6日(月)に印南研究室から生まれたベンチャー、中古教科書売買サイト「にのきん」が運用を開始した。にのきんを利用するには会員登録をすることが必要。にのきんは個人間取引を仲介するだけで、直接販売はしない。売り手は定価の4割で売ることができ、買い手は定価の6割で買うことができる。また、学生団体のイベントPRを無料で行うこともできる。


 運用開始から会員登録者の数は、約100人に上り、売買成立件数は5件あった。収益は事業拡大のためだけに使用し、将来的にはSFC以外でも運用していくとしている。
 SFC CLIPでは、「にのきん」の製作者である印南研究室の小田真人さんと池田靖敏さんに取材を行なった。
—にのきんって一体何なのですか?
(小田)にのきん、っていうのを聞いて、ピンと来た人はどれくらいいるんだろう?
(池田)サイトまで来てくれた人は気づくかもしれないけど(笑)。
(小田)にのきんって一体なんだろう、って思わせて、後で「二宮金次郎」っていう種明かしをすることで、忘れられないサイト名になるんじゃないかな、って思ったんですよ。
(池田)サイトに、二宮金次郎の絵が書いてありますからね。なかなか上手に描けなくて苦労しました。このアイデアは佐藤雅彦先生の授業が参考になってたりするかも。SFCの授業、面白いですよね。
(小田)苦労する学生を支援する!っていうのが目標です。日本の大学の教育水準がこのサイトで少しでも高まってくれるとうれしいなぁって思いますね。
—なぜ始めようと思ったのですか?
(池田)教科書は古本屋に持っていっても、100円にもならないから、みんな売る気がしないんだろうと思って。教科書の値段の平均値から、一冊1000円位なら売れるんじゃないだろうか、と思って4割で売れるって設定したんですよ。
(小田)今まで、中古CDや中古漫画や本・ゲームはあったけれど、中古教科書っていうのはなかなかなかった。SFCみたいな大学ではそんなに心配ないけど、国公立大学では教授の印税のために受講生全員に教科書を買わせて、そのアンケートはがきが出席表になるみたいなこともやってるらしい。教科書が聖域になってしまってはいけない、教授は既得権益にしがみつくのではなく、いい本を書いてもらわないとって思いましたね。
(池田)アメリカの大学であれば、生協がレンタル教科書なんかもやってるしね。それに、ちゃんとしたシステムがないと、そういう活動って長続きしなかったり結局不便なものになってしまうと思うんですよ。
—いつから活動しているんですか?
(池田)確か、2年前くらいにこのプロジェクトをやろうと決まったんですよ。
(小田)長かったねぇ。ビジネスプランコンテストに出品したりもしました。
—結果はどうだったんですか?
(小田)努力賞と、審査委員長の教授から「社会正義に反する、福沢先生に恥ずかしくないビジネスをしなさい」というコメントをもらいましたね。そのおかげで、くそーって頑張れた面もあったけど(笑)。
(池田)要は、大学教授の利益に反するからですよね。
(小田)でも、ここはいい大学ですよ。事務も新しい大学を作っていくことに積極的だし、教授は理解があるし。印南教授には感謝してます。
—にのきんの現状はどうですか?
(小田)ユーザがおかげさまで5日目で100人を突破する盛況ぶりでとても感謝してます。あと、在庫リストもだんだん充実してきました。
(池田)あと今日、完了した取引がありました。今も本が何冊か具体的にリサイクルされてます。
(小田)おかげさまで、出だしはうまくいっています。ありがとうございます。
—これからの展望や意気込みがあればどうぞ
(池田)SFCで実践をさせてもらって、その成果を他大学に拡大していきたいですね。現在はまだ赤字ですけど。研究室でやってる関係上、収益は分配できないんです。
(小田)将来は、ベンチャービジネスとして、日本の大学全部を狙っていきたいです。
—最後に一言
(小田)皆さん、にのきんをよろしくお願いします!もう使わない書籍をどんどん登録してくださいね!