法規制前日にSFCでドローン体験会 気軽に飛ばせる「最後の日」
9日(水) 4・5限、ドローン操縦体験会と大型ドローン撮影映像のパブリックビューイングが行われた。翌日10日(木)に施行される改正航空法に向けて、授業「未来創造塾入門」でドローンについてグループワークを行う高宮悠太郎さん(環3)、佐藤健史さん(環3)、小原章紀さん(環3)、伊藤久博さん(総2)が主催。会場のSBCセンターに多彩な学生が集まったほか、多くの報道陣が駆けつけた。
ドローンを気軽に飛ばせる「最後の日」
「ドローンという言葉は流行語大賞にノミネートされ、TOP10入りまで果たしたが、実際のところどういうものか知られていない」と話す高宮さん。イベント序盤には、昨今のドローン事情が紹介された。最初は軍事利用が目的だったが、近年安価になり民間でも使われるようになったという。いわば、誰でも個人が無人航空機を飛ばせるようになったのだ。
しかし、高宮さんは「国レベルで使っていたものが個人で使えるようになれば当然問題も起きる」と指摘。これまで法規制がなかったドローンは、ヘリコプターなどと異なり、適切な免許を所持した人が操縦するとは限らなかった。そのため、数多くの事故がこれまでに起きている。慶應義塾大学でも、矢上キャンパス近くの東海道新幹線の線路脇にドローンが落下したことは大きな話題を呼んだ。
イベント翌日10日に施行された改正航空法によって、重量200g以上のドローンは航空機の一種と分類され、飛行空域や飛行方法についてさまざまな規制を受けるようになった。原則「人口密集地での飛行禁止」「夜間飛行の禁止」「人物、建物から30m以上離れた飛行」などが求められる。この法規制に対して、キャンパスでは「気軽に飛ばせなくなる」と高宮さん。そんなドローンが気軽に飛ばせる最後の日にイベントは行われた。
法規制前であっても安全への配慮は欠かせない。高宮さんと佐藤さんは「SFCドローン運用6ヶ条」と題し、次のような自主規制を設け、今回のイベントに臨んだ。
「SFCドローン運用6ヶ条」と題した自主規制(イベント資料より)
- バッテリーの保守管理: 100%でない時は飛ばさない
- センサーの正常起動: センサーが異常な時は飛ばさない
- 気象条件の確認: 風速5m/s以上では飛ばさない
- 許可を取る: 必ず撮影地の管理者に許可を取る
- 2人1組でフライト: 操縦者とは別に、安全管理者も同行してフライトをする
- 周囲の状況を確認: 飛行する事実を知らない他人がいる時は飛ばさない
スマホでドローン体験「こんなに手軽だとは」
ドローン紹介に続けて、ドローン操縦の体験会が行われた。使用されたドローンはParrot社のRolling Spiderという機種。手のひらに乗るほどの小型で、スマートフォンアプリからBluetoothを用いて手軽に操縦することができる。プロペラの横にガードが付いており安全対策もされている。
まず、各組で上下の移動、左右の移動、回転の練習をおこなったあと、それらを組み合わせて各自で自由に操縦。最後にはレースも行われた。スマホでドローンが操縦できることが意外だったという参加者も多く、「こんなに手軽だとは思わなかった」という声も聞かれた。
ドローンによるSFC空撮をパブリックビューイング
ドローンの利用目的としては物流など利便性向上の側面が注目されがちだが、きれいな映像を上空から撮れることも大きな魅力だと高宮さんは強調する。そこで、操縦体験に続けて、ドローンで撮影した映像のパブリックビューイングも行われた。4Kカメラを搭載し、本格的な空撮ができるDJI社のInspire1という機種を使用。操縦体験の機種よりかなり大型だ。未来創造塾の建設予定地などSFC上空をドローンが飛行し、その撮影映像はSBCセンターのスクリーンにリアルタイムで映し出された。
僻地が強みに SFCをドローンの先端キャンパスに
イベントが行われた週はSFCで気軽にドローンが使える最後の週として、ほかの授業でもドローンが取り上げられた。SFCではドローンユーザーやドローンを使う授業も多く、今回の航空法改正はSFCにも大きな影響を与える。
「ドローンの安全な普及、技術の発展を目標に、SFC内でのドローンの制度を整備し、さらにはSFCからドローンを日本に、世界に発信していき、一大ムーブメントを起こしたいと考えている」と佐藤さん。厳しい規制はあるものの、SFCは都市部から大きく離れているため、基準を満たせば今後もドローンを飛ばし続けることができる。僻地であることが強みになるのだ。そのSFCからドローンを広げたいという佐藤さんらはドローンの機体貸し出しや、ドローンイベントを行う団体の設立も視野に入れ、活動の拡大を目指している。
ドローンに関する規制は今後もさまざまな形で変化していくことが予想される。今回の法改正がSFCにとって大きな影響を与えるように、今後もドローン事情に目が離せないだろう。