音楽で日台交流 慶應の台湾人留学生会が企画
11月30日(水)、東京都目黒区にて台湾と日本の音楽交流イベント「一夜台北」が開催された。慶應台湾人留学生会の主催で行われたこのイベントには、慶應内外から多くの参加者が集まった。
音楽を通した日台交流 「一晩、台北のような夜を体験しよう」
一夜台北は、台湾人留学生が招いた台湾にゆかりのある人が日本と台湾などの音楽を演奏するイベント。台湾の男性ポップシンガーであるチャン・ユーシェンの「天天想你」、RADWIMPSの「なんでもないや」、サラ・ブライトマンの「Time To Say Goodbye」などが演奏された。台湾人が日本の曲を歌い、会場が湧いた場面もあった。入場料は無料。台湾人留学生会によって運営され、SFCの台湾人学部生・大学院生もオーガナイザーとして運営に関わった。
一夜台北というイベントの名前には「一晩、台北のような夜を体験しよう」という意味が込められている。会場では、留学生会メンバーにより台湾の肉まんや素麺、ビールやお菓子などが振る舞われた。留学生会は同様のイベントを6月にも開催しており、今回はそれに引き続き2回目のイベントになる。
今回は慶應の内外から台湾人や日本人が集まったが、それ以外にも、在日マレーシア留学生会の代表や、東京医科歯科大学を国費留学生として来日し、卒業したタイ人の研修医など、様々なバッググラウンドを持つ参加者が集まった。会場では中国語と日本語だけでなく多くの言語が行き交った。
留学生だけの"飲み会"ではなく、外部を巻き込んだ"コンサート"を
慶應国際センターの発表によると、2016年5月現在、慶應には日本語を専門に学ぶ別科生も含め約100名の台湾人留学生(「留学」以外の在留資格を持つ者を除く)が在籍しており、慶應の台湾人留学生会には70名ほどのメンバーがいる。SFCの学部生・大学院生と日吉キャンパスのメディアデザイン研究科(KMD)に所属している大学院生を中心に、三田キャンパスで学ぶメンバーもいる。
慶應で最も大きい留学生コミュニティーのひとつと言える台湾人留学生会。これまで留学生会の内部だけの飲み会や懇親会は行っていたものの、外部の人間まで巻き込んだ大規模なイベントはあまり開催してこなかった。これは慶應だけではなく他の大学の留学生会についても言えることだ。
そこで、日本人と台湾人相互の交流を生むために、台湾人留学生会が企画したのがこの「一夜台北」だ。企画の中心となったのは台湾人留学生会会長の王怡婷さん(KMD修2)。王さんは台湾師範大学音楽学部を卒業し、現在の修士課程ではコンセプトデザインを専攻しているという。音楽に強い関心を持っていた王さんは、博士課程の知人にイベント内容について相談したところ、コンサートという形を提案された。「始めた理由は知り合いの提案があったからで、結構単純だった」と王さん。しかし6月に開催した1回目のイベントは好評を博し、この2回目の開催につながったという。
台湾人同士のつながりも強くなるイベント
SFC生も多く運営に関わっている。星裕美さん(総2)は昨年の秋、SFCの総合政策学部のGIGAプログラムに入学した。星さんは日本国籍を持つが、日本に帰化した台湾人の両親を持ち、タイのインターナショナルスクールに通っていた。そのため、中国語、タイ語、英語は話せるが、日本語はあまり話せなかった。「日本へ来たばかりの時、日本語が分からず、日本人の友達があまりいなかった。イベントを通して台湾人の先輩方と知り合い、いろいろ助けてもらった」と星さんは言う。
「海外留学において、人間関係の構築は研究と同じくらい重要だと思う」と李佳隆さん(政メ修1)。李さんは、箱根町に住みながら、SFCで日本のゲストハウスについて研究している。「台湾人留学生会に参加して、他のキャンパスの学生や学部生も含めた多くの台湾人と一緒にイベントを開けるのは非常にいいことだ」と、日本人と台湾人の交流促進だけでなく、台湾人同士のつながりを新たな形で強めるこのイベントの役割について語っていた。
台湾人留学生会の中心メンバーには大学院生が多く、今後もこのイベントが続くか不透明な部分は多いが、まだ学部の3学期目である星さんは「イベントは私たちが台湾文化を日本人に伝えるいい機会。他の大学も巻き込んで、もっと面白いイベントをしたい」と次回イベントへの意気込みを語っていた。