ついに今週27日(木)に迫った、2011年プロ野球新人選手選択会議(ドラフト会議)。義塾の主将、日本大学野球界の主砲、伊藤隼太選手(環4)が指名されるのはほぼ確実な状況と言っても過言ではないだろう。そこで、SFC CLIPのスポーツ部を自認する藤平直人(総3)と柏木裕希(環2)は伊藤選手がどこに行くのか、それぞれの角度から予想してみた。この記事では私、藤平直人の予想をご紹介する。

東洋大藤岡投手が人気のパ・リーグ

パ・リーグの下位球団から順を追って考えていこう。
 まず、千葉ロッテマリーンズ。外野陣は清田・岡田・大松などに加え、内外野守れる荻野貴司。さらには昨年のドラフト1位で東洋大から入団した伊志嶺も即戦力の活躍を見せ、外野手の人材には豊富だ。まだまだいずれの選手も若く、外野は補強ポイントとは呼べないだろう。加えて、ロッテは東洋大の左腕藤岡投手の指名を早々と表明している。伊藤選手の指名可能性は×と判断。
 次に東北楽天ゴールデンイーグルス。鉄平・聖澤・牧田・中村らの外野陣。左打者が多いことが気になるが、いずれも30前後で伊藤選手より一世代上といえる。加えて山崎武司の退団、岩村・鉄平の不振などにより打線が弱体化している。現状では明治大野村投手、東洋大藤岡投手、東海大菅野投手のいずれかを指名し、投手を強化する方針。明治大出身の星野監督とのコネクションで明治大野村投手の指名が濃厚視されている。しかし野手の状況を見るに、方向転換して伊藤選手の指名も十分ありうると考え、指名可能性は○とする。
 オリックス・バファローズ。坂口・赤田・森山・由田らに加えT-岡田も外野を守ることがある。年齢は若干高めであるが、昨年のドラフトで高卒ルーキー外野手駿太を1位で指名した。今年の補強ポイントは先発投手と報じられており、これが正しければ東洋大藤岡投手の指名が濃い線だろう。2年連続で外野手の1位指名は無いと考えられる上に、投手を指名すると予想して、伊藤選手は×。
 滑り込みでクライマックスシリーズ出場を果たした西武ライオンズ。栗山・坂田に加え新戦力である熊代・秋山が加わり、若くて層が厚い外野陣となっている。更には内外野守れる浅村もいる。外野は補強ポイントとは言えないだろう。指名候補選手は東洋大藤岡投手とされており、昨年の大石、一昨年の菊池雄星を引き当てた勢いそのままに競合覚悟で飛び込むだろう。伊藤選手の指名可能性は×と思われる。
 昨年はハンカチ王子こと斎藤佑樹を引き当てた北海道日本ハムファイターズ。外野手は走攻守三拍子揃った糸井、伊藤選手と同級生の大砲中田、抜群の身体能力を誇る陽岱鋼、勝負強い稲葉もいる。このチームの補強ポイントはむしろ田中賢介と金子が高年齢化している内野の後継者、という点にあるだろう。加えて大黒柱であるダルビッシュがメジャー挑戦なら先発投手を補強しなくてはならない。ただし、報道によると1位指名候補選手に伊藤選手は残っている模様。個人的には東海大甲府高校の高橋周平選手を指名するのではないかと思うが△としておこう。
 圧倒的な強さでパ・リーグを制した福岡ソフトバンクホークス。首位打者内川に長谷川・多村・松中。それに若い福田も出てきた。外野も盤石と言えるだろう。余裕があるうちに高校生をとって、将来に備えたいという意図からか、宮崎日大高の武田投手の指名が報じられている。一昨年の今宮、去年の山下と高校生の指名が続くのは気がかりだが、地元九州の選手ということもあり、ほぼ間違い無いだろう。伊藤選手の指名可能性は×とする。

伊藤選手、本命は阪神! セ・リーグに行く可能性は?

セ・リーグに目を移そう。
 身売り問題に揺れる、神奈川の球団横浜ベイスターズ。外野手は下園・吉村・金城・内藤に加え、早稲田大から入団した松本、俊足のルーキー荒波らがいる。壊滅的な状況の投手陣に比べればまだ明るい。野手を取っている余裕はなく、1位指名は即戦力の投手で来ると考えられる。トレードで獲得したSFC卒の山本省吾が不振で、左投手が少ないため、東洋大藤岡の指名ではないだろうか。ただ、監督もオーナー企業も決定していないこの球団は先行き不透明で、指名選手もはっきりしない。伊藤選手を1位で指名する可能性は△としておく。
 広島東洋カープ。右打者は廣瀬・赤松、左打者は天谷・嶋・松山といった外野陣の顔ぶれ。嶋に首位打者を獲得した時ほどの勢いはなく、左打者の強打者が不足している感がある。加えて廣瀬と打線の要、栗原がFA権行使の構えを見せている。前田健・大竹・福井といった若い選手が育っている投手陣と比べて、打線は弱体化しており、補強ポイントはむしろこちらではないだろうか。しかし地元出身で即戦力になりうる明治大野村投手と相思相愛であるため、この1位指名は揺るがないだろう。ただ、野手の戦力を考慮して△とする。
 和田コーチが監督に就任する阪神タイガース。外野陣はマートン・俊介・金本・柴田ら。加えて二塁が本職の平野が外野を守ることもある。マートンは退団が濃厚で、金本は肩の状況が非常に苦しい。打線に関してもマートンが抜け、鳥谷がFA権行使の構えを見せている。中軸を打てる左の外野手は喉から手が出るほど欲しいだろう。現状の方向のまま伊藤選手の1位指名に踏み切るとして◎。
 伊藤選手が憧れる高橋由伸が所属する読売ジャイアンツ。高橋由・松本・長野・亀井・ラミレス・矢野と外野の人材には事欠かず、外野手を内野手にコンバートするほど充実している。打線に関しても小笠原・阿部・高橋由と年齢こそ高くなってきたが中軸を打てる左打者が複数存在している。左の外野手は補強ポイントとは合致しない。今年のドラフトは監督と血縁関係もある東海大菅野投手の指名で方針は一貫している。伊藤選手の指名はまず無いだろう。可能性×。
 大学野球の聖地、神宮球場を本拠地とする東京ヤクルトスワローズ。外野は手薄で青木・飯原・バレンティン・畠山・宮出ら。畠山は本職が内野手である。加えて飯原は今年極度の不振に苦しんでいた。伊藤選手は補強ポイントに合致していると言えるだろう。今年のヤクルトは東海大甲府高の高橋周平選手の指名を検討してると報じられているが、遊撃手は川島慶・川端・森岡と人材が豊富である。将来性豊かな高校生がいるとはいえ、今は外野手を補強すべきだと私は思う。加えてヤクルトには青木を筆頭に田中浩康・加藤など東京六大学野球出身選手が多い。この点からも伊藤選手の指名はあると考えられる。○としておく。
 最後に伊藤選手の出身地名古屋に本拠地を構える、セ・リーグ覇者中日ドラゴンズ。外野はベテラン和田と大島・野本・藤井・平田の若手勢が控える。外野手の補強は必要ないだろう。むしろ補強すべきは荒木・井端が高年齢化した内野で、東海大甲府高の高橋選手の指名に向かうのが補強ポイントから考えて妥当であるだろう。ただし、伊藤選手が地元の選手であることを考慮して△とする。

まとめ

以上が私の予想であり、まとめるとこのようになる。
千葉ロッテ× 藤岡貴裕(投手・東洋大)
東北楽天○ 伊藤隼太(外野手・慶應大)
オリックス× 藤岡貴裕(投手・東洋大)
埼玉西武× 藤岡貴裕(投手・東洋大)
北海道日本ハム△ 高橋周平(内野手・東海大甲府高)
福岡ソフトバンク× 武田翔太(投手・宮崎日大高)
横浜△ 藤岡貴裕(投手・東洋大)
広島東洋△ 野村祐輔(投手・明治大)
阪神◎ 伊藤隼太(外野手・慶應大)
読売× 菅野智之(投手・東海大)
東京ヤクルト○ 伊藤隼太(外野手・慶應大)
中日△ 高橋周平(内野手・東海大甲府高)
 多少贔屓目に見た感があるが、

「東北楽天・阪神・東京ヤクルトの3球団競合」

という結論になった。さて、このくじ引きを勝手ながらシュミレーションしてみたところ……東京ヤクルトスワローズの交渉権獲得となった。本当にこの結果になって神宮に残ってくれたら、六大学野球を見てきた身としてはこの上なく嬉しい。
 ともあれ、どこの球団に行こうとも私たちにとってはSFC卒の伊藤隼太選手。仮に贔屓のチームに行かなくてもいつまでも応援しています!