災害が起こって電気が止まったら、温かいご飯は食べられない。そこでコンロや薪がなくても、身近な材料でおいしくご飯を炊くことができる方法をお届けします。今回は前編です。


 こんにちは。前回の岩盤浴の記事に引き続き、たけはるです。私は秋から一人暮らしを始めています。一人暮らしの引越し準備をしているとき、母が防災グッズを用意してくれました。その中身を見て浮かんだ疑問が一つ。
「災害時は乾パンやカロリーメイトしか食べられない。温かいご飯が食べたいと思うなんて贅沢なのかしら」
 食いしん坊の私ならではの疑問ではありますが、調べてみるとありました。電気無しでもご飯を炊ける方法、その名も「サバ飯」。サバイバル飯の略です。なんと、国際サバ飯研究会というものがあるのです。ちょうどCLIP合宿が行われるということもあり、実験してみることにしました。手順は以下の通りです。

  1. 缶2つの上部を切り取り、一つの缶は空気穴および燃料口(幅3cm高さ1.5cm)を缶の側面上部と下部に2つずつ90度間隔であける。
  2. もう一つの缶に米0.8合分と米の1.1倍の量の水をいれ、アルミホイルでふたをする。
     ※蒸気が漏れないようにふたを容器に密着させる。
  3. 1リットル牛乳パック3つを解体し、それぞれ折り目にあわせて4枚に切り、さらにそれを1-1.5cm幅に切り、燃料棒を作る。
  4. 2で作った缶を1の缶の上に乗せ、下の缶にはあらかじめ燃料棒を3-4枚入れておく。
  5. 火をつけた燃料棒を下の空気穴からそっと入れる。
     (チャッカマンなどがあれば直接空気穴から入れられるので簡単かつ確実)
  6. 上の空気穴から燃料棒を投入し、燃料棒がなくなるまで(約25分間)勢いの強い炎を持続させる。
     ※燃料棒を投入する際は、軍手をはめる。

    引火してみると、燃える燃える。少しずつ燃料を足していくと、上の2つの空気穴から炎がでて、缶が「ばんざーい」をやっているように見えます。ちょっとカワイイと思いながら傍観しているうちに、炎が弱くなってしまいました。どこからそんなアイテムが出てきたのかはわかりませんが、扇子で空気を送る先輩ワセダさん。その後もテンションの高低差が激しい炎は、何度も私の寿命を縮めていたのでした。

  7. 燃料棒がなくなったらお好みで何分間か蒸らしてから、ふたをOPEN!
     やったー! といくはずだったのですが、ごはんに芯が…。そうなのです。激しい炎を持続することができなかったために、うまく炊くことができなかったのです。国際サバ飯研究会によると、このサバ飯作りは成功率100%らしいのですが、その不敗神話は見事私が破ってのけました。今回の反省点は2点。
    ・実験をした場所の風通しが悪かった。
    ・牛乳パックがうまく持続して燃えていなかった。
     これらを反省してリベンジすることにしました。CLIPの皆が花火で楽しんでいる隣で、私はひとりサバ飯係。いいんです。ここなら風通しがいいんです。燃料も悪かったんだと勝手に判断した私たちは、牛乳パックのかわりに、新聞紙を短冊状に切って使用してみました。大体、災害時に牛乳パックが身近にあるとは思えません。新聞のほうがずっと現実的だし、たくさん燃えそうですもの。そして新聞紙の燃料棒を投入してみると、かなり炎がでる! 調子に乗ってじゃんじゃん燃料棒を入れていたら、灰が下の空気穴にたまる…。
     空気穴にたまるとせっかく風通しがよくても意味がないんですね。だんだん火の持続力が悪くなってきたところで、ワセダさんが思いつきでろうそくを投入! なんだか火がとっても元気です。これなら炊けるぞ! とわくわくしていたら…。缶がゆがんでる…!! 新聞とろうそく投入により火の温度が高くなりすぎ、アルミがその温度に耐えられなかったのです。どうする!? どうする!?
     とりあえず周りにあった石をゆがんだ側面の周りに置き、補強。なんだか「ミニかまど」みたいになりました。そのおかげで缶崩壊は免れ、私は火の勢いを保つことに専念することにしました。が、うまく火の勢いが持続しない…。それでも燃料棒はどんどんなくなっていき、25分間が経ってしまったのでとりあえず蒸らしの段階に入ることにしました。

    蒸らした後、恐る恐るふたをあけ、少し試食してみる。硬い…。一見炊けていたようだった米は、食べてみるとほんのり硬い青春味でした。花火の時間をサバ飯に費やしたにも関わらず、合宿中に食べられるサバ飯を作ることができなかったという惨事。でもめげません。災害時でも皆さんが温かいご飯を食べられることを証明しなくては! ということで後編に続きます。