1日(木)、ワイヤレスシステム論(担当:小檜山賢二環境情報学部教授)の授業において、NTTドコモIP無線ネットワーク開発部無線アクセス方式担当部長の佐和橋衛氏がゲスト講演を行った。講演の中で佐和橋氏は、研究中の次世代携帯電話ネットワークに関する研究を次々と紹介、今後「10倍、10倍」のペースで通信速度が上がっていく携帯電話サービスの概要を説明した。


 はじめに佐和橋氏は「ドコモでは既に2G(第2世代)携帯のPDCから、3G携帯のFOMAへのユーザ移行が進んでいる」と述べた。また携帯電話ネットワーク全体のトラフィックを見てみると、データ通信などの非音声トラフィックの割合が年々大きくなっており、今後音声トラフィックを逆転するとの予想を紹介。今年は全体の約30%が非音声トラフィックであり、今後より高速なデータ転送の需要が高まっていくことをを説明した。
 そのような中、来年にサービス開始予定の3.5G携帯では、下り最大10Mbpsの程度を出すことが可能になるという。現在のFOMAでは下り最大384Kbpsだが、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)という技術を新たに導入、伝送レートを効率化するなどして高速化を図る。さらに2009年から10年に商用サービス開始が検討されているSuper3Gでは、上りの速度も向上し、最大30-100Mbpsも可能になると述べた。
 また2013年から15年をメドに、4G携帯では最大下り1Gbpsを目指しているという。送信機・受信機それぞれにアンテナを複数設ける多重技術である、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術を利用することによって、速度を圧倒的に速めることができる。ただこれら、いずれの次世代端末が普及するかどうかは、「電池の持ち、対応エリア、アプリケーションの3つの条件にかかっている」と述べた。
 さらに小檜山教授が授業の終盤、「昔は100Mbpsでも難しい言っていたのに、1Gbpsできるようになったのはすごいですよね」と感想を漏らすと、「先生、実は次もあるんですよ」と切り出し、アンテナ6つずつのMIMO技術を利用した、最大下り2.5Gbpsの実験をしていることを明かした。
 佐和橋氏は「我々は常に10年後を睨んでいる」と、今後も積極的に研究開発を進めていく姿勢を表明。「オペレータというのは、次の可能性を示すことによって、産業界全体を引っ張っていかなければならない」として、メーカーや研究者を動かす重要な役割があると語った。