SFCの入試が終わり、今年度の合格者が決まりました。僕がSFCに入って一年が経ちました。一年間で、なにもわからない状態から今に至るまで、何を得られたのか、何を感じたのか。そのすべてを書くにはまだ時期尚早のようです。しかし、SFCでうまくやっていくために「これだけはおさえておくべき!」ということが、おぼろげながら見えた気がします。

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今回は、主にこれからSFCに入る新一年生のみなさまにむけて、「SFCに入ったことを後悔しないこと」をテーマに書いていきます。どんな心構えでいればSFCを楽しめるのか、大学を有効に使えるのか。主観ではありますが、ぜひ参考にしてください。

みなさんは変わります。まちがいなく。

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まず認識しなければならないのは、「大学生は高校生と違う」という当たり前の事実です。言うまでもなく、大学というのは自ら学ぶ場所です。きっとみなさんが思う以上に、自主性が問われる場所だと思います。僕が入学したてホヤホヤの新一年生だったとき、「自分で学びたいことがある!それが学べるからSFCに来たんです!」なんていう人がたくさんいました。
 たしかに学びたいことはあるでしょう。そうでなくては大学に入る意味がない。入学して二ヶ月ほどは「興味分野はなんですか?」なんて言葉を耳にタコができるほど聞くことになります。
 ですが、ここで強調しておきたいのは、「環境が変われば人も変わる」というもうひとつの当たり前の事実です。これを抜きにして自主性は語れません。
 みなさんは新しい環境に入ります。なかには一人暮らしをはじめる人もいるでしょう。あなたの周囲にいる人は高校のときのように、あなたと同じことを学ぶわけではありません。なにを学べばよいのかを教えてくれるカリキュラムもありません。手とり足取り学ぶときは終わったのです。それを自覚しなければなりません。「言うは易く行うは難し」で、これができないためにうまくいかない人たちをたくさん見てきました。新一年生のみなさんは、自分が変わる、そして自分だけでその変化に対応しなければならない、という2つの事実に覚悟をしておいてください。

変わる自分を認識し、変わらない自分を築こう

ずいぶん乱暴な言い方をしてしまいましたが、いいかえれば、高校生までの自分だけをベースに大学生としての自分の理想像を作ってしまうと危ないよ、ということです。変化のブレが大きくなってしまうので、変わる自分に追っついていかないということになる。経験上、高校の時に成績が良かった人や活動的だった人ほど、大学での理想像との乖離に苦しむことになるようです。かといって、高校生までの自分をまるで無視し、大学生としての自分ばかりを受け入れてしまうと、サークル、バイト、勉強、なにごとにも中途半端な人間になってしまうようです。せっかくSFCに入ることになったのだから、最良の状態で大学を卒業したいものです。
 こういったことを散見するにつけ、私は次のようなことを考えていました。それは、「自分自身をしっかりと見直し、先を見通したうえでのなりふりに一貫性があって、自分自身をポジティブに受け止めてあげればいいんじゃないかなぁ」ということ。わかりやすく言えば「世界観をもつ」ということ。
 私見ですが、大学を楽しんでいるな、と思う友人たちに共通しているのはこのことです。変わっていく自分を冷静に見つめ、環境の変化をポジティブに包みこんでいくことができる人たちは、「SFCに来たことを後悔しない」ように見えます。

「世界観をもつ」

(無題)

僕は、自分が変わっていくということに良いも悪いもないんじゃないかと思います。むしろ大事なのは、その変化をポジティブにとらえることができるかどうか、というところなのではないでしょうか。
 大学に入る年齢にもなると、自分に対して思い描く理想のイメージも具体化してくることと思います。しかし、具体的であるがゆえに、理想像が崩れ去ったときには脆い。僕は、理想像は曖昧でもいいと思います。何度も言うようですが、大学に入ったらみなさんは変わっていくのですから。
 変わる自分を認識し、軸となる自分を構築していく。これこそが「世界観をもつ」ということです。
 世界観がある人は、自分がいない場でも話題の中心になるくらい、キャラクターを持っています。そのキャラは決して作られたものではなく、世界観からにじみ出てくるものです。意外でしょうが、作られたキャラクターというものはすんなりと見破られてしまうものです。
 どんな決断をくだすのも自分。これが大学生です。自立できていない(=世界観を持たない)人間が大学でやっていくのは、正直かなり難しいですよ。