SFC生の就職率の低さが噂になっている。10月21日発売の「週刊現代」に、総合政策学部と環境情報学部が、慶應義塾全学部中最低の就職率であることなどについて掲載されたためである。題名は、「慶応SFC『就職率』5割を切った」。


 その後10月29日(火)に、キャリア・ディベロップメント・プログラム(CDP)オフィスが「SFC生の就職率について」(詳細はリンク参照)というWEBページを公開した。その中で、就職率の低さは進路の決まった4年生が「進路届」を出さず、それによって結果的に就職する学生の割合が小さくなってしまったことが原因であると説明。更に「企業就職率がさほどでもない傾向は、そう悪いことではありません」という考えを表明した。
 CDPオフィスの説明によって就職率低下の原因は判明したが、SFC生の企業での評判の悪さなどについて書かれた「週刊現代」の記事の、学生への影響は未だ大きい。SFC CLIPではこの問題を受け、CDPオフィス担当者にインタビューを行った。
 「SFC生の就職率について」というWEB文書について、担当者は「週刊現代記事への抗議を意識して書かれたものではない」と話を始め、「慶應義塾が公開している就職率のデータに対する世間の反応が、あの記事によって伝わってきたという点で、影響は受けている」と続けた。CDPオフィス側は、「やはり問題なのは、就職届未提出者が多いことです」と述べ、SFC生の企業就職率が低いことについては深刻視していないようだ。
 これまで慶應義塾では、就職に関するデータを公開する際、その数字に関して何ら説明のないまま公表をおこなってきた。届出をしない学生を全て「その他」に組み込むため、統計上「就職者」の割合が低くなる。結果的にそれが、就職率を問題視する報道に結びついたと担当者は見ている。
 また、他大学では事前に3年生のうちから「企業就職希望者」を調査、それを分母として就職率を計算する。しかし慶應義塾の計算方法の場合、母集団は卒業生全員。留学や資格試験の受験など就職以外の進路を考えている学生が多いSFCでは、就職率が低くなってしまう。
 こういった問題への対策として、全学部で就職率のデータ公開方法の改善が考えられている。数字のみを簡単に公開する従来の形から、その詳細まで丁寧に説明を行うという方式への転換だ。更に、これまで行われてきたSFC生の就職届の質問項目を簡易化、オンラインでの提出などをして就職届提出率改善の方策をより一層強化することも図られている。
 学生に対して就職届は提出しなければならないものなのだ、という意識づけをいかに行っていくかが今後の課題のようだ。
 一方、就職活動に対する意識が他キャンパスと比べて低いのではないか、という質問については、「そちらもあまり問題だとは思っていません」と述べ、「リクルートスーツ姿が目立たないのも、SFC生が進路に対して様々な選択肢を用意していることの表れである」との考えを示した。三田に比べて卒業後に「進路がまだ決まっていない」という相談に来る学生も少ないという。また、「企業からSFC出身者への評価が悪い」と報じられていることについては、「実際に企業の採用担当の方とお会いすると、今こそSFC生のような個性的な人材が必要だと言っている」と答えた。
 最後に担当者は「離職率が高くなっていることも、どの大学にもいえること。噂や憶測に惑わされないで、自信を持ってSFC生らしく進路を決めてほしい」とSFC生へメッセージを送った。
 企業からの評判がそれほど悪いものではないとしても、進路届提出率の低さにはSFC生のルーズさがまだまだ見える。届出ることは自分の後輩たちのために必要なことである、ということをいかに学生が自覚できるようにするかが、CDPオフィスにとって当面の課題である。