奥田敦研究会は4日(日)から、第11回アラブ人学生歓迎プログラム(ASP2012)を開催している。アラブ諸国から日本語を学ぶ学生を招き、スキットビデオ撮影などを通じ、相互に言語と文化を学び合うことが主な目的だ。

挑戦


 今年度のテーマは「アラブと踏み出す新たな一歩-実践型学術交流の挑戦-」。民主化運動による政治的騒乱の続くアラブ諸国、東日本大震災から約1年半が経過した日本、双方が未来に向けて新たな一歩を考える。その思いは、デザインパーカーの「挑戦」の文字にも表れている。

デザインパーカー


日本文化の体験


 アラブ人学生はSFC生と一緒に約2週間、アラビア語ディスカッションや母国についてのプレゼンテーション等、着付けや茶道などの日本文化体験を通して交流する。和服を身に纏ったアラブ人学生は、時代劇をまねて写真を撮ったりと、とてもにぎやかな様子で楽しんでいた。

着付け


日本語レポート最終発表会


 16日の奥田敦総合政策学部教授の講義「現代文化探求」にて、アラブ人による日本語レポート最終発表会が開催された。これは、2週間の経験を踏まえ、アラブ人学生とSFC生が協力して作ったレポートの発表会。ASP2012の集大成と言える。

最終発表会



 レポートのテーマは、日本とアラブの教育やガバナンスから見た比較。大きく分けると「革命」と「共存」が主軸だ。昨年のASP2011では、俳句や愛情表現など、具体的な日本文化をテーマにする招聘生が多かった。社会的なテーマを選ぶ招聘生について奥田教授は「招聘生たちは、革命を受けて、大きな問題について考える状況にある。注目した観点はそれぞれだが、SFCは様々な分野の研究がされているので、アラブ人学生にとっても研究しやすい環境だ」と語った。

奥田敦総合政策学部教授奥田敦総合政策学部教授


 またASPに参加したSFC生については、「期限を守り、チームワークを尊重しながら、プログラムを終えたことは良い経験になると思う。また、違う価値観を持つアラブ人との議論の中で気付きもあったはず。表面的に親しくなったというだけではない、深い交流ができた」と語った。

(写真は関係者様からの依頼により削除させていただきました)

 政治的な騒乱を受けて、日本で学ぶアラブ人学生は真剣そのものだった。目の当たりにした問題に深く根ざした彼ら彼女らの問題意識には、SFCの理念に通ずるものがあるだろう。