ORF1日目のプレミアムセッション「今そこにある危機」では、平沢勝栄衆議院議員を中心としたゲストとSFCの准教授2人により、東日本大震災に伴い直面している危機への対処方法について議論がなされた。


■パネリスト
・平沢勝栄氏(衆議院議員)
・小川和久氏(特定非営利活動法人国際変動研究所・理事長)
・郷原信郎氏(名城大学教授)
・神保謙総合政策学部准教授
・新保史生総合政策学部准教授

ゲスト1

冒頭で新保准教授は、題名の「今そこにある危機」とは法律用語の"Clear and present danger"から取ったものであると説明。続けて、このセッションでは東日本大震災に伴う被害の中で、顕在化した様々なリスクについてどのように対応するのか議論していくと述べ、各パネリストによる話に移った。

ゲスト2

様々な危機管理に対して、コンサルティングを行なっている小川氏は、日本の危機管理は隙間だらけであり、形を取り揃えただけの極めて形式的なものであると問題提起した。また日本の情報セキュリティのレベルの低さに関しても苦言を呈し、未だに大部分で私物の携帯電話が使用できる首相官邸・省庁など対策の甘さも指摘 した。

ゲスト3

組織の不祥事というリスクは、環境の変化に組織がついていけないことによって生じると郷原氏は指摘。IT革命によって加速した環境変化にそもそも対応しきれていなかったところへ、今回の東日本大震災で更に環境が変化。大きなリスクに直面していると述べた。
 平沢議員は政権交代は良いものであるが、東日本大震災やTPPなどの未曾有の事態が多発している今日においては経験が重要であり、現政権は危機管理能力が極めて欠如している、と指摘した。そして自身の感覚から、日本は全体的に危機管理ボケしている印象があると述べた。

ゲスト4

神保准教授によると、グローバル化が進んだ今日においては21世紀型リスクと呼ばれるものが顕在化しているという。米コンサルティング会社・ユーラシア・グループが毎年発表している「世界の10大リスク」においても、国際的に影響の大きいEUの財政問題やサイ バーセキュリティなどが挙げられていると述べた。

ゲスト5

平沢議員は、日本の企業は体質的に悪い情報を内部で留めてしまう傾向があると
語った。それがグローバル化に伴い海外で露呈してしまうと指摘し、「悪い情報は夜だろうと構わず挙げろ」と部下に命令したナポレオンのように、自分に都合が悪くても本当に自分のためになる部下を持つ必要があると述べた。
 神保准教授は、インターネットの登場により以前は一部の人にしか手に入らなかったような情報が、一般人でも手に入るようになったため、予知できるリスクが増えてきていると述べた。
 また情報は諜報機関などにおいてはギブ・アンド・テイクの関係のため、日本の情報セキュリティが整わなければ、日本に情報を提供してくれる国もなくなってしまう、と危惧した。
 最後の質疑応答においては会場からも質問があがり、活発な議論がなされた。