15日(金)、日吉・三田を中心に活動するサークル、経済新人会の主催する李登輝前台湾総統の講演会が中止されることがほぼ確実となった。


 経済新人会は、11月24日(日)に赤坂プリンスホテルに李氏の講演会を予定していた。しかし、15日夜に李氏がビザ発給をめぐる問題を受け、訪日を断念するコメントを発表したため、事実上中止せざるを得ない情勢となったためだ。
 日吉・三田を活動拠点とし、総勢200人規模のサークルである経済新人会は当初、今年の三田祭のおける発表の一環として、11月24日(日)に李氏の講演会開催を計画していた。その後、10月2日(水)に一部マスコミにこの企画が報道されたのをきっかけに、三田キャンパス常任理事などをはじめとする大学当局が気付き、慶應義塾として学術交流のある中国に対する配慮、李氏訪日に関わる安全性の問題などの理由から、企画の中止を経済新人会に促した。
 これを受け経済新人会は、あくまで三田祭における李氏の講演会を開催する姿勢を示したが、大学当局の意向を受けた三田祭実行委員が三田祭における李氏の講演会を許可しなかったため、やむを得ず、場所を赤坂プリンスホテルに移し講演会を開催する予定だった。
 しかし、訪日に必要な李氏のビザをめぐって、外務省の「私的な訪問と評価することは困難」などの理由から発給の困難が必至となり、15日(金)に李氏本人が訪日を断念するコメントを発表した。このため、現段階では経済新人会から公式的な中止の告知はでていないが、講演会の実施を諦めるのはほぼ確実となった。
 SFC CLIPの取材に対し、三田キャンパスに通う学生からは「大学当局と三田祭実行委員の関係が不明瞭」という声が聞こえた。その一方で、経済新人会についても、「内部ではこの講演会実施をめぐって温度差があるのではないか」という話が聞かれた。