「光を取り込むしくみ」「f値と絞りと被写界深度」と写真の各要素を見てきました。今回は要素の2つ目、シャッタースピードのお話。動きある被写体を切り取るポイントです。

シャッターとは?

シャッターはイメージセンサーやフィルムの前で光を遮る役目をします。実際に撮影する際にはこれが動作し、光を取り込む時間を制御します。

NEX-5N(1)NEX-5N(2)NEX5Nのシャッター動作 上:センサーが見える状態 下:シャッターが閉まっている状態

写真のようにシャッターが開いている間、センサーやフィルムが光を取り込みます。この開いている時間がシャッタースピード(露光時間)と呼ばれる時間。1/8000秒や6秒、1/8秒のように表されます。長い時間シャッターを開くことで、光は長い時間取り込まれ、光量が多くなります。例えば、前回の記事で取り上げた絞りを絞っている場合は、絞りを開いている場合よりも長い時間、シャッターを開ければ同じ明るさになりません。

高速で、止める

シャッタースピードを速くすることは、動いているものを止めて写す事に利用できます。

噴水の撮影例噴水の撮影例(1/4000秒)

上の写真では1/4000秒のシャッタースピードを利用して、噴水の一つ一つの水滴を表現しています。このように人間の目では分からないような一瞬も、高速なシャッタースピードで切り取る事ができます。水だけでなく、動きの多いスポーツや乗り物などもシャッタースピードを高速にすれば、止まっているかのように撮影する事ができます。
 また、被写体の動きを止めるだけでなく、自らの手ぶれの影響もシャッタースピードが速ければ押さえる事ができます。三脚などがなく手持ちで撮影する場合はある程度速いシャッタースピードが必要になるでしょう。

低速で、動かす・重ねる

逆にシャッタースピードを遅くする表現もできます。シャッターが開いている間、センサーやフィルムは光を取り込むので、動いているものを流れるように表現したり、動いて現れる被写体を重ねる表現もできます。また、暗い中でもシャッタースピードを遅くする事で写しだすことができます。

花火の撮影例花火の撮影例(7秒)


 上の写真では三脚を利用して、7秒間のシャッタースピードで撮影しました。シャッタースピードが長いため、花火が打ち上げられてから開くまでの線、また、2発目の花火も一緒に写り込んでいます。このように動いているものの跡を表現したり、重ねる事ができます。
 但し、このように遅いシャッタースピードでの撮影は手持ちで行うと手ぶれが発生してしまいます。このため、三脚や台を利用して撮影する事、シャッターを切るときも慎重に切ったり、レリーズケーブルやリモコンでシャッターを切るなどしてぶれを防止した方がよいでしょう。

星空の撮影例星空の撮影例(965秒)

被写体やカメラの動きをどのように表現するかが、シャッタースピードで決まります。シャッタースピード優先モード(SやSvのダイヤル)を使えば、シャッタースピードを指定して自動で撮影することができるのでぜひ試してみてください。また、手ぶれのおきやすさもシャッタースピードによって決まるので、ぜひ確認してみてください。