SFCの研究成果を内外に広くアピールし、産官学連携活動の活性化を図る年に1度のイベント「SFC Open Research Forum (以下、ORF)」が、今年も11月22日(水)・23日(木)に開催される。11回目を数える今年は、昨年までの六本木ヒルズから丸の内に会場を移し、内容も一新されるという。
 開催地を丸の内に移転した背景は? そして「丸の内で何やら大きなことをやるらしい」と噂されている肝心の内容は? 今年度の実行委員長を務める國領二郎総合政策学部教授に話を聞いた。


2006年のORFのテーマとその狙いを教えてください。
 今回の大きなタイトルは「現代リアル学」です。慶應義塾150周年に向けて、新しい時代の実学をつくりたい、という意気込みを込めています。
 SFCは創設から現在まで、インターネットの分野、いわゆる「バーチャル」の世界に関して強烈なメッセージを送ってきたキャンパスです。そして今、SFCがこれまでに培ってきたものを、人々の日常生活、いわゆる「リアル」な世界に対して訴えていく局面を迎えています。私たちが日々生活しているリアルな空間とバーチャルの空間とを、いかに有機的に連携し安全で豊かな社会を生み出せるか、がSFCの大きな課題になっているのです。この課題に対するSFCなりのビジョンを社会にアピールすると同時に、「私たちと協同して課題に取り組みましょう」というメッセージを、今回のORFではより積極的に発信したいと考えています。
なぜ、丸の内を開催地に選んだのですか?
 丸の内という場所から、SFCとして情報発信することの価値を考えました。六本木ヒルズにはいわゆる「バーチャル」の世界でフロンティアを切り開く企業が集まっていますので、これまでのORFのコンセプトとも合致していました。一方、丸の内には現在の日本の「リアル」な世界をかたちづくってきた、産業の中核となる企業が集まっています。SFCとしては、いよいよ「彼ら」を動かしたいんです。「リアル」な世界のど真ん中で生きてこられた人々に働きかけ、「バーチャル」な世界の可能性を呼びかけたいのです。
具体的には、どのような方法で呼びかけるのですか?
 街の中に入り込みます。六本木ヒルズで開催したときには、ビルのワンフロアを借り切ってデモンストレーションなどを行ないましたが、今年は一般の人々が行き交う道路、オープンスペース、商店街、街中に設置されているプラズマビジョンなどを活用したいと考えています。リアルな場で、リアルな組織の人々とSFCが語り合える場をつくりたいのです。
訴えかける層が圧倒的に広がりますね。
 そうです。これまでは「ORFに参加しよう」と思って来場する人々がターゲットでしたが、今年はたまたま通りかかった人にもアピールしたい。丸の内で開催するということは、「たまたま通りかかった人」が、実は日本の基幹産業を支えている人であるということです。彼らをいかにキャッチし、「SFCと何かやってみよう」と思わせるか……これが今回の難しい挑戦であり、また同時にこれまでにない大きな可能性を感じさせるポイントです。
どのような研究発表が行われるのか、教えていただけますか?
 現時点ではアイデアを募っている段階です。SFCの各研究室や、丸の内の人々との話し合いをすすめながら、企画を具体的にする予定です。
これから明らかにされる、具体的な計画に注目したいと思います。最後に、SFC CLIPの読者にメッセージをお願いします。
 まずはORFに参加してください。そして一緒に世の中を動かしましょう。SFCは社会とともに社会をつくり、またその活動を通じて学びも深めていくことを目指しています。今年のORFはSFCの「研究成果発表会」に終わるのではなく、SFCと社会が協同するきっかけづくりの場でありたいと思っています。
受験生も参加できますか?
 もちろん。誰でも参加できる場をつくりますので、是非いらしてください。
ありがとうございました。