野球の慶早2回戦が行われた3日(日)、twitter上などで慶應生が早稲田の野球部を応援する様子が見られた。1勝1敗となれば、高い確率で慶應は4日(月)が休み。実際に3日は早稲田が勝利し、慶應は4日が休講となった。最終的に義塾が2勝1敗で勝ち越したが、慶應生は一時義塾野球部の勝利を願えなかった。これでよかったのだろうか。

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「早稲田がんばれーww」「早稲田さん神!」

SFCの制度では慶早戦が月曜日に予定されると、その時点で1限が休講。晴天になり試合が開催されると、それ以降も休講になる。

 今回はこの制度が裏目に出た。2日(土)の慶早1回戦で義塾野球部が先勝。もし翌日3日の2回戦、早稲田が勝利すると1勝1敗で4日に3回戦が予定され、休講の可能性が高くなるのだ。

 この結果3日の試合の前後、twitter上で慶應生が早稲田野球部を応援する「変な」現象が見受けられた。

 試合中には「早稲田がんばれーww」といった応援ツイートや「(義塾)野球部さん…休みが欲しいです」のようなあからさまな負けを期待するツイートが、試合終了後には「早稲田さんマジ神っす」「1勝1敗最高のシナリオキタコレ!」といった1勝1敗を賞賛するツイートがそれぞれ見られた。

 私は現地・神宮球場にいたが、そこでも「今日勝っちゃうと明日授業あるんだよね…」という声を耳にした。

休講を願う気持ちはわからなくもない

私も学生であるから休講を願う気持ちはわからなくもない。ちょうど6月の頭はレポートやグルワが立てこんできており、1日休みになるだけで結構楽だ。授業が20単位一杯ある1・2年生はとりわけそうだろう。

 加えて土日に慶早戦の応援に来ていると、事実上休みなく新たな1週間に突入することになる。体力的な面から考えて、1日休みが欲しいところだ。

 補講等のなんの不利益も被らず、月曜日が休みになると聞いたら、慶早戦が好きである私であってもかなりグラっとくる。この制度は義塾野球部が戦勝すると、悪いとわかっていながら早稲田を応援したくなる、悪魔のささやきのような制度だ。

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だが…彼らは大学生活をかけている

しかし、義塾野球部の立場に立ってみると非常に悲しい。彼らは4年間寮生活を送り、野球に大学生活の全てをかけている。取りたい授業もあっただろうし、普通の大学生のように遊びたい時もあるだろう。だがその誘惑を断ち切って、ひたすらに神宮の舞台、慶早戦の舞台を目指してきたのである。

 そして、慶應の名を背負って神宮に立つ。大学の名前を背負っている以上、半端なプレーは出来ないというプレッシャーは並大抵のものではないだろう。負ければ大学全体の士気にも関わる。

 そんな中、ただ1日の休講問題によって、神宮球場360度の多くの部分が早稲田の勝利を願う「超アウェー」になってしまう。慶應の名を背負っているのに仲間からも勝利を願われない。なんと悲しいことであろうか。

 野球部の面々もおそらく、twitterやFacebookのアカウントを持っているだろう。そこで試合終了後に「負けてよかった」などというツイートを目にするとしたら…考えるだけで苦しくなる。

問題は「気持ち」ではなく「制度」

もう休講が関わらなくなった4日の3回戦では純粋に義塾野球部に勝って欲しい、という声が多く聞かれたように感じる。自分の利益・休講が関わっていないならば、同じ大学に通う仲間の勝利を純粋に願うものだと思う。

 だが、目の前に1日、自分が不利益を被らずに休みになるかもしれない制度があったのならば、悪いと思っていながらも心の片隅で「休みにならないかな…」と願ってしまう気持ちも絶対に生まれる。この休講制度はその気持ちを作ってしまう面で非常に良くない。純粋な気持ちで応援できなくなってしまうのだ。

 きっと土・日と神宮に駆けつけて本気で応援したなら、月曜はクタクタだ。月曜に授業があったとしても、疲れきっていると思う。

 私案だが、義塾野球部が土曜の1回戦に勝利したのならば、月曜日はその時点で休みにしてしまえばよいのではないだろうか。1勝1敗なら応援に行けばよいし、2連勝なら慶早戦勝利祝賀日として休みにしてしまえば、今のような早稲田を応援する不思議な現象は起こらない。その分、夏休みに入るのを1日遅らせれば可能だろう。

 何よりも頑張っている仲間を心から応援できない制度は変えるべきだ。