湘南エリアを舞台に活動したいと考えている人をサポートする、株式会社NERV(ネルフ)による「アントレプレナーシップ育成講座」。2022年から行われている本講座もついに、第4期生の募集が始まります。募集期間は3月29日(金)〜5月7日(火)です。

今回はNERVの代表取締役である久野孝稔さん(2024年4月からSFC特任講師として湘南エリアのまちづくりに関する教育研究業務を兼務)に改めて講座への想いを、そして2024年1月から3期生として活動を始めた中村彰吾さんに、辻堂のU-Port Shonanオフィスでお話を伺いました。

「人と可能性に満ち溢れた」湘南の地域性を体感してもらいたい

株式会社NERV代表取締役の久野さんに講座が目指すところを、そしてSFC生に期待していることを伺いました。

—— はじめに、久野さんが考えるNERVの在り方を教えていただきたいです。そして、大学生に期待していることはなんでしょうか。

いくつかあるのですが、大学生に、特にSFC生に期待したいことがあります。せっかく湘南の学舎に来ているのだから、湘南全体の地域性を体感してほしいのです。大学はそもそも学際的な研究領域で、様々な学問の、様々な立場の人たちが集まっているという点では確かに「街」ですけれども、ぜひそこから飛び出してもらいたい。実際のリアルな「街」という環境で自分が学んだことを試してみたり、いろいろな立場の人たちに話を聞きに行ってみるという経験を積んでいただきたいです。そのような観点から湘南をもっと味わってみるという体験から培ったネットワークが、社会に出た時に必ず生きてくると考えています。

「湘南の地域は本当にポテンシャルに溢れています」と語る久野孝稔さん 「湘南の地域は本当にポテンシャルに溢れています」と語る久野孝稔さん

ここ湘南は「地域」という感覚を保ちつつもいろいろなものが詰まっています。確かに都内も色々揃っていますが、逆にありすぎてしまって、「地域」という感覚が失われてしまっているんですね。

—— なるほど、湘南という地域はバランスが良いのですね。

その通りです。湘南はいわゆる100万人経済圏で、頑張れば目立つこともできます。この地域で頭角を表すと、すぐに様々な情報が入ってくるんです。学生時代から湘南で意欲的に活動をしたい方をNERVがしっかりサポートするという在り方は、一つのユーザーエクスペリエンスとして新しい価値であると思っています。

起業家を目指す手前の段階こそ、精神性を養う絶好の機会

—— この講座のターゲットはどのような人でしょうか。

起業家を目指す手前のところだとピッタリですね。起業したいと思っていて、やりたいことが決まっている人はNERVを介さなくても良いんです。それに向かって一直線に進めば良いわけですから。一方で、そういう人材になりたいと思い始めている、やりたいことが朧げながらあるけれどまだ煮詰まってない等、そのような人たちに対して、我々のサービスは非常にいい経験を提供できると思っています。

特に大きいのは、NERVでの経験が一過性で終わるものではないという点ですね。一度知り合って、何かしら足跡を残していただくと、これから先もずっと繋がりが残るわけです。

NERVでの繋がりは一生モノです NERVでの繋がりは一生モノです

—— 以前は「起業家育成講座」という名前だったと思いますが、「アントレプレナーシップ育成講座」にアップデートされましたね。

そうなんです。会社を立ち上げるのはあくまでも手段ですが、「起業家育成講座」だと起業家にならないといけないというプレッシャーを与えてしまうと感じました。そのため、「アントレプレナーシップ」のマインド部分を一緒に作ることに重きを置いています。

憧れを憧れで終わらせないような、今までできないと思っていたことができるという体験をしてほしいです。私だけの力ではできないので、色々な方のネットワークを使い、総動員でやります。こういう人に会ってみたいということを素直に言っていただければ、その成就のためにNERVが一緒になって動きます。

—— 自分1人の力では会えないような人とも会って繋がりを構築できるのは魅力的です。久野さんは様々な活動に携わっておられますが、その原動力はどこにあるのでしょうか。

生きている間にいろいろな人と関わって楽しい世界を作れたら良いなというところからです。世の中には課題がたくさんあるじゃないですか。多くの課題は当事者目線のみで考えてしまうと暗くなって悪循環に陥ってしまうものなんです。そこを一緒に考えていくということがスタートアップの醍醐味であり、これまでにないサービスを作っていくことに課題解決があるわけですよね。このように課題を解決して「楽しい世界」「理想的な社会」を作りたい。それが私の原動力です。

仕事は、不可能を可能にすることだと思っています 仕事は、不可能を可能にすることだと思っています

—— 今後の展望についてお聞かせください。

私は湘南をシリコンバレーのような「起業の聖地」にしたいと考えています。多様な立場の人々がイノベーションについて常に議論している。そういった環境にしたいのです。NERVのネットワークも湘南だけにとどまらずに、さらに拡げていきます。先日は京都でも繋がり、近々つくば方面の方も参加する予定です。

地域ごとに自律的に活動している人たちの横の繋がりを「エコシステム(生態系)」と言うのですが、エコシステムを作ることで、どこかのタイミングでお互いの人生に役立つ場面が作れると思います。薄く広く繋がっている状態を作ることで、いざという時に意味のある繋がりを短時間で作ってしまうことが可能となるのです。いわゆるゼロからコネクションを開拓するようなことをしなくて済むようになりますし、その分、運が良くなったり、チャンスが増やせることに繋がります。

第3期生へのインタビュー!

さまざまな側面からチャレンジ精神溢れる若者の背中を大きく押してくれるNERVのアントレプレナーシップ育成講座。2024年1月から実際にNERVの「アントレプレナーシップ育成講座」の第3期生として活動を始めた中村さんにもお話を伺いました。

第3期生プロフィール

中村 彰吾: 神奈川県藤沢市出身。2019年京都大学教育学部卒業。株式会社リクルートライフスタイル(現株式会社リクルート)に新卒入社し、飲食領域にて広告、業務改善の営業に従事。2022年より株式会社ペライチに入社。カスタマーサクセスチームの立ち上げに携わり、2年連続で年間チーム賞を獲得。中小企業、個人事業主の方々のDX推進のためにユーザーサポートの企画立案、実行に取り組む。地元の辻堂で起業を志し、NERVに加入。

—— はじめに、この講座を受講しようと思ったきっかけを、ご自身の背景も交えながら教えていただければと思います。

ありがとうございます。私は出身が湘南なんです。大学時代は京都で過ごし、卒業後は再び地元の辻堂に帰ってきました。将来的に自分で事業やサービスを立ち上げたいという想いは学生の頃から漠然と抱いていました。会社で働きつつその道を見つけていければと考えていましたが、実際に会社員として働き始めてみたら、働いているだけではその道が見えてこないと思い始めました。自分で行動を起こして学ぶ必要性を感じ、調べている中でたまたま、地元の湘南エリアで活動しているNERVに出会ったのです。

NERVとの出会いを振り返る中村彰吾さん NERVとの出会いを振り返る中村彰吾さん

—— まさに地元なのですね。現在講座ではどのようなことに取り組んでいるのでしょうか。

本格的に動き出したのは1月からで、今は大きく2つのことに取り組んでいます。1つ目は起業についての勉強です。「湘南ヘルスイノベーションパーク」や「京都リサーチパーク」という研究開発型の企業や産業支援機関が集う場に足を運んでセミナーに参加したり、鎌倉エリアでも起業家が集う場所である神奈川県の施設「HATSU」で、先輩起業家のプレゼンテーションを聴いて勉強しています。2つ目は先輩起業家へのインタビューです。私は教育に関わるサービスを提供したいと考えているので、それに関連したいくつかの企業や、近々鎌倉市の教育長にもお話を伺う予定です。普通ならなかなか辿り着けないような方々に直接アプローチできるのがNERVの醍醐味ですね。

—— NERVの講義から何を学び取りたいとお考えですか。

事業内容にも関係しますが、自分の中の基準と周りの環境はとても密接な関わりがあると思っていて。起業するなら、起業するのが当たり前の環境に身を置くことが重要だと思っています。周囲に既に起業していたり、そのために色々準備を進めていたりしている方々にお会いできればと思い、NERVのコミュニティに入りました。このコミュニティに一旦所属すると、一生モノの繋がりになると思います。

地元・湘南エリアにて、教育事業展開への挑戦

—— 現段階の事業構想について教えてください。

中高生向けに、偏差値では測れない部分を伸ばして、その人らしい個々人の伸びしろを評価できるようなサービスを提供できればと構想を練っている段階です。自分がやりたいことを突き詰めて、やり遂げる力を養えることが大切だと思っています。

—— 確かに、日本は偏差値を重視している風潮が強いと感じます。

偏差値は努力を測る一つの指標としては良いと思います。問題なのは言われたこと、与えられたことをこなせるのが偉いのだという風潮です。子どものうちから自分が何をするべきかを自ら考えられるような、自分の価値基準を作る過程を提供したいと思っています。

現段階での事業構想を語っていただきました 現段階での事業構想を語っていただきました

—— 数値化できない部分を測るのはなかなか難しそうです!

どのように事業化できるかは、今、絶賛考え中です(笑)

—— 偏差値では測れない部分に着目した理由は何故でしょうか。

中高大で硬式テニスを続けた中で部活のキャプテンを任されたこともあり、「リーダー」として自分で考え、発信するという経験を学生時代から積み上げてきたことが大きいかもしれないです。人から言われたことを淡々とやるよりも、自ら考えて行動し、現状を変えていく、課題を解決していくのが楽しいなという価値観がつくられたのかと思います。

真剣な眼差しでインタビューに応える中村さん 真剣な眼差しでインタビューに応える中村さん

あと、最初に入った会社では営業の仕事を担当しましたが、今まで自分がやってきたこととは全く異なっていて、学生時代の「偏差値」とか「勉強」で評価される世界ではないんです。とにかく学生の頃に思い描いていたものとは全く違う世界でした。愛嬌のある人、人の懐に飛び込むのが上手い人が自分よりも成績が良い、という環境の中では偏差値はなんて無意味なんだろうと思っていた時期も正直ありました。社会でも活躍できる力を、社会に出てから学ぶのではなくて、学生の時から学べていたらよかったなと思ったことが、きっかけとなっています。

—— 学生時代に思い描いていた社会と、いざ出てみた時のギャップが大きかったということでしょうか。

大きいというか、そもそも学生の時って社会に出て働いているイメージってあまり湧かないですよね。未知の世界すぎて。自分の学生時代を振り返って改めて考えてみると、社会に出てから自分がやりたいことをして生き生きと働くためには学生のうちに世の中で働くということの解像度を上げておくことが大事だと思います。

—— 大学も教育学部で、教育に対する熱意が伝わってきます。

中学時代のテニス部の先生がすごく好きで。体育の先生だったのですが、パッション、チームワークを非常に大事にしている方で、偏差値を上げるだけが教育ではない、と教えてくれました。とても尊敬しています。その一方で、学校ではなぜこんなにも成績をあげろと言われ続けるのかというのを高校時代に漠然と考えていました。

最初は教師になろうと思って教育学部を志望したのです。その先生の影響もあり、人に教える、ということが良いなと思っていました。しかし在学中に、学校という現場、「学校教育」が好きというわけではないと気づき、結局教師にはなりませんでした。だからこそ今はこのような形で挑戦しようと思っています。

アントレプレナーシップとは

最後に、この講座の核である「アントレプレナーシップ」についてお二人にお聞きしました。

お二人の情熱が伝わってきました お二人の情熱が伝わってきました  

—— お二人とも生き生きと話している様子が印象的です。最後になりますが、お二人にとって「アントレプレナーシップ」とはなんでしょうか。

久野さん: 私にとってアントレプレナーシップは、「自分に足りないものを認識して、それをつかみ取る行動力」です。人に言われずとも自分自身を内省し、やりたいことに対して、これが足りないなってことがあったら、捕まえに行く。
中村さん: 私は、「常識にとらわれない人」かなと。「現在の仕組みの中で成功することを目指すのではなく、今ある常識を壊し、新たな常識を作る人」だと思います。「世の中の仕組み、社会に問いを立てられる人」がアントレプレナーであると考えています。

—— お二人の言葉から、自分の価値基準を持つことの必要性がさらに感じられます!

中村さん: 世の中に問いを立てるためには、まず知識が必要であるため、とにかく学びが重要です。今の段階ではサービスの形はまだ構想中です。学校に導入してもらうのか、自分が立ち上げて何かを作り上げるのか。これからNERVでの人との出会い、つながりを通じて、より突き詰めていければと思っています。

—— どのように進化していくのか、今後が楽しみです。ありがとうございました。

NERVでは第4期生を絶賛募集中です。我こそはという方はぜひNERVの門を叩いてください。あなたの積極的な行動を後押しします!

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