2008年4月に入学し、3年と9ヶ月が経ちました。短いようで長かったこの大学生活ですが、この大学生活にはいる直前、父親とひとつ約束をしました。さっそく種明かしすると、それは「この4年間を自分のために使ってください」というものでした。それはどんな意味だったのか。それを踏まえた1年生、2年生、3年生、4年生を少し振り返り、僕なりの答えをまとめました。僕の4年間、面白いなぁ。

それはベタですが、父親とはじめていった居酒屋でした

「この4年間を自分のために使う」べき理由

理由は、こうです。大学に入るまで、小中高は親元で暮らし、その監視のもとで過ごしていました。完全に自分のためだけの時間は少なかったと思います。そして大学を卒業して、社会人になれば、仕事もあるでしょうし、なかなか自分のための時間はつくれません。それがおそらくお前の人生だろうと言われました。僕もそうだろうなと思いました。

 そんな人生の中で、この大学生活の4年間はまったく違うと、父親は言います。この4年間だけは完全に自分のもの、僕のものだということです。それは後にも先にも、ないだろうと。その4年間を、誰のためでもなく、自分のために使え、そういうものでした。

ひとつだけ条件

そのための基盤づくりとして、ひとつ条件というか支援策を父はだしてきました。それは「アルバイトをしない」ということでした。

 その理由は単純で、アルバイトで1時間1000円稼いでも、その1時間はその後1000円じゃ買えない。それじゃあ、この約束は意味がなくなる、どうしてもアルバイトをしたいなら、学費を払った上でしろ、ということでした。でもそれじゃあ僕は遊べなくなる、そう思いましたが、それに対し、ある程度の仕送りはするとまで言ってくれました。僕はその条件を守り、細々としたものを除き、基本的にアルバイトをしませんでした。もちろんこれは環境がそうさせましたが、上の約束を遂行する上で、とてつもないサポートになりました。

1年生、その意味に苦しむ

そんな約束をして挑んだ大学生活でしたが、はじめからつまずきました。「自分のために時間を使う」という言葉の意味が理解不能で、なにしていいかさっぱりでした。そもそも暇でした。アルバイトもせず、サークルもそこそこでした。自分のために使う時間とはなんのためか。それはスキルアップのためか、自分探しのためか、ただ楽しく過ごすためか。やりたいことも見つからないまま、ひどく悶々とする1年間でした。

2年生、とりあえず全部やる

悶々と悩み、1年生の10月頃、悩んでるだけじゃだめだなという当たり前の結論に達しました。しかし、じゃあどうする。方向性も決まらず、何をすればいいか。その時だした答えは、「全部やる」というものでした。とにかく目の前に転がるものは全部とびつきました。覚えてる限り2年生になる頃には、研究会に3つ入り、サークルに6つ入りました。とにもかくにも全部やってから考えて、前のめりに倒れるならそれでいいとしました。これは僕の性分にあっていました。もちろん頓挫してしまったものもありましたが、多くに大切な出会いがあり、実行する重要さを学びました。ただ、キャパオーバーになりました。

3年生、身辺をまとめ、再びその約束に悩む

3年生になり自分のキャパシティとやりたいことを照らし合わせ、優先順位をつけることがうまくなりました。それでも2年生に全部やった経験が活かせたか、たくさんのことをやることができました。その中で少しずつ本当にやりたいことをまとめていきましたが、3年生の後半に再びその「約束」に悩み始めました。結局、がむしゃらにやってるときは悩まず突き進んでいけましたが、まとめはじめると、これでいいのかと悩んでしまいます。

 また3年生になると、立場的に後輩等に指示などをする立場が多くなります。それは「自分のための時間」とはなんとなく違うような気がしました。しかもその頃、就活が始まりました。今を生きたいのに遠い未来の話をしている。相反する感覚が錯誤するなか、再び悶々とした日々が続きました。

4年生、自分のためが、人のため

そんな悶々としたなかも、4年生になる前に就活を終えることができ、再び自分の時間に戻ることができました。そしてその頃やっと、父親との約束を理解し始めることが出来ました。
 
「自分のために時間を使う」と言っても、それをある程度生産的に過ごそうとしたら、自分のためだけには使えません。どうしたって誰か「人」が絡んできます。そんな、ともすれば人のために使う時間のなかで、自分にとってどうプラスにできるか。そして自分のために使う時間で、どうやって人のためになにか出来るのか。このふたつをマッシュアップしていきながら、時に自分のため、時に人のため、いちばんいいのは、みんなのため。これが最高の「自分のための時間」だと考えることができました。

 自分のため、人のため、それはきっちり片方だけを達成させるなんてことは不可能です。自分のためにやってたことが、周りを巻き込むうちに人のためになり、そしてそれは回りまわって自分のためになったりする。そして自分のためが、だんだん人のためになってくる。そうして僕は、とてもステキな4年生を送ることができました。


 この約束を、僕は自分のなかにしっかりと置いておきました。結果、自分なりの答えが3年とちょっとでだせたと思います。でもこれはおそらく変わっていくと思います。
 ときどき後輩等に、大学に入ってなにをすればいいのかと聞かれます。その時に本当はこの父との約束を言いたいのですが、なかなか伝えるのは難しかったです。なのでいつも短絡的なアドバイスに留まっていました。でももしも、これを最後まで読んでくれる方がいたら、僕はこう言いたいです。

「大学生活を、自分のためだけに使ってみたらどうですか?」