10月28日、金正勲政策・メディア研究科特任准教授が「私(ジョン・キム)の経歴問題に関する説明」というページを公開。慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究(DMC)機構特任准教授及び、米国ハーバード大学インターネット社会研究所客員教授という肩書きを、誤って用いていたと認め、謝罪した。



問題の経緯


 事の発端は、5月27日にブロガーのやまもといちろう氏が書いたブログ記事「ジョン・キム先生(金正勲)が派手に経歴詐称をやらかした件で」だ。やまもと氏は、「ハーバード大学客員教授」という経歴に疑問を持ち、ハーバード大学と実際にやり取りし、疑問点をこの記事にまとめた。
 同日、金特任准教授は、経歴の「ハーバード大学客員教授」を「ハーバード大学visiting scholar」に、現職の「慶應義塾大学准教授」を「慶應義塾大学特任准教授」に訂正した。

 ハーバード大学の「visiting scholar」という肩書きは、日本語では「訪問研究員」または「客員研究員」と訳されるのが自然。また慶應での肩書きも、今年の3月以前は「特任」を外した肩書きを用いる事も許されていたが、4月から慶應の内規変更によって、「特任准教授」と正式な名称を使う事が義務づけられていた。これら2つの肩書きは、5月25日に出版された金特任准教授の著作『媚びない人生』にも表記されており、多くの人の目にも触れた。



 その後、大学当局は調査を進め、7月17日に金特任准教授に対し「厳重注意」という形がとられた。注意の対象となったのは、先述した「ハーバード大学客員教授」と「慶應義塾大学准教授」、そして「オックスフォード大学上席研究員」という肩書きだ。
 「インディアナ大学博士課程修了」「欧州連合標準化戦略専門委員」などの肩書きにも疑わしい点が認められたが、処分の対象にはならなかった。



 SFC CLIP編集部はこの問題について繰り返し取材を行い、金特任准教授本人にもメールで説明を求めたが、返答は得られなかった。今回の謝罪は、金特任准教授による初めての公式説明となった。

謝罪とこれから


 また、SFC CLIP編集部の調べによると、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所に設置されている金特任准教授のゼミは、来年度から開講されないことがゼミ生へ発表されたという。
 厳重注意から約4ヶ月が経ち、金特任准教授のホームページのリニューアルと合わせて公開された今回の謝罪。ゼミの解散についてはまだ公式発表は為されていないが、また新たな動きがあるかもしれない。