「SFCに新しいカフェが誕生します!」という3月30日の突如として現れた投稿が一躍3万もの閲覧を得た、注目のカフェ「endores」。3日間のプレオープンを経て、7日から生協の一部をリニューアルしオープンしたカフェの学生店長の小泉大さん(総2)、建築デザイン担当の滑川寛さん(環2)に話を伺った。

一番好きなパンの値札と共に(左:小泉店長、右:滑川さん) 一番好きなパンの値札と共に(左:小泉店長、右:滑川さん)

床も壁もSFC生が1から作業「12席のカフェにして行けたら」

—— オープンした今の素直な気持ちを聞かせてください!

滑川さん

僕は主に準備期間中、施工を担当したのですが、今は「無事何とか間に合ってよかった」というのが一番ですね。実は、内装作業は3月30-31日の2日間で準備していたので「本当に終わるのか」という不安感が強くありました。フローリングの床材も意外とはめるのにコツがあり、2-3人で淡々と作ったので、本当に間に合ってよかったです。

床材をはめている様子(提供) 床材をはめている様子(提供)

1から壁紙を貼ったという 1から壁紙を貼ったという

小泉店長

オープンした今の状態は「暫定的」だと思ってもらえたら嬉しいです。コンセプトは「SFCで育てるカフェ」なので長い目でこのプロジェクトを見てほしい。現在のオープンの状態から広がりを持たせたいし、SFC生にも完結しないように見守ってほしいし、一緒に作りあげるカフェにしていきたいです。

例えば、このフローリングも生協の一角だからこそ4月の間は教科書販売スペースがあり、使えない状態ですが、その時期が終わったらなるべく早く生協の入り口まで伸ばして、椅子とテーブルも置いたコミュニティスペースにしたいです。

このプロジェクトに参画するメンバーの中にも空間デザインが専門の学生もいて、建築CADで立体的に考えたところ12席を予定しています。

倉庫になっている部分にも席が置かれる予定だ 倉庫になっている部分にも席が置かれる予定だ

目指すは「"脱"パン屋呼び」 カフェとして認知してもらえるように

—— ちなみにお客さんからはどんな反応が来ていますか?

滑川さん

「パンが美味しい」という声が一番届いていますね。それこそコンビニでもパンは売っているけれど「やっぱり焼きたてが美味しい」と、毎日Twitterに載せてくれるような、かなり頻繁に買ってきてくださるお客さんもいます。

—— ちなみに今回の取材陣も全員プレオープンで買っていて(笑)。注目度は高いですよね。

小泉店長

SFCにこれまでなかったからこそ「焼きたてパンの店」のイメージが強いのですが、そもそもは「カフェ」なんですよね……。

—— 確かに、「焼きたてパン×コーヒー×コミュニティスペース×???」というキャッチコピーでしたもんね。

小泉店長

「パン屋」と呼ばれるのは現状のメニュー上、仕方ないのですが「コミュニティスペースとしてのカフェ」が当初の目的。パン屋色が強い今の状態から元々のコンセプト通りに伸ばしていけたらと思っています。

店名は「endores(エンドレス?)」 遠藤地区や永遠という意味を込めた造語

—— ちなみに、店名の読み方って……?

小泉店長

秘密です(笑)。

—— そこを何とか(笑)!

小泉店長

完全に造語ですが、由来としては

  • 「endo(エンドー)」
    — 学校が位置する藤沢市遠藤地区というアイデンティティ
    — 古代ギリシャ語で「内」や「中」の概念、というところからコミュニティスペースという意味での"なか"
  • 「res(レス)」
    — レスポンス等、コミュニケーションや会話が生まれる場所

という意味をくっつけた形で、続けて読めば「エンドレス」、とずっと成長し続けるカフェというコンセプトにも合う。こんな感じで、実はたくさんの想いと意味が込められています(笑)。

ロゴの意味を説明する小泉店長 ロゴの意味を説明する小泉店長

メンバーみんなで決めたけれど、読み方はSFC生の中で呼ばれた名前に自然となっていったらいいなと思います。これも、ある意味「SFCで育てる」ことだと思います。

—— ちなみに2人はなんて呼んでいますか?

滑川さん

結構、エンドレス派かな。

小泉店長

あ、僕も。

—— あれ、エンドレスに決定しましたか?!(笑)

滑川さん

Twitterで清水唯一朗先生が「遠藤す」と呼んでくれていましたよね。

小泉店長

本当にこれは、みんなが好き勝手呼んでくれたら、という感じです。

2人のおすすめのパンは?

—— 24種類のパン、こだわりはどんなところですか?

小泉店長

最初はむしろ特別こだわることよりもSFC生に馴染んでもらう意味でメニューを多く、かつリーズナブルな価格を意識しています。メニューに関しても、3週に1回ぐらい変えて、成長していくカフェ、というアイデンティティを守っていきたいです。

奥の厨房でパンを焼いている 奥の厨房でパンを焼いている

—— まだ開店して間もないですが、既に人気にばらつきはありますか?

小泉店長

売れ残りとか見るとどの味のどの種類とかいうことよりも、値段で、200円するピザは他のパンに比べて高いので残りやすかったりしますね。

24種類のパンの値段は一個当たり100-200円強。

138円はちみつバターパン、チーズ蒸しパン
168円チュロス、フライドアップルパイ
178円カリカリカレーパン、デニッシュ(クリーム/ハムチーズ/林檎クリーム)、やわらかマフィン(プレーン/チョコ)、クロワッサン(抹茶クリーム餡/桜クリーム餡/チョコ)、コーンマヨネーズ、ツナサラダパン、明太ポテトパン、三角チョコパイ、メロンパン
198円チョコチップメロンパン、メープルとチーズの林檎デニッシュ
228円ミックスピザ、てりやきチキンピザ、ベーグル(ハムオニオン/ハムトマト)

—— 逆にすぐ売れる商品もありますか?

小泉店長

チュロスですね。なんか人気なんだよね何故か。メロンパンも人気。

滑川さん

あとカレーパンも。美味しいです。

—— 即答の通り、どちらも美味しかったです! ちなみに2人のおすすめパンは?

滑川さん

僕はメロンパンですね。元々好きなので。

小泉店長

はちみつバターパン。あれはね正直かなりリーズナブル(税込138円)なのに一番うまい。生地にバターが練りこんであって中にとろ〜ッと蜂蜜が入ってる。トースターでちょっと焼くのがおすすめです。トースターの温度や時間は今絶賛実験中なので、もう少し待っててください。

参加したいというSFC生の応募は凄まじく現在34人で運営 参加したいというSFC生の応募は凄まじく現在34人で運営

コーヒーマシンも設置されている コーヒーマシンも設置されている

 きっかけは國枝研の「コミュニティスペース」

—— そもそも、このカフェが生まれるきっかけは何でしたか?

小泉店長

最初は慶應義塾生活協同組合(生協)と國枝美佳研究室が「飽和状態になっている生協スペースをどうにか使いたい」と2022年夏に始まったプロジェクトです。僕はコミュニティスペースの研究として國枝研と繋がりのある東海林研に所属しており、東海林先生から昨年秋学期に僕に声をかけていただいた形です。

当初からコンセプトは変わらないままだ(提供) 当初からコンセプトは変わらないままだ(提供)

10月ぐらいには先生から「君に任せたよ」と学生店長を任命されて、面白いに決まっている、とすぐにお受けしました。

滑川くん

僕は確か10月か11月とかに、生協の前に貼ってあったプロジェクトに関するポスターを友達と歩いてるときに見かけて「面白そう」とGoogleフォームに応募したのがきっかけです。2023年の3月までは構想というか、プロジェクトの骨格を作る段階みたいなので、基本的にZoomでミーティングを週1ぐらい頻繁に行っていました。

小泉店長

多分その時の広告こそ地味でほとんどの人が気づいていませんでしたが、内容をちゃんと伝えた今は、やっぱりSNSでも注目してくれるし、学生もやりたいって思う人が多いなと実感する瞬間でした。

ちなみに当初から関わってくれていた國枝研の人は留学生が多いのですが、春休み期間中、帰国してる人が多く結果として今は離れていますが、授業も始まったのでまた改めて関わりが再開すると思います。

滑川くんとも対面は3月が初めてでした。ただ、オンラインミーティングでは、石川初先生や小林博人先生などからもアドバイスを頂けて、ある程度の骨格ができていたからこそ、ここまでスムーズにできました。

SFC生の「声」で導入 トングやトースター

—— QRコードで気軽に投稿できる「endores掲示板」の反響はありましたか。

小泉店長

単純に感想書いてくれる人が多いです。「美味しい」とか、「何々のパンが良かった」とか。あとは、逆にメニューの要望として「あんバターサンドがほしい」など、全ては叶えられないですが、なるべく柔軟に取り入れることで、SFCで育てるカフェを形成していきたいです。

それこそ掲示板に寄せられた「トングください」「トースターで焼きたい」という声については、すぐに導入しました。もともとあったトースターだけでなく、「アラジン」という遠赤外線の性能の良いトースターだと焼くのも早く、焦げにくく、いい感じです。

エンドレス掲示板にコメントをスマホから送ることができる(提供) エンドレス掲示板にコメントをスマホから送ることができる(提供)

深夜のSFC周辺での食料調達問題に「貢献したい」

—— これからやっていきたい試みはありますか?

滑川さん

夏明けの本格オープンに間に合えば、これから導入する店内の家具の机や椅子は、学生が作ったものを導入したいと考えています。既存の家具を置くこともできますが、SFCにはFABの木材加工設備や関連授業があるので、「学生でつくること」をこれからもやっていけたらなと考えています。

小泉店長

長期的なプロジェクトを計画しているので、すぐ実現とはいかないかもしれませんが、夜ご飯の時間にもカフェを利用できるようにしたいと考えています。Hヴィレッジの寮生など、学校に住む人は増えても、夜中に食材を揃える店が限られるという問題は依然残ったままです。生協マネー(昨年度導入)システムやセルフレジを活用して、これからいつでも好きな時に利用できるように貢献できたら嬉しいです。

他には、階段を下った踊り場にも机や椅子を置き、テラス席を作りたいです。まだ想像の域ではあるけれど、僕たちが卒業しても終わらないくらい、かなり夢を広げているプロジェクトです。

SFC生に馴染みのある場所へ 一緒に成長していきたい

—— 最後に、SFC生へコメントをお願いします。

滑川さん

本当にこのプロジェクトは、実際に作りたいものを実現できるという、なかなかないプロジェクトなので、もっと多くのSFC生に関わってほしいです。モノ作り好きなSFC生を、まだまだ募集しています!

小泉店長

本当にこれは「SFC"じゃないとできない"プロジェクト」だと思います。いろんな分野に興味ある人が、いろんな道具もある環境でプロジェクトをすることが「SFCならでは」だと思います。それだけSFCにとって、勝手ながら大事なプロジェクトだと思うので、鴨池やメディアセンターなどSFC生に馴染みのある場所へと成長させていけたらなと思います。

—— 卒業しても、このパン屋さんが帰ってくる場所になったら素敵ですね。ありがとうございました!

概要

  • 営業時間
    — 11時から17時まで(生協と同様)
  • 場所
    — 生協購買部の一角
  • 値段
    — 138円から228円(プレオープン時は袋詰めされた状態で配置)
  • 支払い方法
    — 生協レジのため現金もしくは交通系IC。なお、生協のポイントなども貯まるため、購入予定者はあらかじめ生協アプリの登録などを済ませておくとスムーズだ。
  • テイクアウトのみ
    — 生協内にイートインスペースが12席予定。

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