9月入学の1次書類審査の結果が発表された。無事合格した受験生は2次の面接試験へ進むことができる。残念ながら不合格であった受験生も、自分の志を信じ、次の試験へ向け気持ちを切り替えてもらいたい。SFCへの道は、決して一つだけではない。


 今週のWelcom CLIPはAO入試座談会の最終回として、面接編をお届けする。2次面接対策のヒントにもなるのではないだろうか。
<座談会出席メンバー>
AO入試9月入学:N.K. (K)
AO入試4月入学:K.T. (T)
CLIP編集委員:山本恵太
CLIP編集委員:伊藤可久
山本:面接はどのような服装で受けました?
T:制服で受けました。スカートは長くて、ハイソックスでした。すごくきっちりした格好で、髪は黒で2つ結びにして眉毛もぼさぼさでノーメイクだったんです。初めて制服を普通に着こなしたかもしれません。良い子ちゃんスタイルで行きました。
山本:いつも通りの派手な格好で受けたという話も聞きますが、ノーメイクの良い子ちゃんスタイルも多い感じがしますね。周りの受験生がどのような服装だったか覚えていますか?
T:やはり現役生は制服が多くて、あとスーツの人もいました。大人の方もいたのかな。
山本:私服の人はいましたか?
T:たぶんいたと思います。
山本:僕はジャケットだったんですが、集合場所に向かうエレベーターでのことを良く覚えてます。僕の他にスーツの人が二人いて、一人私服の人がいました。そんな感じですよね?
K:私はその私服の人です。
山本:可能性はありますね(笑)。Kくんは私服で受けたんですか?
K:制服はなかったので、黒いズボンにネクタイはせず、半袖の白いシャツを着ました。他の人はみんなスーツ着てネクタイして、どこかの会社にでも行くのかって感じでした。

山本:1期のときの面接会場はどんな雰囲気でしたか?
T:大きなホールみたいなところに集められて、すごい緊迫した雰囲気でした。みんな何もしゃべらなくて。
山本:厳かな感じでしたよね。
T:学部長が出てきて…。
山本:学部長が出てきたんですか? 僕らのときは普通に担当者らしき人でしたよ。
T:そこで学部長が「皆さんは受かる資質があるからここにいるんです。みんな受かります。受かる要素はあるんです」みたいなことをおっしゃられて。それから「面接でちゃんと言えれば大丈夫ですから、頑張ってください」みたいな励ましの言葉をいただきました。面接は泣いてる子もいっぱいいましたね。
山本:泣いてる子いたんですか? 9月入学のときはいなかったと思いますよ。
T:終わった瞬間受かったと思いましたか?
K:やるだけのことはやったって言ったら、普通の人のコメントになるから言いたくはないけど、そんな感じでした。受かってもおかしくないし、落ちても当然おかしくないと。まぁいい感じかなぐらいには思いました。
山本:面接会場で仲良くなった人とかいますか?
K:いますよ。待機する会場はコの字じゃないけど2列になっていて、向かい合わせに座るんです。向かい合った先の人がネクタイしてビシっとしているけど、なんか鼻につくというか俺はお前らとは違うよっていうような第一印象だったたから、ちくしょうおれは高知県の田舎からでてきたけど、お前にだけは負けへんぞって感じでしたね。それで、その人とは情報技術のクラスで一緒になったんです。気にくわんなと思った人が今では仲の良い友達です。
山本:Tさんはどうですか?
T:いろんな人と仲良くなりました。
山本:それはその場でですか? その場では仲良くならないですよね?
T:その場で仲良くなったんです。
山本:すごいですね。どういう雰囲気で仲良くなったんですか?
T:座っててとなりの人がいて、私すぐ人に話しかけちゃうので「緊張するね」とか言って「普通に頭よさそうじゃない?何してたの?」とか話をしました。とても仲良くなって。終わったあと一緒にご飯とかも食べに行きました。
K:私のときは全然そんな感じじゃなかったですね。みんなピリピリしてたましたよね。
山本:そうですね。仲良くする雰囲気ではなかったですね。あ、でも面接が終ってから話してる人はいたかもしれません。
T:他の人は結構ピリピリしてたのかもしれないですね。でもそういう場ってそうやっても自分が緊張するだけじゃないですか。私はそういう雰囲気がダメだから自分をリラックスさせるために隣の人を巻き込みました(笑)。
K:9月入学の試験を受ける人たちってのは後がないですからね。これがダメだったらまた半年間という焦りがあって、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」じゃないですけど、俺は受かるけどお前は落ちろみたいな心境は、正直ありました。まわりもそうだったと思います。
山本:現役生がいるのといないのでは雰囲気が少し違ってきますよね。
K:かなりシビアだと思います。
山本:面接を受ける受験生にアドバイスはありますか?
K:面接となると、どうしても面接官は敵というか、そういう感情が生まれてくると思うんだけど、そこでそういう感じを持つと負けだと思います。面接官がどういうことを自分に望んでいて、どういうことを言わせたいのかということを考えるのが大事だと思います。
T:私は、面接官が受験生の打たれ強さというか、芯を見ていると思いました。自分が言ったことに対してはバンバン質問が飛んでくるんです。でも受験生は完璧じゃないから、答えに困るような状況になるときがあるわけじゃないですか。そういうときどうするか、それを見ているんじゃないかと思います。そこで泣いちゃったり、何も言えなくなる人は受かるのが難しくなりますよね。胸を張って堂々と、でも自分はこうだからこうしたいって言い切ることが大事だと思います。
K:面接官も、たかが高校生に完璧であることなんか望んでないし、そういうことも当然わかった上でやってくれているわけだから、Tさんの言う通りだと思います。

山本:面接が終って、発表までは何をしていました?
T:予備校の模試をぽけーっと受けていました。Kくんはどうしてました?
K:ちょうどそのとき台風が来てたんです。高知県って言うのは台風銀座って呼ばれるくらい台風が通るところで、飛行機が飛ばなかったりして帰ったのは発表の日でした。それで、通知が来る日は予備校の夏期講習を受けてました。あのときあんなこと言っておけばとか、あんなこと言ったからきっと大丈夫とかそんなことばっかり考えていました。
山本:Tさんは合格を見に来たんですよね?
T:はい。合格発表まで時間があったので、横浜の中華街でぶらぶらしてました。一人で肉まん食べたりとか(笑)。でもすごいドキドキしてましたよ。
山本:Kくんはどんな感じでした?
K:郵送されたのを受け取って、現役のときは全滅してるわけですから、まず来た封筒の大きさに驚きました。母に見せて、やったなぁって。予備校のお金半年分払わなくて済むなぁって(笑)。そのとき、テレビでちょうど卒業生の一青窈が歌う「ハナミズキ」が流れてたんです。そのときはまだSFCの卒業生だって知らなかったんですけど、今考えると何か縁があったんだなあと思います。
山本:合格してから入学するまでは何をしていました?
K:免許を取っていました。予備校に合格の知らせをしたり、受けることを黙っていたので先生はみんなきょとんとしてましたね。
T:私は10月に決まって、学校で一番最初に合格が決まったんです。みんな受験生なので遊ぶにも友達誘えないし、予備校も受かったのにいたら邪魔だろうから行かなくて、家で本を読んでました。文学少女でしたよ。
山本:では最後に、これから面接に臨む受験生に何かメッセージはありますか?
T:自分を信じて全力を出せばきっと受かります!
K:書類が通ったのは凄いことなんですよ。
T&K:きみならできる!!
(注:今回使用した写真は、AO入試と一切関係ありません)