前回の記事、今更ながら写真のお話「光を取り込むしくみ」では、絞り、シャッタースピード、感度のお話を書いてみました。今回はこの一つ目、絞りから話を進めてみたいと思います。いわゆる「ぼけ」を決める要素、考えてみましょう。

レンズ自体の明るさ

前回の記事では、絞りがレンズの光の取り込み量を操作すると書きました。では、絞りがなければ…? そう、レンズによってもこの光の取り込み量は変わります。レンズ自体の大きさも様々、ズームレンズもあれば単焦点もあり、これが違いを生みます。
 この度合いを知る事ができるのが「f値」。レンズの性能表に書かれているf値(開放f値)は、絞りを一番開いた状態の「f値」が書かれています。f値は小さければ小さいほど、より明るく光を取り込むレンズと言えます。

開放f値の表示開放f値が3.5-4.5のレンズ(ズームによってf値が変化するレンズの例)

ここでもう一度、絞り

ここでもう一度、絞りを振り返りたいと思います。絞りはレンズ内の調整機構。穴を広げたり狭くしたりすることで光量を調整します。絞りを一番開いた状態ではレンズ自体の明るさとなり、絞りを閉じていく事でf値が大きくなり、暗くなっていきます。つまり、レンズの絞りを閉じていく事で光を集める面積を狭め、光の取り込み量を抑えていく事ができるのです。

絞り開放と絞り込み左:絞りを開いた状態、右:絞り込んだ状態

f値で変わるもの、被写界深度

f値で変わるのは明るさだけではありません。冒頭で書いた通り、ぼけとf値にも関連があります。まとめれば、f値を小さくしたほど(絞りを開放するほど)ぼけが大きく、大きくすれば(絞りこむほど)ぼけが小さくなります。ぼけの大小、逆に言えばピントが合っているように見える範囲(被写界深度)が変わるということ。

f値1.8にて撮影 f値1.8にて撮影。ピントを合わせたCキーのみが写る。 f値8にて撮影 f値8にて撮影。全体がくっきり写る。

レンズのf値と絞りによる調整で明るさだけでなくぼけが変化するのです。絞りを開いてf値を小さくすれば大きなぼけが得られますし、逆に画面全体にあたかもピントがあっているようにしたければ、絞りをなるべくしぼって試してみましょう。実際の一眼レフカメラではダイヤルをAやAvに合わせて利用する、「絞り優先」の設定があります。詳しくはマニュアルなどを見ていただきたいのですが、このモードは設定した絞りに合わせてオートで撮れるのでぜひ試してみてください。