4月21日にレモンガススタジアム平塚で日本学生個人選手権の1日目が行われ、豊田兼さん(環3)が大会新記録で制した。今回、自身初の日本一を収めた大会の振り返り、そして普段110mハードルと400mハードルの二刀流で活躍する豊田さんに両立の秘訣を伺った。

自身初の日本一を収めた豊田さん(提供写真) 自身初の日本一を収めた豊田さん(提供写真)

着実に改善を重ね、掴んだ「優勝」

—— 全日本優勝おめでとうございます! 大会を振り返って、いかがでしたか?

今回の大会はFISUワールドユニバーシティゲームズの選考が懸かっていたので、まずは目標の「優勝」を達成でき、良かったです。

—— 陸上はタイムとの勝負だと思いますが、試合中は他の選手が気になることはありますか?

基本自分は、自分の走りに集中しています。レーンも自分のレーンが与えられるので、周りを気にせず走れるのは大きいです。ですが今回の大会に関しては正直ちょっと終盤だけ、周りを気にしました。スタートで出遅れていたので、周りに遅れをとっている焦りというか、「追いつかないと!」みたいな気持ちがありました。

予選、準決勝までは着実に駒を進めるのが第一なので、できるだけ疲れないように休みつつ、予選で失敗したところを準決勝で改善して、決勝でさらに改善していきました。

大会を振り返って「ちょっとだけ周りを気にした」と語る豊田さん 大会を振り返って「ちょっとだけ周りを気にした」と語る豊田さん

二刀流の強み「選択肢を複数持っておく重要性」

—— 普段は110mハードルのほか、400mハードルと二種目を行う豊田さんですが、二刀流として意識していることはありますか?

あまり二刀流でやっている人がいないので難しいことなのかなとも思いますが、自分の中では、一回練習して試合でそれを実現できれば、その時の感覚が、保持されている感じがします。だから一旦違う種目に移っても、その前までやっていた種目の感覚はセーブされているので、次また戻った時にそのセーブポイントからスタートできる。うまく言語化できないのですが、例えるならそういうゲームみたいな感覚です(笑)。

前日練習の様子(提供写真) 前日練習の様子(提供写真)

自分は二種目ともハードルなので、技術など、共通している部分もあります。だからこそ、110mハードルでセーブしていた感覚や内容を400mハードルに活用しやすいのかもしれません。

それに加えて、僕は「二刀流」が結構好きです。ハードルだけでなく、日常生活においても、選択肢を複数持っておくことは重要だと思っています。一個の道に集中するのも大事ですけど、行き詰まった時のために逃げ道を作っておくことも必要だと思ってます。

—— 逆に、同じハードル種目でもここが違うなと感じる部分はどこですか?

400mハードルの方はハードルの高さが根本的に低い(*)ので、110mに比べたらあまり跳ぶ必要がなく、ハードルを越えるというよりは、走りの延長でただ跨ぐみたいな感じですね。
110mはちょっと高いので、400mに比べるとちゃんとクリアランス(跳び越える動作)をしっかりやらないといけないかなという感じです。

(*) 110mハードルは1,067mmに対し400mのハードルの高さは914mmという

「常に両方は考えられない」イメトレで試行も!

—— 種目やっているときはそっちに集中しているのか、それとも常に両方を考えているのか、また日常生活でも陸上のことを考えているのですか?

常に両方は考えられないし、時間もあまりないので、大会ごとに目標を設定しています。その大会でどちらに出るか決めて、それに向けての練習も、その期間は目指す種目しか考えていないです。

1日の中で走っている時間は長くても2時間、3時間くらいなので、残りの時間は全てを陸上に捧げているわけではありません(笑)。ただ寝る前はちょっとイメージして寝ることはあります。イメージトレーニングが結構好きなので、自分の上手くいくパフォーマンスを想像して寝ています。

前日の夜に、「明日はこれを試してみようかな」と良いイメージができたら、実際に次の日試すことも結構多いです。

大会前日の練習風景(提供写真) 大会前日の練習風景(提供写真)

これから目指す世界との戦い

—— 今後、世界で戦うにあたって、意識していきたいと思っていることはありますか?

世界大会に出るのが初めてなので、いまいちどういう雰囲気なのかとか、どういう選手がいるのかは分かりません。ただ自分の肉体は、筋肉やフィジカルでは負けていても、身長面で言えば世界の選手に比べても一番高いと思うので、身長では負けていません。その利点を持ちつつ、今は「勝ってやる!」という強い気持ちを持って頑張りたいです。

—— その大会は8月とのことですが、今はそれに向けて調整しているのですか?

もう一つ、僕が目指している「世界陸上競技選手権大会」の選考が直近のため、今はそちらにフォーカスしています。

—— ありがとうございました。頑張ってください!

今後について話す豊田さん 今後について話す豊田さん

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