【ブース】最先端にかける熱さ 情報系研究会のブースAエリア
ORFの展示発表で、Aのエリアに割り当てられていたテーマが、「ユビキタス・インフラ・通信・技術[高信頼情報社会]」だ。SFCの情報系研究会が一同に会したこのエリアは、ORF会場全体の中でも、ひときわマニアックな空気を醸し出していた。
Aエリアのブースの多くにはディスプレイが置かれ、研究のデモを動かしながら、興味を持った来場者に説明を行う、というスタイルが多かった。説明を受ける側の来場者にもITの専門家が多く、エリアのそこかしこで熱い議論が行われていた。
エリアの中でも、特に目を引くブースがいくつかあった。「グローバル環境システムリーダー(GESL)」は、人工芝が敷かれたベンチがあり、3本の柱で支えられた屋外のようなブースで展示を行っていた。これは、「環境」システムのリーダーを育てるというプロジェクトの目的と、プロジェクトの3つの軸(技術システムと社会ルールの連結による価値生成・緩やかな環境変化対応と急激な環境変化への対応能力の連結による価値生成・実空間と情報空間の連動機構の構築による価値生成)を表しているという。
また萩野達也・服部隆志研究会は、ブースの中にセッション会場を設け、10分ほどの短いセッションを何度か開催した。Twitter向けWEBサービス「このまま眠りつづけて死ぬ」等の開発で知られるymrlさんなどが発表を行い、時には人だかりができるほどの盛況だった。
Aエリアを歩いていると、時々チャイムのような不思議な音が流れている事に気付く。これは、武田圭史研究会の研究「異常検知のためのネットワーク通信可聴化システムの設計と実装」のデモだ。このシステムは、自分のネットワーク上で発生した異常を、専門知識がない利用者でも感知できるようにするため、ネットワークの通信量・通信速度などを音にして表現する、というものだ。音を使って表現する事でより直感的に、また画面を注視していなくても異常に気づくことができるという。
また、中澤仁研究会の「屋内における位置情報・移動情報認識システム」ブースでも、ORF会場を利用したリアルタイムなデモを行っていた。このシステムは、スマートフォンが接続している無線LANのポイントを手がかりに、どの場所に人が集まっているか、ある人がどこからどこへ移動していったか、などの情報を取得・可視化できる。デモではORFの会場図の上に、人が多い場所を丸で示している画面を見ることができた。ORFのようなイベントで、人気のあるブースなどを調べるために開発されたシステムだということで、まさに研究が活用されている瞬間を展示しているブースだった。
最先端という言葉が似合う、さまざまな技術が展示されていたAエリア。学生と来場者、研究会同士の交流もある中で、それぞれの研究に対するこだわりや熱さも、肌で感じ取れる空間だった。