体育会野球部員のSFC生をこれまで2回にわたり取材してきたが、ラストを飾る今回は副将のSFC生である森下祐樹選手(総4)、小川尚人選手(環4)のおふたりに対談インタビューを行った。早慶戦の感想や今後の目標を聞くなかで、優勝に対する強い思いが感じられただけでなく、お互い終始笑顔で仲睦まじく話す様子が見受けられた。

笑顔で対談してくれた小川選手(写真左)、森下選手(写真右) 笑顔で対談してくれた小川選手(写真左)、森下選手(写真右)

数年ぶりに帰ってきた応援席のある早慶戦

—— 早慶戦を振り返って率直な感想をお願いします!

森下選手)コロナ禍が落ち着き、数年ぶりに外野席にお客さんが入った点は今までとは違うなと感じました。僕はピッチャーだったので、ブルペン(投球練習場)ではお客さんと近いところで応援を受け、あらためて応援の力の大きさに気づかされました。

小川選手)初戦の対 法政大学戦からチームとして大幅に成長できていて、チームの色である「慶應らしさ」を守備でも攻撃でも出せた試合でした。

選手にも伝わっていた応援の力

—— 早慶戦ならではの緊張はありましたか?

小川選手)僕は試合時、内野手なので早稲田の応援が目の前に広がっていて、点が入ったときの「紺碧の空」(早稲田応援歌) には圧倒されました。もう、肩を組んだ観客の応援の迫力はすごかったです。でも、スタンドの人に聞くと慶應側の「若き血」のほうが迫力があったと聞いたので、早稲田以上の応援をしてくださったのかと思うと、すごさを改めて感じました。

森下選手)別に変な意味じゃないんですけど、僕は人に見られるのが好きなのでそういう意味では力になったかなと思います。

小川選手)大舞台に強いね。

森下選手)打たれましたけど。

—— いや、立てるだけすごいです!

森下選手)ありがとうございます(笑)。

後輩に尊敬される森下選手

—— 竹内丈選手(環1)からエピソードをお聞きしたのですが……竹内選手が初めてマウンドに立つときに緊張していたのを見て、森下選手が「3回ジャンプしたら緊張がほぐれる」とアドバイスをくださったそうですね。

森下選手)あ〜、恥ずかしいね(笑)。

後輩の言葉に照れるおふたり 後輩の言葉に照れるおふたり

—— 実際に竹内選手がアドバイスの通りにジャンプをしたら、緊張がほぐれて本当にありがたかったそうです。

森下選手)どうだったのかは本人から聞いていなかったので、僕も今初めて聞きました! 実はこの方法は学部2年秋の明治神宮の決勝という、僕が公式戦に初登板した際に当時の助監督に教えてもらいました。そこから僕のルーティーンになっています。丈(竹内選手) を見たら緊張していたので、アドバイスをしてみました。「緊張がほぐれた」と聞けてよかったです。

—— ちなみに尊敬している先輩を聞いたところ、森下選手だそうです。

森下選手)本当ですか(笑)。

小川選手)さすが。

森下選手)今度、ご飯連れて行きます。あんまり考えてなかったですけど(笑)。

秋季リーグ戦に向けての熱い思い

—— 秋季リーグ戦に向けてチームがどうなっていたいですか?

森下選手)今年の春は、最初の見立てに比べたら結構上出来だったと思います。けれども、秋に明治大学と法政大学に勝つとなると、春以上にピッチャーがしっかり抑えるということが必須になると思うので、最小失点というのを意識してやっていけるようにしたいなと思います。

10/23時点での勝敗表(Tokyo Big6 Baseball Leagueより) 10/23時点での勝敗表(Tokyo Big6 Baseball Leagueより)

小川選手)春が終わってから一球一球へのこだわりを練習内で意識しています。また、キャプテンの廣瀬(隆太、商4)だったり、チーフの関(展里、環4)や宮崎(恭輔、環4)、3年生の本間(颯太朗、総3)や斎藤(快太、商3)と一緒にみんなで声を掛け合ったことで、練習でコミュニケーションの質がだいぶ上がってきたのを感じました。そこはもっともっと突き詰めていくべきだと思っています。

真剣な森下投手 真剣な森下投手

—— 個人としてはどうなっていたいですか?

森下選手)僕はずっと先発を目指しているので、先発を目指した上で最終的には任されたところで全部無失点でいけるように、0を並べられるようにしていきたいなと思っています。

小川選手)僕はベストナイン(*)を取るということを目標にしてきたので、ベストナインを取るために、夏に向けてバッティングの強化により一層取り組んでいきたいと思っています。

(*)ベストナイン: 東京六大学野球の選手表彰

小川選手の目標「三田に天皇杯を持っていってパレードをしたい」

—— ラストイヤーとしての目標を教えてください。

森下選手)まずは優勝したいというのはチームの目標としてあるんですけど、個人的にはベストナインを取りたいと思っています。

小川選手)僕はそうですね、優勝して三田に天皇杯を持っていってパレードを絶対したいなと思います。この3年間、優勝したこともあったんですけど、コロナで僕たちの代は一度もパレードを経験できていません。チャンスは今年の秋にしかないので、僕たちと応援してくださる人たちと三田を歩いて……というのを絶対したいです。

森下選手)つまりは……!

小川選手)そう、つまりは優勝。

お互いが思う印象は「芯が強い」「周りを見ている」

—— お互いの印象について教えてください!

森下選手)難しいのきた(笑)。

小川選手)パッと出てくれよ。僕が考える森下選手の印象は、大きな瞳がチャームポイントですかね。

森下選手)鼻も。

小川選手)え、鼻も? たしかにね。あと、性格は芯の強さというのが森下の誰よりも強い良いところ、素敵なところだと思っています。誰かと話す時も練習の態度とか姿勢とかも自分のこだわりが強くて。でも自分よがりではなくてチームの勝利のために、アスリートとしてのとても大事な軸を持っているように感じています。野球の時は。

森下選手)野球の時は(笑)。そうですね……(記者の方を見て)どう見えます?

—— 面白そうな方に見えます。体育会野球部ホームページの将来の夢のところに「億万長者」と書いてあって……

小川選手)あ〜あれね〜(笑)。ずっと残ってるよね〜。変えないとな。恥ずかしい(笑)。1年生の時に書きました。

森下選手)(小川選手についていろいろ考えるも)印象はないです。

小川選手)嘘だろ。

森下選手)印象……、え〜、とても周りを見ているところですかね。僕は自分を中心に考えがちですが、逆に尚人は自分の軸をほったらかしにしてまで周りやチームを常に考えているので、そういった理由で副将に選ばれたんだろうと思います。

森下投手が小川選手を撮影する仲睦まじい様子も 森下投手が小川選手を撮影する仲睦まじい様子も

共通点はまさかの色白!?

—— おふたりとも全然違うタイプだと思うのですが、共通点はありますか?

森下選手)共通点……難しいですね。野球という共通言語ですかね、あとチームの目標はありますね。尚人もチームのことなど言ってますけど、やはり選手として活躍したいだとか、選手みんな何かしらの気持ちを持ってると思うので、そこは共通点だと考えています。難しいですね、タイプが違うからね。でも優勝したい思いや野球に対するゴールは一緒です。後もう1人善波(力、商4)と、あとはキャプテンの廣瀬とチーフの関とみんなタイプが違って補い合ってる感じです。で、似てるところ……え、どう?

小川選手)パッと出さなきゃダメだよ。

森下選手)全然わからない……あ、共通点肌白いでいいや。

小川選手)共通点肌白い(笑)。元々の肌が白いんですよね。最近焼けちゃいましたけど。

共通点を考えるおふたり 共通点を考えるおふたり

お互いをリスペクトしている一面も

—— お互いが思う羨ましいところや強いところはありますか?

森下選手)ないです。

小川選手)ええ。

森下選手)ええ(笑)、えーっと。

小川選手)森下の羨ましいところは、言語化能力が高いことです。投げ方の感覚や意識の言語化が大切だと思うんですが、その能力が森下は高いです。コーチや助監督の大人と話すときも、自分の感覚を自分の言葉で伝えているんですよ。僕はそれが苦手で、動画を使わないと感覚や自分の動作を振り返れないので、言語化が上手いところが羨ましいですね。

森下選手)進学校だったからね、そこかな。

小川選手)高校の偏差値か(笑)。

森下選手)高校の成績は下から三番目とかだったけどね(笑)。僕はコツコツ続けるのが苦手なので、全部効率よくというか、成果出すために本当に少ない労力で結果出したいと思っちゃう。でも尚人は言われたことをすぐに実践するというか、監督からこれやってみろと言われて僕が疑問を抱いてしまうときも、まずやってみるということができるので、そこは羨ましいな、いいなと思いますね。

終始笑顔な小川選手 終始笑顔な小川選手

秋季リーグ戦も目を離せない!

—— 最後に応援している方に向けて何かメッセージはありますか?

小川選手)いつも応援していただいてありがとうございます。秋こそは優勝してみなさんと一緒にパレードをし、神宮や三田で喜びを分かち合いたいと思っています。応援よろしくお願いします。

森下選手)そうですね、早慶戦はお客さんもたくさん入ってくれて、すごい力になったんことが僕としても野球部としても嬉しいです。平日まで持ち越さないように頑張るので、ぜひ土日は応援しに来てください。

小川選手)春はちょっと平日が多かったね。

森下選手)なるべく土日で決着をつけられるように頑張るので、ぜひ来てほしいです。もちろん、試合に勝つことだけではなく、プレー以外でも細部までこだわろうという話を野球部の中でよくしています。僕たちはそういうつもりで頑張るので、ぜひ来ていただけたら嬉しいです。

—— お忙しい中、ありがとうございました!

計3回の体育会野球部員への取材で野球に対する熱い思いはもちろんのこと、彼らの意外な一面やSFCでの様子がうかがえたのではないだろうか。ぜひ読者のみなさんも体育会野球部を応援しよう。そして、高校に続き優勝を呼び込みたい。

なお、体育会野球部員へのインタビューの第1弾第2弾はすでに配信している。

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