SFC生が車を買う話
4年生の秋に車を買った。親にも、周囲にも、なんでこのタイミングで買うんだと驚かれた。自分でも馬鹿だと思う。でもやっぱり、大学在学中に、最後のモラトリアムに車のある生活がしたかった。無理言って親にお金を借りて、人生初の自動車生活が始まった。
ロードスターと出会った
大手中古車屋チェーンの店で偶然出会ったマツダNB8Cロードスター。グリーンのボディ、ベージュの幌、二人乗りのオープンカーだ。本当はコンパクトカーを買うつもりが、試乗して、その場で「これにします」と即答してしまった。オープンカーに乗って湘南を走る慶應生、まさに若大将時代の加山雄三だ。なんと全込み価格で55万円。新車の軽自動車の1/3の価格だ。
安さと引き換えの犠牲
買うと決めたはいいが、なんとこのロードスター、購入決定後にエアコンが壊れていることが発覚。すぐさま部品交換で新品同様のエアコンを入れてもらう。そして納車した当日、なんと今度はCDオーディオが壊れていて音が出ないと発覚。こちらもすぐさま修理してもらう。
そして何よりも困ったのが、山奥での突然のエンジン停止。イグニッションの故障で突然エンジンが凄い勢いで震えだし、死亡。1ヶ月も修理するハメになった。車を買おうと考えている大学生は、是非とも古い格安車には手を出さないことをオススメする。
生活が捗る。すごい。
とはいえ修理を終えるとロードスターは快調に走るようになり、車のある湘南台生活がはじまった。車でSFCに行き、用事が終わったら湘南T-SITEでお茶をして、江ノ島を抜けて夕日に染まる海を見ながら鎌倉方面にドライブ。休日は箱根で温泉につかり、夜は首都高を抜けて夜景を見に行く。そんな生活が日常になった。軽井沢や伊豆、山梨、千葉にも行った。
深緑や紅葉の中、オープンカーで上を見上げながら走ると、言いようのない感動があった。何よりも、小さい頃から大好きだった「車」という大人のツールを、自分が所有し、運転しているというのには感慨深いものがあった。とにかく凄い。素晴らしい生活だった。
維持費たっけぇえええええ!
喜ぶのも束の間、「人が何かを得ようとすれば同等の代価が必要」という等価交換の概念は、筆者にも例外なく降りかかってきた。車を買ってからというもの、いつのまにか通帳の金がなくなっている。個々に契約していったので総額が不明だったが、まとめてみると恐ろしい維持費の全体像が見えてきた。
【月々かかるもの】
任意保険料(初期等級、車両保険なし) 8,920円
湘南台駅徒歩5分の駐車場 15,000円
ガソリン代(月3回、50L給油、100円/L) 15,000円
月々合計: 38,920円
【年単位で支払うもの】
自賠責保険(1年分) 16,350円 /月1,362円
車検(2年に1回) 80,000円 /月3,333円
重量税(2年に1回、1.5トン未満) 37,800円 /月1,575円
自動車税(1年に1回、1.5-2.0L車) 39,500円 /月3,291円
月々合計: 9,561円
なんと全合計で月々48,481円。カー用品の購入費やSFCの駐車場代、出かけ先の駐車料金やETC代なども考えれば、だいたい毎月5万円以上は車に使っている計算になる。正気の沙汰ではない。学内バイトで稼いだ分が全部吹っ飛んでいた理由が分かった。うーん、非常にコストパフォーマンスが悪い。
それでも車をオススメしたい
SFCの立地は不便なようで、実は恵まれている。江ノ島や鎌倉、横浜が近く、箱根までも車で40分ちょっと。伊豆も、都内も、奥多摩も、千葉にも車で1時間ほどでアクセスできてしまう。近辺には何もないが、ちょっと脚を伸ばすと関東の殆どの観光地を網羅できる。車を所有していれば、飽きることのない4年間を過ごすことができる。金はかかるが、より良い大学生活を買うと思えば安いのではないか。SFC生なら是非、車を持つということを考えてみてもいいかもしれない。