26日(木)2限κ23にて、元三重県知事・北川正恭氏が講演を行った。この講演は、加藤秀樹・総合政策学部客員教授の担当する「政策デザイン論A」内のゲストレクチャーとして実現したもの。革新知事として名を馳せた北川氏の講演とあって、当日は、授業を履修していない学生も多く集まり、熱心に耳を傾けた。


 講演のタイトルは『地域自立と政策マニフェスト』。「マニフェスト」とは、政権公約と訳され、「選出された場合に行う政策の約束」である。従来の選挙で叫ばれてきたような、スローガン(Wish List)とは違い、きちんと政策の期限、財源、数値といったものが明記された、工程表を作る必要がある。選出された議員や首長が政策を達成したかどうか、「マニフェスト」と照らし合わせて見ることが、次の選挙時の投票基準となる。
 北川氏は「マニフェスト」提示は、政策中心の選挙へと転換することが、従来型の官僚主導の国家を脱するために必要であることを主張した。また、選挙で投票する側である我々も、無責任に投票するのではなく、自らの意思の表明として投票し、自己責任を果たすために必要である、と述べた。同時に、国が財源を握る制度下では、知事はマニフェストを作れないことから、地方分権の必要性についても述べた。
 県知事選への不出馬を表明した際には国会進出を狙っているのではないか、と噂された北川氏だが、「内閣に入ったり国会議員になったりするつもりはない。これからは第三者的な立場から政治に参加していきたい」と語った。
 
 【北川正恭(きたがわ・まさやす)氏・プロフィール】
1944年、三重県鈴鹿市に生まれる。三重県議を経て、83年から衆院議員。95年4月、三重県知事選に初当選。在任中は「地方分権研究会」発足・「事務事業評価システム」の導入など精力的に活躍。 03年の2期満了に伴う知事選に不出馬を表明し、退職。現在は早稲田大学教授を務める。