22日(火)に冨田勝研究会の佐藤みさきさん(総4)と梅木瞳さん(環2)が中心となり研究してきた内容が、国際論文誌Bioinformatics誌に掲載された。


 先端生命科学研究所のプレスリリースによると、研究結果は現在の「遺伝子」の定義を変える可能性を秘める大きな成果とのこと。
 通常、遺伝子配列情報からたんぱく質が合成されるとき、ひとつの遺伝子情報の終結を意味する「終止コドン」と呼ばれる3塩基の配列(TAA, TGA, またはTAG)が現れると合成プロセスを終了し、たんぱく質一分子の合成が完了する。
 ところが、終止コドンがあるのにもかかわらずそれを読み飛ばし、たんぱく質を合成し続ける不思議な現象が存在することが知られていた。この現象は「リードスルー」と呼ばれ、ごくまれな例外的な現象またはエラーだと考えられていた。
 冨田勝研究室では、コンピューターを駆使してショウジョウバエのゲノム配列を網羅的に解析することにより、終止コドンの下流にもたんぱく質の機能配列が頻繁に存在することを明らかにし、「リードスルー」と呼ばれる現象がかなり頻繁におきている可能性を、明らかにした。
 さらに研究はリードスルーがエラーではなく、生命活動の一環として積極的に行われていると考えられることを示唆している。「遺伝子」とは終止コドンまでの配列のことを指すので、この研究結果は「遺伝子」の定義を変えてしまうことになるかもしれない。
 佐藤みさきさんは「国際論文誌に発表できてとてもうれしい。今後はマウスやヒトゲノムで同様の解析を行ってみたい」とコメントしている。また、共著者である斉藤輪太郎環境情報学部専任講師は「学部生がこのような大きな研究成果を出したことは快挙だと思う」とコメントしている。