昨年秋のAO(アドミッションズ・オフィス)入試の1期(*)で、一部の志願者が受験できない不利が生じた問題について、来年度のAO入試では改善策が講じられる見通しであることがわかった。SFCのAO事務局が9日(水)、SFC CLIPとの会見で明らかにしたもので、2月中にも正式に発表の見通し。


 受験生の在籍高校が春秋の2学期制度を採用している場合、4月入学生向けに年2回募集されるAO入試のうちの、1期募集を受験することが出来ないケースが生まれていた。応募書類の調査書に記載されている成績が、仮評定であるというのがその理由。一部の受験生からは「3学期制の学校はAO入試の受験チャンスが2回あるが、2学期制の学校は1回となり、不公平だ」と、受験機会の平等の面から疑問の声があがっていたが、これで異常事態は解消されることになりそうだ。
 AO事務局は、こうした機会均等の条件が破られた原因について、今年度、塾全体の日程が変更されために起きた現象だとしている。AO事務局は「AO入試は書類と面接試験により選考し、筆記試験は行っていないので、提出書類はいずれも重要な資料として取り扱ってきた。調査書を前期終了の成績まで見る、という方針は以前から変わっていない。昨年度までは、出願の際は仮評定で出願してもらったが、選考を進める段階で前期終了時点の正式な成績が出るので、その時点で改めて(正式な成績を)提出してもらっていた。しかし、今年度行った入試では、大学全体の日程の関係で、高校側の前期終了の成績が出る時期より早い段階で選考を完了させなければならなくなった」と、選考日程上、許容可能な期限までに前期の調査書を提出可能であれば、仮評定でも受け付けられていたが、それが今年度は不可能になった経緯を説明した。
 AO事務局としても、一部の高校に在籍する志願者の受験機会が少なくなる可能性はある程度予測していたようだが、志願者は他の機会に受験することが可能なので、入試全体の公正さは確保している、と判断しているようだ。「しかし、予想以上に反響が大きかった」(AO事務局)と受け止めて、改善策に乗り出した模様である。入試機会の公平さに対しては敏感な受験生にとっては、早々の改善策の発表が待たれる。
 来年度以降、この問題がどのように解決されるかについての具体的な方策については、現在複数の選択肢が検討されており、2月中に正式に決定・発表の見通し。
 【2学期制】
 SFCと同様の、1年を春学期(前期)と秋学期(後期)で構成する学期制。
 日本私立中学高等学校連合会が毎年実施している「私立中学高等学校実態調査」の平成13年度版によると、平成9年度調査結果(サンプル数1,305校)では140校だった2学期制の高校は、その2年後の11年度調査結果(同1,308校)では180校に、2年後の13年度調査結果(同1,307校)では222校となり、わずか4年間に58.6%もの増加を見せている。
 こうした2学期制への急速な移行の原因には、学校週5日制の導入で授業日(時)数の減少を余儀なくされる状況を少しでも改善しようと、学期間の休みの少ない2学期制を採用する学校が増えていることが挙げられる。
 *「1期」に関して:本来はローマ数字で表記しますが、メールで使用できる文字の制約上、ここでは「1期」と表記しました。