千葉・幕張メッセで開催中の「東京モーターショー2003」で、25日(土)から一般客への公開がはじまった。国内外合計60社のブースが集まる中、清水浩研究室が電気自動車「Eliica」(エリーカ)他を出展。タイヤが8つ、電気自動車で400km/hのスピード、0.8Gの加速度という「新しい移動手段」の姿を見せ、一般客に大きな驚きを与えている。

「Eliica」1/1スケールモデル
 高い運動性能をもつスポーツカーとしての一面と、5人が乗れる高級セダンとしての一面を併せ持つ「クロスオーバー車」として実用化への期待も高い。2001年に発表された「KAZ」(リムジンタイプ)から、さらに実用化されたセダンタイプの「Eliica」の発表により、一般客の中には、自分も電気自動車を持つことが出来るかもしれないという期待・欲求の声も聞かれ、実際に価格の問い合わせや、購入したいという申し出もあるという。

電気自動車「KAZ」
 また、企画から運営まで全てが学生の手によるブースは、37回を重ねる「東京モーターショー」でも初。デザイン、映像・音響製作、パンフレット、ナレーターコンパニオンに至るまで、学生の力で作り上げたブースということで、注目を集めている。広報を担当した小田佳さん(環4)は、「会期も半分終わり、自分たちとしても最高のものが出来ている。外からも高い評価を受けている」とSFC CLIPの取材に対しコメントした。
 
 東京モーターショーという大きな機会を得たことに対して、小田さんは「これまで、海外での発表はあったが、国内発表の機会は少なかった。学生にとって、この機会を得たということがプロジェクトの充実感に繋がる。また、プロジェクトにとっては、約100万人が訪れる東京モーターショーは、環境に配慮した電気自動車『Eliica』を多くの人に認知してもらうまたとない機会。この車と共に、環境改善に貢献したい」と述べた。

受付も学生が担当

慶應義塾大学ブース全体の様子
 今回のモーターショーでは自動車メーカーからも、環境に配慮した車が多数出品されている。しかし、清水研究室では「床下へのリチウム電池配置による広い室内空間」や、「インホイールモーター」を長年研究しており、自動車メーカーが今年この方式をしきりにアピールしていることは、むしろ「KAZ」や「Eliica」に追随しているともとれる。

広報小田さん、コンパニオン北野さん
 「インホイールモーターと床下リチウム電池の技術にはAカー(清水浩環境情報学部教授が開発した最初の電気自動車)からの歴史と技術がある」(小田さん)と自信を見せた。
 コンパニオンとして「Eliica」の魅力を伝える北野絢子さん(総4)は「コンパニオンもプロジェクトに関わり、展示車に対しての理解に基づいて発表しているのが、他社との大きな違いだと思います。自分たちが作った物を自分たちで発表するというのは大きな喜びです。長い説明を暗記し、取材カメラや、一般客の多さに緊張しながら説明することは大変ですが、この場に向けて、準備をしてきたみんなの気持ちを最後に来客に伝えるのは自分という、大きな責任感を感じています」とコメントした。

プロジェクトリーダーの内山さんら
 東京モーターショー2003は11月5日(水)まで、千葉・幕張メッセで行われており、期間中に約100万人の人出が見込まれている。