぜ、国産大豆100%にこだわったのか?それは、外国産の大豆は害虫駆除のため、大量の薬品がかけられているとのことを耳にし、当時まだ草薙さんご夫妻の子供は幼く、"自分の子供に安心して食べさせたい"という想い、そして愛があったからなのです。
◆ 朝の3時からの豆腐
草薙さんご夫妻の朝は、とてつもなく早く、朝の3時ごろから仕事がはじまります。「冬場は寒いし、決して楽な仕事ではない。」と草薙さん。けれど、豆腐を売りにまわって家に帰ってくると、寒くても暗くなっても、130円握って玄関の前で待っていてくれるおばあちゃん。ママが書いたであろう注文の紙を持って、買いにくる幼い子供。みんなのその顔を見ると、"今日も休まなくて良かった、ままだ頑張らなくちゃ"と思うそうです。
◆豆腐についてもっと知ってもらいたい
近頃、豆腐を買いにくるお客さんの中で「その豆腐、生で食べられますか?」という質問をする人がいるそうですが、もちろん生で食べられるのは、みなさん知っていますよね?草薙さんは、豆腐職人として、"日本の食べ物である豆腐についてもっと知ってもらいたい"、という想いがあります。また、暑いときや寒いときにすぐエアコンをつくるのではなくて、体温を上げ下げする作用がある'健康食としての豆腐'も知ってもらい、との想いもある草薙さん。
◆おいしい豆腐の選び方
「おいしいまずいは、その人の育ってきた環境にあり、'味覚'は人それぞれ」と話す草薙さんですが、自分の舌に合う豆腐の見つけ方を教えてくださいました。まず、その店の(味付けしていない生の)オカラを食べてみることだそうです。オカラは、その店の豆腐の味がよくわかるからです。また豆腐の色の白さが大事だそうです。黄ばんでいるのは、大豆の灰汁が良く抜け切っていないのです。あと、豆乳を飲んでみるのも良いそうです。
◆ 草薙さんから一言
「毎年4月に、この遠藤の里では、竹炭祭りが行われていますが、今年も当店では豆乳のサービスをするつもりです。それから、そのときお手伝いして下さる学生さん、いつもありがとう」
◆草薙さんの豆腐を買うためには
SFC高校側にある、学外に出る坂道を下までくだり、左に曲がって約1分。

この車で、豆腐を売りにまわります。
もちろんお店で直接買うこともできます。

大きいがんもどき。携帯と比べると、大きいのがわかります。

フライパンで焼き、ショウガと醤油をつけて食べてみました。がんもどきは、中身がしっかりとつまっていて、甘みがありととても美味しいです。
SFCご近所コンシェルジュ番長:鳥越寛子(総3)

SFCご近所おさんぽレシピ 第12回
-おとうふの味噌漬け-

こんにちは、おそろい連載のご近所おさんぽレシピです。
ご近所おさんぽレシピでは、「あなたの腕でなく、おいしい素材で、料理はおいしくなる」の信念のもと、自然ゆたかなSFC周辺で買う食材でつくる、お料理レシピを紹介しています。
◆おとうふの味噌漬け
気をつけないと壊れてしまいそうなものを、そうっとそうっと扱う。なんだかどきどきする。そんな感覚を味わうことは普段なかなかなくて、おとうふを扱うまで、忘れていました。
今回紹介するのは、おとうふの味噌漬けです。1/2丁もの大きなおとうふを弱火でゆらゆら茹でて、ペーパータオルでつつむという作業は、「おっとっと、崩してしまいそう!」と、どきどきすることうけ合います。何かを大切に扱うってどういうことか、教えてくれると思います。
とはいえ、マルミツ豆腐は固めで崩れにくいおとうふなので、安心してつくってみてくださいね。それに、味噌漬けは、「味噌を買ってもどうせ余らせてしまうもん…」という人の、お味噌の消費方法としてもおすすめです。
-材料-(つくりやすい量)
マルミツ絹豆腐 さざ波 1/2丁
昆布 1枚
味噌 100g
酒 大さじ1
みりん 大さじ1
はちみつ 大さじ1
-つくりかた-
(1)鍋にお湯を沸かし、昆布を敷いて、豆腐を弱火で7分ほど茹でる。
(2)味噌、酒、みりん、はちみつを混ぜ合わせる。
(3)茹でた豆腐をペーパータオルでつつみ、皿などで重しをして5分おき、水気をきる。
(4)タッパーに(2)の半量を敷き、豆腐を入れて、のこりの(2)で豆腐を覆う。冷蔵庫に入れる。
(5)3日後くらいからおいしく食べられます。だんだん味が濃くなり、1ヶ月くらい持ちます。
SFCご近所コンシェルジュ台所番長:坂崎あゆみ(環3)