社団法人コンピューターソフトウェア著作権協会(ACCS)の発表によると、京都府警は28日、著作権法違反の疑いで東京都杉並区の大学生と、埼玉県さいたま市の専門学校生を逮捕した。


 WinMXといえば、Napster、Gnutellaに引き続いて現れたP2P共有ソフトの雄。音楽ファイルのみならず、動画ファイルや、アプリケーションソフトなど、ありとあらゆるデジタルファイルを共有できることで人気を集めた。
 SFCでも夏頃からユーザーが増え始め、最近ではメディアセンターで学生が利用している姿や、コンピューターに詳しくない学生に、他の学生が「これを使うと曲が簡単にダウンロードできるんだよー」と得意げに教えている姿もまま見かけられた。
 今回の容疑は、ビジネスソフトなど500以上のファイルを、不特定のユーザーに対して送信可能にしていたという著作権者に対する「送信可能可権」の侵害容疑。他に多数のMP3ファイルを送信可能にした容疑も持たれている。
 さすがにSFCでそこまで多数のファイルを共有していた学生はいないと思うが、掲示板2ちゃんねるのWinMX関係のトピックでは、しつこくダウンロードを要求してきたユーザーとしてSFCの学生が実名で挙げられている部分もあった。
 また、筆者が今日WinMXを立ち上げて検索したところ、他大学の学生がまだPhotoshopという名前のファイル(完全にダウンロードしていないため、違うソフトウェアかもしれないが)を共有していたのを確認できた。
 「P2Pで個人的にやり取りをしているのだから、違法ではない」という建前にユーザーの間で甘えがあったという指摘も多い。しかし、その後ろめたさを補ってあまりある便利さがWinMXにはあったこともまた事実だ。
 あらゆる形式のファイルを、ひとつのソフトウェアで、さまざまな人が分散型でやりとりする。ちょっと気になった曲を、見たかったプロモーションビデオを、手軽に検索して楽しむことができる。WinMXこそが、ブロードバンドネットワークのキラーコンテンツの1つだ、という意見もある。
 ネットワークによる音楽配信が話題になって久しい。しかし、話題に比して利用者が増えているかというと、実態はそうではない。著作権保護のため音楽を聴くPCが限られてしまったり、料金がレンタルCDの何倍もしたりと、ユーザーにとっては敬遠材料の方が目立つ。
 掲示板の書き込みでは、「(コンテンツに対して)お金を払ってもいいから、WinMXを使い続けたい」という声も多い。「今こそ音楽業界、コンテンツ業界一体となってブロードバンド配信の仕組みを作るべきではないか。」
 世界初となる、P2P型ファイル共有ソフトの摘発。ACCS側は「今回の摘発は日本の著作権保護の水準が制度面でも執行面でも極めて高いものであることを示しています」と胸を張る。もちろん、ソフトウェアとコンテンツは分けて考える必要があるが、「保護」だけではなく、今後は「流通システム」でも世界最高を目指して欲しい。