7月31日(火)、SFCではオープンキャンパスが開催された。SFCに興味を持つ高校生やその保護者を中心に、多くの来場者が詰め掛け、SFCに普段とは違う光景が広がった。


 SFCオープンキャンパスは、國領二郎総合政策学部長と村井純環境情報学部長による講演で始まった。会場はθ館とΩ館の2つに分けられ、θ館では村井学部長、Ω館では國領学部長が登壇。2つの会場をビデオ中継で繋ぐ、という形が取られた。講演は、両学部長の日本語と英語による挨拶で始まり、それぞれSFCに対する思いを語った。



 村井学部長は「長い歴史と伝統をもつ慶應義塾の中で最も新しいSFCは、1番新しいことをやるというコンセプトのもと、学際的な教育を行うことを目指したキャンパスです。2つの学部がそれぞれ別の教育をしていると勘違いされることが多いですが、入り口が違うだけで一緒に教育や研究をしています。

 また、カリキュラム上の違いがほとんど無いにも関わらず、SFCの学生は多様性に溢れています。それぞれが好きなことを自信を持って研究できます。そして、多様な研究を行うために、あらゆる分野の専門家がおり、学生と一緒になって研究に取り組んでいます。そんな他にはない新しいキャンパス、それがSFCです」と話した。



 國領学部長は「このSFCは、慶應義塾創立125年の記念式典で、当時の石川忠雄塾長が『21世紀は世界が繋がって連動していく個別による問題解決は難しくなる』と語った大演説がきっかけとなって設立されたキャンパスです。

 今日の社会問題は非常に複雑で、例えば、環境問題に取り組むにしても、自然科学や経済学、その他様々な知識が必要となります。

 自分1人でその全てを学習するのは不可能に近いです。自然科学なら自然科学、経済学なら経済学と、何らかの専門分野を持った人同士が、同じキャンパスで一緒になって学び、共に研究に取り組むことが必要なのです。環境情報学部と総合政策学部という2つの学部の中にいる人たちが、一緒になって様々な問題に取り組んでいる、それがSFCだと思います。」と話した。

國領二郎



 参加者は、両学部長が話すSFCのコンセプトや教育理念に聞き入り、また時折笑いが起こった。最後に、両学部長は今日1日をぜひ楽しんで欲しいと語り、講演は終了した。



 SFCオープンキャンパスでは様々な企画が開催された。中には学生が中心となって行われたイベントもあり、来場者に向けてSFCのことを伝えようとしていた。多くの企画があるが、その中からいくつかを紹介する。


学生ガイドプレゼン


 θ館では、学生によるSFCの紹介が行われていた。参加した高校生達は最初こそ緊張した面持ちであったが、登壇した2名の司会者のトークに緊張はほぐれ、次第に笑いが起こるようになっていった。
 コンテンツは、SFCクイズからはじまり、多方面で活躍する現役SFC生のメッセージやSFCのサークル紹介など、SFCの魅力を伝えるため考え抜かれたものだった。高校生はSFCに入学した後のことも真剣に考えている様子だった。

学生ガイドプレゼン



卒業生セッション


(無題)


 θ館ではその後、両学部長とSFC卒業生が、卒業後の進路やSFC卒業生の活躍を紹介するセッションも行われた。会場は、将来SFC生になるであろう中高生だけにとどまらず、多くの保護者が詰め掛けた。
 セッションの前に、村井学部長は「以前SFCの卒業後進路に関する記事が書かれ、SFCは就職に弱いという印象を持たれているかもしれないが、そんなことはない。その記事で書かれていた就職状況の悪さはについては、ただ単にSFC生の進路届提出率が高くないことが原因だ。多くの卒業生が社会で活躍している」と力説。
 セッション内では、来場者からの質問を中心に卒業生の活躍を紹介し、中高生や保護者の不安を解消していった。高校生以上に一緒について来た親御さんも真剣な表情で聞いていたのが印象的だった。

英語模擬授業


 λ館の小教室では、「SFCプロジェクト英語一日入学」と銘打たれた体験授業が行われていた。この授業に集まった高校生は約50人。座席は全て埋まり、多くの立ち見が出る程の大盛況だった。高校生の英語教育への関心の高さが伺える。
 授業の内容は、英単語「valid」の複数の定義に関しての精講。多くの単語を暗記することが重視される受験英語とはひと味違った内容で、高校生たちも熱心に聞き入っている様子だった。また、授業中には何度も先生が高校生に発言を求める場面が見られ、非常にインタラクティブな時間となっていた。

英語模擬授業



コンピュータとネットワーク講座模擬授業


 コンピュータとネットワーク講座「実空間と情報技術—身の回りの環境をプログラミングする」では、主に位置情報の取得と活用に関しての講義が行われた。講義は実際のコードの書き方にも踏み込んでおり、高校生を対象とする模擬授業としては比較的専門性の高い内容であった。
 しんと静まり返った教室の中では、恐らくは情報技術に高い関心を持つであろう高校生たちが、食い入るように授業を聞いていた。途中、先生がiPadを取り出して、傾きや移動の検知を実演する場面もあり、初学者にもわかりやすいように配慮されているという印象を受けた。
 情報系の教育は、いわばSFCの「お家芸」である。その片鱗を、今回の模擬授業は伝えていた。

質問を受けている場面



 この他にも、SFC Open Research Forumで公開している研究成果物の展示や、資料配付、メディアセンターの開放などが行われており、どの企画にも多くの中高生やその保護者が参加していた。炎天下にも関わらずSFCについて懸命に話を聞く中高生や保護者の様子は、普段とは違う雰囲気をもたらしていた。