15日(水)3時限、Ω21で、南米最南端よりアラスカ、シベリアを経由してタンザニアを目指す7年間の旅、「グレートジャーニー」で有名な探検家で医師の関野吉晴氏が、「グレートジャーニー:人類400万年の旅の足跡をたどって」をテーマに講演を行った。関野氏の旅の様子はフジテレビの「グレートジャーニー」で95年3月から  放映されている。


 「『布を織る』感じで旅をしたかった。目的地を決めたら、そこにある  程度滞在し、長い間人々と交流して寄り道をしながら旅をしたかった」と関  野氏。講演では、旅先で撮った写真をスライドで紹介しながら、特に印象的  だったエピソードなどを語った。
 今回の講演は、SFC研究所研究委員であり東京医科大学の公衆衛生学の職員の大塚幸四郎氏の紹介により、小泉信三記念講座として実現。
 Ω21はほぼ満員で、聴講者は150人ほど。珍しい体験談に、笑いや感嘆の声も漏れ、会場の反応も上々だった。
 「グレートジャーニー」とは、人類の祖先が故郷のアフリカから歩き出し、400万年をかけて南米の南端に至った長い道のりことだそうで、それを自分の腕力・脚力で辿った関野氏は、伝統的な生活、自然に溶け込んだ生活をしている人々と交流しようとしたと言う。医学部を出ているため、長く滞在した所では医療交流もあったそうだ。
 学生の「異なった社会システムを見てきて、住みたいと思った所、楽園は最後にみつけられたか?」という質問に対して、関野氏は「平等な社会、アマゾンなど長く滞在したい所はいっぱいあったが、やっぱり自分は旅をしていたい。家族と一緒が一番だし楽園は当たり前のことができ、最低限のことが備わっている自分の生まれた所だと思う。探すのではなく、むしろ作っていくものだ。」と、旅の果てに気づいた自分の場所の大切さを話した。
《プロフィール紹介》
【関野吉晴(せきの・よしはる)氏】
 1949年、東京生まれ。1975年、一橋大学法学部卒。1982年、横浜市立大学医学部卒。1971年、一橋大学アマゾン全域踏査隊長として南米に行く。その後南米のアマゾン、アンデス、パタゴニア、ギアナ高地などを踏査する。1993年より2002年2月まで、南米最南端よりアラスカ、シベリアを経由して東アフリカに至る「グレートジャーニー」を行う。現在武蔵野美術大学教授(文化人類学)。著書に「南米大陸」「ギアナ高地」「グレートジャーニー1~8」など。1999年に植村直己賞、2001年に旅の文化賞を受賞している。