12日(木)2時限目、Ω21にて、米国サイバー法研究の第一人者として知られる、ローレンス・レッシグ氏(スタンフォード大学ロースクール教授)が講演を行なった。これは、「ネットワーク社会論」(國領二郎・慶應ビジネススクール教授、環境情報学部兼担教員担当)の特別講義として行なわれたもので、履修者など約200名が熱心に耳を傾けた。

講演では、インターネット上の「property(所有権)」をテーマに、米国におけるインターネットの現状と展望が語られた。まず、レッシグ氏は、自らの経験を交え、検索エンジンをはじめとしたネットワーク技術により、コンテンツを特定の個人が所有するという概念が薄れていることを述べた。そういった環境の変化にも関わらず、現在の著作権保護の流れによって、インターネットの本質である「End to End」のモデルが矮小化されていく現状を批判した。そして、「Pay through Ad」、「Pay Per Click」などの例に触れ、権利保護に固執するのではなく、ユーザが無料でコンテンツを利用しても成り立つビジネスモデルの構築の重要性を説いた。その1つの事例として、自身が取り組む「Creative Commons」の活動を紹介した。
 講演の最後には、国領教授からレッシグ氏に、SFC生協販売のSFCオリジナルマスコットなどのお土産が渡された。
 【ローレンス・レッシグ氏=プロフィール】
  米イェール大学ロースクール卒業。最高裁判所の裁判官の書記を務めた後、シカゴ大、ハーバード大学などを経て、現在スタンフォード大学ロースクール教授。主著に「CODE-インターネットの合法・違法・プライバシー-」、「コモンズ-ネット上の所有権強化は技術革新を殺す-」など