ORF2013の国際戦略設計のコーナーは、政策・文化・ガヴァナンスがテーマだ。今回は、曽根泰教研究会(以下、曽根研究会)のブースを特集する。


 曽根研究会のブースでは、主に討論型世論調査(以下、DP)に関するポスターを掲示している。また、実際に討論が行われている時の映像や、DPの生みの親と言われているジェイムス・S・フィシュキンの著書なども展示している。


DPをもっと身近に

 DPとはDeliberative Pollの略である。一般的な世論調査に加え、世論調査に答えた人々から、さらに抽出された人々が調査のテーマに関する討論を行う、「学び、考え、話し合う」世論調査である。これは、一般的な世論調査に比べ、国民の世論の変化や議題に対する意識をより正確に汲み取ることができるという特徴がある。
 「国民の政治参加に対する意識を高めるためにも、DPをもっとみなさんの身近なものにしていく必要がある」と、日下部眞太郎さん(環2)は語る。DPという名前を耳にするだけで難し気なイメージを持たれてしまうことも多く、現在はどうすればDPの知名度を上げることができるのか、どうすれば人々がDPに参加するようになるのか、などの問題に取り組んでいるという。「ORFはデザインやものづくりの研究に目がいきやすいが、SFCは政策系の研究にも力をいれているということを来場者の人々にも知っていただきたい」という桒原拓さん(総3)の思いがブースに込められている。

sone_03ジェイムス・S・フィシュキンの著書


国を動かすきっかけに

 また、DPはSFCで行われているプロジェクトの中でも最大規模であるという。曽根研究会では米国のスタンフォード大学の研究チームの協力を得て、これまで日本で6回のDPを実施。2012年にエネルギー問題に関するDPを行った際に、政府が政策立案に活用したという事例もある。
 「また通常の世論とは異なった洗練された世論を作り上げるための場であることを国民に伝えることができれば、DPをより知ってもらうことになり、そこから政策形成の過程に国民が積極的に関与するような社会が生まれるかもしれない。まさしくDPはその実験だろう」と日下部さんは語る。

sone_01DPの詳細を記載したポスターを展示している


 DPについてもっと詳しい話を聞きたい方や、政策分野の研究に興味がある方は、明日23日(土)に曽根研究会のブースに足を運んでみてはどうだろうか。