箱根駅伝出場の田島さん(環1)にインタビュー!「次こそは、慶応のたすきで」
1月3日に行われた第98回箱根駅伝の復路にて、田島公太郎さん(環1)が関東学生連合選抜メンバーとして7区を走り、たすきを繋いだ。SFC CLIP編集部では、田島さんに箱根駅伝に臨むまでとこれからの意気込みについて話を伺った。
「洗練を受けた」初の大舞台 走り出してから不調に気づく
—— 箱根駅伝出場おめでとうございます。初の箱根路、率直な感想を聞かせてください。
ありがとうございます。中高で駅伝規模の大会には参加してきたのですが、その経験をもってしても、全然勝負ができませんでした。「洗練を受けた」というのが一番の感想です。距離が格段に伸びただけでなく大会の規模の大きさや、観客の熱気からも圧倒されつつ、すごく貴重な経験ができました。
実は当日、走り出してから調子が悪いことに気づきました。途中で止まりそうになるなど、いつもの自分のように走れなくて、心が折れそうになりながら走っていました。
—— 不調にはいつ気づいたのでしょうか?
ウォーミングアップの時からです。当日、始まる前だったため自分を「大丈夫」と鼓舞していたものの、本音では足が思ったように動いていませんでした。中継地点に立って、走り出したときに気づきました。下り坂から始まる区間だったので「意図せずともペースは上がるだろう」と想定していたのですが、ブレーキをかけなくともタイムやペースが遅く、本当に最低限の仕事だけこなせたという形でした。
—— それでも無事に走り切れた理由はなんでしたか?
信頼できる2人のチームメイトに給水を頼んでいたことが大きかったです。1人は同期なのですが「今、最高にかっこいいから!」と送り出してくれました。彼自身が今年、苦労していたことを知っていたので、彼の分も走ろうと思いました。もう1人は4年生の先輩で「最後だから全部振り絞っていけ」と背中を押してもらいました。主力選手ながら怪我で予選会を走ることができないまま引退してしまった先輩の一言には胸が熱くなりました。ラスト6km、泣きそうになりながら、走り切ったのを覚えています。もちろん、見えないところでも応援してくれた仲間の存在や沿道の方の声援なしでは走れなかったですね。
自分で一から作り上げるチームで高みを目指したい、とSFCへ。
—— 走る前までの「箱根駅伝」のイメージはどんなものでしたか?
僕にとって、憧れの場所でした。高校時代から箱根駅伝に出場した卒業生がたくさんいる熊本県の九州学院で、陸上に打ち込んでいたこともあり、本当に憧れでした。
—— 大学を選んだきっかけは何でしたか?
自分で一から作り上げる慶應のチームで高みを目指したら、ものすごくかっこいいと思ったからです。母校である九州学院は、僕が入学した時点で14年連続全国出場という強豪校でした。元から強いチームで高校時代を過ごした分、スポーツ推薦がない慶應のチームで土台作りから関わりたいと思いました。
加えて、21チームしか出場できない箱根駅伝は47校出場できる高校の全国大会よりも出場のハードルが格段に上がり、やりがいを感じます。その中でもSFCを選んだ理由は、多分野を融合して学ぶことができると思ったからです。僕自身、小学校から中学校までは吹奏楽部に入っており、音楽にも興味があるからこそ、陸上と音楽の 2つを融合した研究もしていきたいです。
1年生ながら、積極的に練習を「作っていく」意識
—— 練習で意識していることがあれば教えてください。
「受け身にならないこと」を意識しています。監督が決めてくださるメニューを淡々とこなすだけでは強くなれません。だからこそ、どういう意図があってこのメニューになったのかを考えた上で、1年ながら積極的に練習を「作っていく」と意識して行っていました。
—— 「受け身にならないこと」を意識するようになったきっかけはありますか?
練習の強度が高くなってくると、先頭で走ってくれる先輩に着いていく等、こなすことで精一杯になってしまいます。高校時代の練習を振り返ってみて、そこまで強く記憶に残っている練習が少ないことが問題だと感じました。だからこそ、大学ではいつ振り返ってもしっかり記憶に残る練習がしたいという意味で、普通の練習から積極的に練習しています。
—— 最もハードだった練習を教えてください!
箱根駅伝の予選会直前に、実際のレースペースの設定タイムである3kmを9分ペースで走る練習を5回行いました。
—— 大変そうです……!
それこそ、湘南台からSFCまでの最短ルートを通ると10分半で着くペースです。それを2往復するイメージです。
—— まさかSFCで例えられるとは!(笑)。バスより速いことに驚きました。
共通項かなと思って(笑)。合計15km走るという大変なメニューを聞いた瞬間、本当にできるのかと思いました。数人脱落する中でも、速いメンバーが結構まとまってゴールすることができ、予選会に向けてチームとしても団結感や「できた!」という達成感がありましたね。ちなみにこの練習は、後にも先にもこの一回だけです。
楽しむチームに 「次は慶應のたすきで箱根路を走れたら」
—— 関東学生連合として他大学の選手とも練習をしたと伺いました。チーム慶応に生かせる部分はありましたか?
「キツさを楽しむこと」と「積極的にチームづくりをすること」が大事だと学びました。先ほどの「受け身」の話に通じる部分もあるのですが、やはり各大学のエースたちが引っ張っていく姿勢をみることは刺激になりました。
他にも、周りを鼓舞する姿勢を持つ選手が印象的でした。今のチーム慶應に足りない部分だと感じたため、今年はそこを変えていきたいです。箱根駅伝の学生連合の選抜は2度走ることができません。段階を踏んでいけば、慶應として箱根を走ることができると思っているので、次こそは慶應のたすきをかけて箱根路を走りたいです。
—— 「楽しむこと」が、これからのキーワードになりそうですね!最後に一言お願いします。
今の4年生が「箱根駅伝プロジェクト」の最初のメンバーとして、ボロボロだったチームの土台づくりを一からやってくださいました。だから今、僕らは箱根駅伝を目指すことができています。この一年、最終的に箱根には立てたのですが、正直まだ箱根の器ではなかったことを思い知らされました。今年は選手としてもスケールをもう一回り大きくして、箱根だけでなく、全国的に戦える選手に成長していきたいなと思っています。引き続き頑張りますので、応援のほど、よろしくお願いいたします!
—— ありがとうございました。