履修選抜の期間も終わり選抜結果に一喜一憂していた学生もいよいよ授業に集中し始めるころでしょうか。今回の履修選抜でもSNSなどで履修選抜に関する感想などが聞こえて来ました。これまでも履修選抜に関する不満や疑問点など耳にしたことが有りましたが、今回、自分としてもひとつ思うことがあったので若干時機を逸した感はあるもののこうして一度文章として起こしておこうと思います。私としては、履修選抜の問題点について、1年春のうちから意識していたものの、その感覚が1年特有のものか、それともやはり履修選抜になんからの問題があるのかどっちなのかわからなかったため、こうして2年の春に改めて履修選抜について考えてみようと思った次第です。

「じゃあ履修選抜ってなんだ?」

はじめに私が自分なりに解釈している履修選抜について簡単に説明します。
 履修選抜とは講義の中で履修を希望する人が集中して本当に履修を希望している学生を選抜したり、講義の特性上で、履修者を制限するなど、何らかの事情で履修希望者を絞る必要がある場合に利用されるためのシステムである。
 これが私の解釈する履修選抜です。その履修選抜のシステムですが、どうしても我慢ならない問題があります。それは
 選抜全然受からない!!!
 こんなことを言うとおそらく「あなたの実力が足りないからだ」「あなたのやる気が伝わっていないからだろう」とか言われそうです。しかし本当にそうでしょうか。履修選抜に落ちる落ちない関係なく自分の周りにいる人からも不満の声がよく聞こえてきます。特に新1年生には抵抗が大きいようです。
SFC CLIP_ ショッピングウィーク終了 -70以上の授業で行われた選抜の結果は?
 SFCCLIPでも過去に記事化していました。状況は変わらず…むしろ倍率に関しては更に競争率が上がっているように見える。

sennbatu

SFC CLIP: SFCの理想と現実、新入生に聞いてみた。
 SFC CLIPでも今年の新入生に聞いてみたところ、履修選抜に関する意見が多く見られました。新入生はSFCのに入学して「さぁ自分のやりたいことを自由に勉強するぞ」と意気込んで入学しますが、入学後に履修選抜が実施されていることに気が付き、そのギャップに悩むのだろうと思われます。

履修を選抜

SFCは魅力的な教授から充実した授業を受けることができると力説していますが、そのなかで人気のある授業を履修するには毎学期何倍もの倍率、中には10倍を超える競争に勝ち選抜を通過する必要があります。学校側はその割にこの履修選抜のシステムが存在していることを積極的に伝えようとしていません。説明会に来た受験生や、その保護者にはしっかりと説明がなされているのでしょうか。毎学期学費を払っておいて、きちんとした説明がされないのならば、これは履修選抜というシステムを入学するまで隠していると捉えられても仕方がないように思えます。
2013年度のSFCの学部紹介パンフレット(PDF)
 2013年度のSFCの学部紹介パンフレットでもカリキュラムを紹介するページはあるものの、履修選抜に関する告知は見当たりません。

test

(引用)—-SFCのカリキュラムは既存の学問の枠にとらわれず、学年による区別や制限もありません。—中略—自分の意思で必要な科目を必要なときに履修できるようになっています。
 毎学期何十万ものお金を払っているのに、取りたい講義を履修することが出来ない制度には正直なところ不条理さを感じてしまいます。
 同じ授業料を支払っているのにも関わらず、取りたい講義をほとんど取ることの出来ないという現状を看過してよいのでしょうか。
 また、とりたい講義をとれないという問題は他の問題にも波及します。履修選抜から漏れた学生の多くは、空いてしまったコマを埋めるために、たとえ自分があまり興味のない授業でも取り敢えず単位を埋める目的で履修希望を出してしまいます。しかし、興味のない授業を履修しても、元々意欲、関心が低く、選抜から漏れたというダメージを引きずったまま授業に参加するので、授業への参加度も低く、結果的にその授業全体の質を下げてしまうおそれがあります。
 こうして、履修選抜から生まれる悪い流れが発生します。
履修選抜に落ちる→空いたコマに取り敢えず講義を埋める→興味のない講義なので意欲関心も低く授業への参加度も低い→授業全体の質が低下する
 もう一つ、履修選抜から落ちることを危惧して、はじめから必要以上に多くの授業の履修選抜を受け、少しでもリスクヘッジをしようとする学生も増えています。しかしこれによって、本当に履修を希望している学生が、他の学生のリスクヘッジの犠牲になってしまう恐れもあり、本当に授業に参加したいと思っている学生が割を食うという、履修選抜本来の趣旨から外れるどころかむしろ逆の状況が起きてしまっているように思えて仕方ありません。

ショッピングウィーク?

履修選抜の進め方にも若干無理があるように思えます。SFCでは授業を履修するはじめの1週間の期間を「ショッピングウィーク」と呼び、お試し期間的に好きな講義に出席できるとしています。このショッピングウィークも、自由に出席できるということは間違っていないものの、現実としては、履修選抜のある授業の場合、初回の授業に出席する必要があります。なので、他に気になっている授業がある場合は、1つ目の授業を途中で切り上げて、2つ目の授業に遅れて参加するか、あるいは諦めて1つの授業に賭けるしかありません。授業の中には選抜課題の提出を最後に行うものもあり、「いつになったら選抜用紙を配るのかわからない」という声をよく聞きます。

じゃあどうするか

ここまでざーっと履修選抜の問題点を考えてきましたが、極論として「履修選抜やめろ!」ということではなく何か、少しでもよく出来る面を探したいです。
 個人的な考えとしては、履修選抜のシステムそのものは存続させて、大学入試のように二次試験というか、後期選抜のような機会を設けるように出来れば、選抜の精度も更に上がってゆくのではないかなと思っています。履修選抜に通過したとしても、最後に本当に履修するかどうかは別の話です。履修が決まった後でも、枠が空いていれば再チャレンジ出来るシステムになれば選抜としての精度も更に上がっていくでしょう。
 とはいうものの上記は書いていて若干厳しいかなとおもっています。履修申告が確定してからどうやって更に履修を許可すればいいのか、こちらはこちらで問題がありそうです。
 対して具体的に改善の余地がありそうなのはショッピングウィークでしょう。現状では、初回1時間半の講義の時間をまるごと使って履修希望者に授業の説明をしていますが、正直、時間を持て余している教授が多いようです。これを複数回に分けて、前半、後半で、授業の説明をするように直せば、他に気になっている講義がある学生は上手に時間の割り振りをすることが可能になり、また、前半で履修選抜を終えた学生は他の授業の説明を受けにいくようになります。これでまさに「ショッピング」の文字どうり主体的に選択可能な仕組みが出来上がります。
 その他にも、SFCにはSFC GC(http://gc.sfc.keio.ac.jp/)というサービスがあります。これは、講義を録画して、後でWEBにアップロードして学生が視聴することが出来るサービスですが、周りでもあまり利用している学生が少なく、上手に活用されていると思えません。このSFC GCを上手く利用すれば何らかの都合で当日に授業に出席できなかった学生も授業の説明を視聴することはでき、履修を決める際に利用することも出来るようになるでしょう。

最後に

最後に、私自身は履修選抜を全否定する気は全くなく、履修選抜のメリット、妥協点もそれなりに理解しているつもりです。ただ、SFCは創立してまだ20年ちょっとしか経っていない学校です。言うなれば発展途上の学校とも言えるでしょう。そのため、大学のシステムに関する改善点は決して少なくないと思えます。
 今回は履修選抜の問題を考えてみましたが、SFCには学生が普段日常的に感じている問題点がまだまだあると思います。そういった点を学生自身が少しでも意識的に考えて、取り組んでゆくことが1人の在学生としてまだ歴史の浅いSFCの歴史を作るということになるのではないでしょうか。