20日に行われた記者会見で、SFC研究所、インテック、J:COM、ブロードバンドタワー、ワイドリサーチによる合同会社「湘南オープンワイヤレスプラットフォーム(仮称)」の設立が発表された。これは、藤沢市を拠点に、地域WiMAXの新しい使い方・ビジネスを開発していくことを目的とて設立される会社だ。


 誰もが自由にサービスを発想・実現できるオープンなWiMAXネットワークプラットフォームを提供し、これ利用した技術やビジネスモデルの実用化を促す考え。来年4月から運用を開始し、初めはSFC-湘南台駅間のバス路線沿いにサービスを提供する。また、SFC研究所では「アンワイヤード研究コンソーシアム」を設立し、実証実験などを行っていく。

プレス発表

2日目に行われたセッション「ICTと地域活性化の未来を語る 次世代に"使われる"インターネットの設計 -地域との融合と3つの開発キーワード-」では、國領二郎SFC研究所長が司会を務める中、村井純環境情報学部教授、中村修環境情報学部教授、三次仁環境情報学部准教授が登壇し、今後の藤沢市でのWiMAX技術を生かした地域開発について語った。
 まず、海老根靖典藤沢市長が映像中継で登場し、現在の藤沢市でのICT活用事例を紹介。「一生住み続けたい湘南藤沢」を作るには、行政が自立し責任を持つこと、また行政と市民の協働が不可欠であり、市民にできることは市民でやる、現地だけで問題を解決できるようにすることが重要とし、役所ではなく、現地で考える「市民力」「地域力」をいかした街づくりをしていきたいと述べた。

セッション

その後のパネルディスカッションでは、教授陣によって今回のWiMAXプラットフォームについての詳しい解説がなされた。
 まず中村教授は、今回のWiMAXプラットフォーム開発に関わったきっかけとして、「地域や人に優しい、人に近いインターネットはできないか?」と思った時に、無線ならば面白いことができるかもしれないと考えた、と語った。
 無線は、届く距離に限界があるため、逆にそのエリアだけでの深いコミュニケーションができ、生活空間と密接に関係することが可能。さらにピアツーピア型のインターネットに比べ、無線通信はやっぱりブロードキャスタブルであるとし、無線を利用することで地域に密着した情報空間を作ることができるという。
 次に村井教授は、今回のWiMAXプラットフォームがインターネットの中でどういった位置づけ・役割を果たすのかを語り、人間のコミュニケーションのためだけでなく、天気や気温といったものを感知して人間に役立つ情報にするセンサネットワークとしての役割や、広告メディアとしての役割に言及した。
 また重要なのは、市民が自分で新しいインフラを作るという挑戦であることだ、と語った。
 三次教授は、簡単に無線等様々な技術を使うことができるような時代になり、個人で開発できることが増えているが、それらの成果を後で繋げられるようなアーキテクチャを作ることが大事だと語る。今回の計画で、行政・企業・個人を繋げるようなことをしていきたい、と述べた。
 これらを受けて海老根市長は、誰もが生きがいを持って生きることのできる街「エイブルタウン」をWiMAXならば作ってくれるのではないかと思う、と期待を寄せた。

アフタートーク