ORFの展示発表は、研究のカテゴリによってA-Eとエリア分けされていた。その中で本年、Bのエリアに割り当てられていたテーマが、「身体知・ヘルスケア・ライフサイエンス」。人間の身体について考える研究室が集まる展示スペースだ。


 

SB1




 まずは仰木裕嗣研究室のブース。スポーツにおける、体の動かし方を分析する研究が展示されていた。上の写真がテニスのフォームを解析する装置だ。ラケットに着いた小さなボールだけを特殊なカメラで追い、その動きをコンピューターで処理する。この"モーションキャプチャ"と呼ばれる手法は、映像だけでは追い切れない激しい動きを解析することができる。細かいフォームの改善を求めるスポーツ選手のための研究だ。


SB2各種飲料の砂糖含有量



 秋山美紀研究室は3つのスペースに分かれ、健康についての展示を行なっていた。脂肪1kgの大きさや、各種飲料にどれだけの砂糖が含まれているかなど、糖分・カロリーについての実感しやすい展示が注目を集めていた。例えば100%オレンジジュースにスティックシュガー14本分もの砂糖が含まれているという事実には驚きだ。

 別のスペースでは、健康に関わる報道への問題提起も行なっていた。新聞で根拠なく「安全性に問題があるかもしれない」と強く報道された健康食品が、販売停止に追い込まれてしまった例を挙げ、食品への不安を過度に煽ってしまう記事の問題点を指摘していた。


SB4患者向けの食器



 藤井千枝子研究室はパーキンソン病患者のQOL(Quality Of Life)を向上させる研究が行っている。医療側が客観的にQOLを評価するには、患者の症状に沿った指標が必要だという。またパーキンソン病の患者向けに椅子や食器の開発も行なっており、安全に食事をするための食器が展示されていた。


SB3



 SFC生が日々お世話になっているウェルネスセンターも出展。日々の健康管理や禁煙についてのパンフレットを配布していた。より多くの人に手に取って読んでもらおうと、印刷したままのチラシではなく、冊子の形にしての頒布だ。



 個人で出来るヘルスケアから、プロフェッショナル向けの研究まで幅広く展示されていたBエリア。SFCにおける研究が「身体」を様々な角度から研究した多様性を感じさせられた。