前回投票率が7.9%と低く不成立となった全塾協議会塾生代表選挙。20日(木)より、再選挙の投票が開始される。塾生代表は、全塾協議会を主導して塾生生活の福利向上を図る生徒会長のような存在。今回SFC CLIP編集部は、候補者の3名にインタビューを実施した。(メールでの取材。掲載は候補者番号順。基本的には原文ママ。誤字脱字等、候補者の同意のもと編集部にて修正済)

確実に実現できる公約を 前田稔さん

SFCでの演説の様子 SFCでの演説の様子

—— まずはじめに、自己紹介と公約を簡潔にお願いします。

商学部4年の前田じんと申します。

ゼミでは経営学を勉強しており、経済新人会とプロレス研究会の代表をしておりました。私はSFCが大好きで、昨年夏、私が三浦半島で三浦大知を踊る様子をSFCのドローンサークルの方々に撮っていただいたのは一生の思い出です。

私は功利主義者で現実主義者です。掲げる3つの公約は「半年で確実に実現できる公約」です。

  1. 「不祥事から塾生を守る党」の発足
  2. 次期塾生代表選挙の廃止による全塾協議会の運営の円滑化
  3. 全塾協議会の予算案の団体格差の是正による学内イベント参加者数の増加

—— なぜ立候補しようと思ったのでしょうか。

慶應義塾大学に恩返しがしたかったからです。私は二浪の末、補欠合格で慶應に入学した、言ってみれば「ギリギリの人間」でした。そんな私ですら慶應の皆は受け入れてくれて大学生活を送らせていただけました。慶應に感謝の意を表し立候補を決めました。

—— 「守る党」は具体的に誰を構成員とし、どんな活動を行うのでしょうか。

「不祥事から塾生を守る党」は塾生を対象にした啓蒙活動です。塾生・塾員の不祥事が起こる度に任意の塾生が社会貢献活動を行います。例えば私は福澤諭吉文明塾若き血プロジェクトにならい、不祥事が起こる度に献血を行います。

近年慶應で多発する不祥事の発生を我々塾生で防ぐことは難しいです。しかし、この不祥事を社会・メディアが慶應に関心を向けるトリガーとして捉え、塾生が社会に向けて良いことをしていく活動を発信していければと思います。

—— 選挙の円滑化には具体的にはどのような施策を検討していますか?

次期以降の塾生代表選挙の直接投票制を廃止し、2016年以前のように塾生代表選挙が行われていなかった状態に戻す。戻すべき理由は明確に3つあります。

一つ目、「3年前まではこの選挙自体は存在しなかった」

選挙がなくとも全塾の運営自治は機能していました。

二つ目、「選挙費用が約250万円かかる」

高額な選挙費用によって各学生団体の全塾協議会からの給付額は減らされております。減らされた団体は文化団体連盟・全国慶應学生会連盟・秋祭実行委員会等SFC生にも馴染みの多い団体ばかりです。この選挙を廃止して浮いた250万円で各団体への交付を行います。

三つ目、「投票率が低すぎる」

過去3回の塾生代表選挙の平均投票率は10%弱、直近の選挙は7.9%で不成立でした。日本の選挙投票率35%と比べても著しく投票率の低いこの選挙、もはや直接投票が塾生の「民意」を反映しているとは考えられません。今回私に投票していただければ、この選挙制自体を廃止し、経済的にも民主的にもより良い全塾協議会にしていきます。

—— 現状ではどのような格差があるとお考えですか? また、どのようにすればその格差を改正できるとお考えですか?

全塾協議会の予算配分に学生団体ごとの大きな格差が存在しています。SFCの塾生からも750円ずつ徴収しているのに、SFCの学生団体にはほとんど予算が分配されていません。秋祭実行委員会の予算は20万円(申請額の25%)減額され、七夕祭にいたっては1円も全塾協議会から予算を分配されていません。

私は選挙を廃止して浮いた250万円を使って各団体に予算を振り分けることで、格差を是正していきます。

—— 最後に、塾生に向けての言葉をお願いします。

「リンゴ」。仮に慶應を一つのリンゴだとした時に、あなた自身はリンゴの「蜜」「実」「皮」のどの部分にあたると思いますか。中心にいる蜜こそが慶應の代表だ、充実した学生生活を送る実が主役だ、外から最も見られている皮こそ魅力的だ、等いろいろあると思いますが、今、慶應義塾大学は不祥事で毒リンゴ状態です。蜜も実も皮もこのままでは外から見られたときに食べてもらえません。

今こそ、蜜も実も皮も一致団結して、リンゴ全体という大学のブランド価値を皆で上げて誇れるものにしていきましょう。

SFC初の塾生代表を目指す 若林卓実さん

画像は候補者提供 画像は候補者提供

—— まずはじめに、自己紹介と公約を簡潔にお願いします。

総合政策学部3年の若林卓実です。生まれも育ちも群馬県です。大学入学と同時に上京し、湘南台で一人暮らしをしています。

大学では應援指導部に所属し、現在副将を務めています。基本的に、平日の日中は毎日SFCに通い、夜は日吉や三田で練習に励んでいます。週末のほとんどは各種体育会の応援活動や三田会等でエールを送っています。

公約は「塾生誰もが胸を張り、誇れる慶應へ」をテーマに、具体的には、

  1. 目安箱の設置。
  2. 各体育会の慶早戦の広報活動、塾生の動員強化。
  3. 各キャンパスの学園祭の広報活動、塾生の動員強化。
  4. 塾生の活動環境の改善。(メディアの開館時間の延長・プリンターの使用を無料化)
  5. サークル団体と全塾協議会所属団体の、相互の連携と協力体制の強化。

の5つを掲げています。

—— なぜ立候補しようと思ったのでしょうか。

應援指導部のリーダーとして活動してきた経験を活かし、部内に留まらず、広く塾生のリーダーとして前に立ち、慶應義塾が抱えるさまざまな問題を解決していきたいと思ったからです。

今年の1月に、塾生代表選挙に立候補しました。しかしながら、投票率が規定に満たずに不成立となってしまいました。悔しい結果とはなってしまいましたが、信じて応援してくださった多くの方々のためにも、今回また選挙で皆様の前に立つことを決断しました。

—— 公約の各項目に関して、検討している具体的な施策を聞かせてください。

目安箱の設置に関しては、自身の公約に留まらず広く塾生からの要望に応えるために、各キャンパスまたは、Web上で匿名で書き込めるプラットフォームを用意します。

体育会や学園祭の広報活動、塾生の動員強化に関しては、應援指導部やその他の関係団体と協力をして、より多くの塾生を呼び込めるような交流の場を提供して参ります。

メディアの開館時間の延長やプリンターの使用無料化に関しては、大学当局との交渉を、塾生代表自らが行い、実現していきたいと思います。

サークル団体と全塾協議会所属団体の、相互の連携と強化に関しては、お互いに活動を理解し合えるように交流の場を提供して参ります。

—— 目安箱にはどのようなことに関する意見が入るとお考えですか? また、SFCには全塾協議会に関わりのない団体・サークル等が多いですが、それらからの意見はどのように処理されますか?

目安箱には、それこそ私が普段関わりを持つことが少ないようなSFCにある全塾協議会に所属しないサークルの方々からの意見が多く寄せられると思います。具体的にどのような意見が寄せられるかは分かりませんが、広く塾生からの意見を吸い取り、ひとつひとつ解決して参ります。

—— 早慶戦や学園祭について、現状の塾内外からの人の入りはどのようになっていますか? また、どこに問題があるとお考えですか?

塾生が圧倒的に少なく感じます。慶應生が慶應であることを実感し、同じ感情を共有するためにも、これらの慶早戦や学園祭等の塾を挙げてのイベントで沢山の塾生に来て頂く必要があります。

—— 塾生に向けての言葉をお願いします。

今回が2度目の立候補となります。当選すればSFCからは初の塾生代表となります。皆様に選んで頂いたからには、公約を果たすべく必ず行動します。清き一票を宜しくお願いします。

起業家視点の塾生代表に 椎木里佳さん

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—— まずはじめに、自己紹介と公約を簡潔にお願いします。

椎木里佳です。1997年生まれの21歳で、慶應義塾幼稚舎から慶應義塾中等部、女子高を経て、現在、慶應義塾大学文学部倫理学科の4年生です!ゼミでは代表も務めています。

中等部3年時に株式会社AMFを設立して、授業後や休日に会社経営をしています。高校在学中には「女子高生社長、経営を学ぶ」を出版し、大学1年時にForbes Asia「アジアを代表する30代以下の30人」に選出いただきました。

公約

  1. 匿名で性的暴力を告発・相談できる性犯罪対策本部を設置。NPOと連携し、匿名制で性的暴行やハラスメントを相談できる窓口を開設。
  2. 起業家養成講座を立ち上げ、毎月起業家主催のシンポジウムを実施。
  3. 履修登録画面のぺージ改善。申告漏れを防ぎスムーズな履修登録を実現。

—— なぜ立候補しようと思ったのでしょうか。

女性初の塾生代表候補として、起業家初の塾生代表候補として、新たな視点から慶應義塾を変えていきたいからです。

近年、慶應では不透明感が感じられる事件が増えています。一学生としておかしいと声をあげることもしましたが、ただ声をあげるだけでは根本を改革することは難しいと思いました。塾生代表になり、塾長や上層部との対話を通して塾生たちの声を伝え、不透明感をなくしていきたいと考えるようになり立候補を表明することになりました。

—— 性犯罪に関しては法的なバックアップやプライバシーの保護が一般に重要視されますが、対策本部ではどのような施策をお考えですか?

匿名で相談できるのはもちろんですが、NDAを締結し相談内容のプライバシーを保護します。外部のNPO等の専門家と協力し、相談者が希望する場合、法的な機関の紹介は致しますが、あくまで相談窓口なので問題解決の第一歩を踏み出せる環境を作りたいと考えています。

また、現在ハラスメント防止委員会も存在しますが、認知度が低く教授陣が運営しているため相談へのハードルも高いと感じます。性犯罪対策本部は、学生と外部のNPOが協力して運営するため現状の委員会よりもよりハードルが低く、被害者に寄り添った窓口になると確信しています。

—— 起業に関する取り組みを塾生代表として行う意義をお聞かせください。

慶應内に起業家精神を養成する場所が少ないというように感じています。全員起業しろ! などとするつもりはありませんが、大学在学中や大学卒業後の一つのキャリアパスとして、起業という選択肢を選択できる環境作りに貢献したいと思っています。

—— SFCでは学事関連のWeb手続き等にはkeio.jpではなくSFC-SFS (SFC独自の学生支援システム)が使われることがほとんどです。SFC-SFSや履修登録画面以外のkeio.jpのシステムに関してはどのような施策がありますか? また、義塾担当部署との連携はどのように行う予定ですか?

塾生代表として持つ権限を使い学生総合センター長と修正交渉を行い、早急な交渉を実現します。履修登録画面の改善を最優先とするため、その他のページ改善予定はありません。ただ、それ他のページにも改善希望が多く寄せられましたら、随時交渉に入ります。

—— 塾生に向けての言葉をお願いします。

幼稚舎からお世話になった慶應義塾に貢献できる最後の学年になりました。7年近く起業家として一企業を経営してきたノウハウを活かし、上澄みを変えるのではなく根本から改革していきたいと思っています!

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