前号で報じたように先月末、慶應義塾大学では初となる包括的な産学連携協定が、株式会社日立製作所との間で結ばれた。


 プレスリリースによれば、協定の締結に先立ち産学連携協議会が設置され、昨年10月28日(火)には第1弾目の企画として「慶應義塾大学21世紀COE 拠点リーダー発表会」が開催されていた。具体的には、2002年度および2003年度に慶應義塾が採択を受けた12件のCOEプログラムのうち、7拠点からの研究者が「日立の関連事業の技術者・事業企画者に直接プレゼンテーションを行い、討議する場」を設けたという。プレゼンテーションを行った7拠点は、以下の通り。
▼分野         ▼発表者   ▼プログラム名称
生命科学       柳川弘志   「システム生物学による生命機能の理解と制御」
化学 材料化学   川口春馬   「機能創造ライフコンジュゲートケミストリー」
情報電気電子    真壁利明   「アクセス網高度化光・電子デバイス技術」
医学          河上裕   「低侵襲・新治療開発による個別化癌医療確立」
数学物理地球科学 柴田里程 「統合数理科学:現象解明をと通した数学の発展」
機械、土木、建築、
その他工学       吉田和夫   「知能化から生命化へのシステムデザイン」
学際、複合、新領域 徳田英幸   「次世代メディア・知的社会基盤」
注:21世紀COEプログラムとは、文部科学省が国際的に高水準の大学作りを目指して、特定の予算を文部科学省が選定した研究に重点的に配分するもの。2002年度より開始され、採択された拠点の経費に対して補助が行われている。
この他にも、慶應義塾の研究者・大学院生と日立の研究者・事業推進者とが、先端技術について率直に意見を述べ合う場である「交流サロン(仮称)」の設置も計画されており、未来における全国的な産学官研究ネットワークづくりを、大学と企業が組織として創出・支援していくことが期待されている。