今年度SFC構内に完成した新しい学生寮「Η (イータ) ヴィレッジ」。2021年に開寮した湘南藤沢国際学生寮と異なり、キャンパスの敷地内に位置して大学が直接運営に関わるという特徴がある。SFC CLIP編集部ではこれまでもコンセプト工事中の様子をお届けしてきたが、改めてオープンした直後の新しい学生寮「イータヴィレッジ」の施設を写真で紹介する。

キャンパス側に設けられた看板 キャンパス側に設けられた看板

キャンパスの北側、県道沿いに位置

Ηヴィレッジはθ館の北側、従来「WEST地区」と呼ばれていた空き地に建設された。キャンパス側からは「HVILL」の文字が象られた横断歩道を渡るとすぐΗヴィレッジだ。また慶育病院側の県道からもアクセスできる。

キャンパス敷地に隣接する湘南藤沢国際学生寮よりもさらに校舎に近く、「24時間型キャンパス」を活用するには最高の立地だろう。一方で、読者の皆様はご存知のようにこの地区には店舗や飲食店が限られ、駅から遠く、最終バスの時刻も早いため、生活する上で不便を感じる場面もあるだろう。

SBCにつづいてHVILL柄の横断歩道が設けられた SBCにつづいてHVILL柄の横断歩道が設けられた

共用棟 居住棟
(男女フロア別)
居住棟
(女性専用)
居住棟
(男女フロア混合)
居住棟
(男性専用)
SALT
ソルト
PAPRIKA
パプリカ
TURMERIC
ターメリック
ROSEMARY
ローズマリー
BASIL
バジル

Ηヴィレッジはスパイスやハーブから名付けられたパプリカハウス、ターメリックハウス、ローズマリーハウス、バジルハウスの4つの居住棟と、共用施設が入るソルトハウスの5つの建物で構成されている。また各棟には石川初研究室「鴨池パレット」プロジェクトの成果を活用した、SFC由来の色がシンボルカラーとして採用されている。詳しくは加藤文俊教授と塾生代表の山田健太さんによるHヴィレッジ対談記事を確認してほしい。
各棟には頭文字のロゴが掲げられている 各棟には頭文字のロゴが掲げられている

SFCらしいコンクリート打ちっぱなしの外観

居住棟は広場を挟んで4棟が設置され、それぞれ4-5フロアの居住スペースがある。外観はSFCらしくコンクリート打ちっぱなしが主だが、ベランダの手すりにガラスが使われるなどキャンパス校舎に比べて新しさを感じる部分もある。なお設計はキャンパスや秋葉台文化体育館を手掛けた槇文彦氏の槇総合計画事務所が担当し、西松建設が施工している。

広場を挟んで向かい合う居住棟 広場を挟んで向かい合う居住棟

東の「打越公園」から見上げると威容に圧倒される 東の「打越公園」から見上げると威容に圧倒される

屋外にもテラススペース等が用意されており、くつろげそうだ 屋外にもテラススペース等が用意されており、くつろげそうだ

そして、この居住棟群とキャンパスを区切るように、共用棟である「ソルトハウス」が建っている。ガラスと金属外壁が特徴的な建物だ。居住棟で暮らす学生がキャンパスに向かうときは、必ずソルトハウスの中を通るようになっている。

ソルトハウスには後述する食堂のほか、100人程度収容できる多目的室、会議室、郵便受けなどが設置されている。

金属とガラスで構成された外観 金属とガラスで構成された外観

建物の配置(SFC公式サイトより引用) 建物の配置(SFC公式サイトより引用)

なお建物としての概要は以下のとおり。

共用棟 鉄骨造 地上3階
居住棟(東) 鉄筋コンクリート造 地上5階、地下1階
居住棟(西) 鉄筋コンクリート造 地上4階、地下1階

SFC生の新しいオアシス、食堂「ソルトダイニング」

共用棟のソルトハウスには、新しい食堂として「ソルトダイニング」が設置された。朝夕は寮生のみが対象、昼食時にはSFC生に限らず誰でも利用することができ、すでに多くの学生や教職員で賑わっている。白を基調にしながら、ガラス張りの壁面と吹き抜けの空間が広がる開放的な空間だ。

メニューは日替わりになっており、定食、麺、カレー、そして4月17日からは弁当の販売も行っている。また1週間分のメニューがInstagramで公開されている。ちなみに運営元は日吉キャンパス食堂や「とんかつ新宿さぼてん」で知られるグリーンハウスのグループ企業だ。

ソルトダイニング ソルトダイニング

居住棟内の様子 共用部にはキッチン完備

居住棟は、それぞれ対象学生など特徴の異なる4棟構成になっている。今回、取材班はPAPRIKAハウス1階の、学生が入居していない一室を見学した。

居住棟に入ると、まず各棟のシンボルカラーがあしらわれた吹き抜けのホールに迎えられる。今後、この開放的な空間で各棟それぞれの「色」がうまれてくるのだろう。またこれとは別にガラスで仕切られたラーニングコモンズ(多目的室)が用意され、液晶モニターなども設置されている。遊びにも勉強にも使えそうな空間だ。

エントランスホール エントランスホール

ラーニングコモンズ ラーニングコモンズ

また各フロアには共用のキッチンとダイニングスペースが用意されている。とくにキッチンにはIHコンロとシンクのほかに炊飯器、電子レンジ、トースター、電気ケトルなどが用意されており、大抵の料理をすることができるよう準備されている。食堂が営業していないタイミングなどで、ここで仲間同士で料理をするのも楽しいだろう。

キッチン キッチン
ペンダントライトが印象的なダイニング ペンダントライトが印象的なダイニング

各ユニットは5人の共同生活の場

Ηヴィレッジでは、5人で1ユニットの部屋が基本になっている。なお、一部 (定員300人のうち20人) はユニット式ではない1人室であり、専有面積や個室設備、家賃などに違いがある。以下では基本的にユニット室について取りあげる。

ユニット室の間取り(SFC公式サイトより引用) ユニット室の間取り(SFC公式サイトより引用)

ユニット室

各ユニットの部屋には、リビングスペースのほかにシャワー、トイレ、冷蔵庫が設置されている。シャワーとトイレは清掃業者が清掃を行うということで、生活の中で一番面倒な水回りの掃除の負担が減るのは学生にとっては嬉しいだろう。

個室

寮やユニットの共用空間が充実しているためか、個室部分はかなりシンプルになっている。湘南台エリアなどのワンルームのアパートに比べると狭めだが、天井が高く窮屈感は感じにくい。

学習机は湘南藤沢国際学生寮のものに比べても幅が狭く、かわりに上に本棚が設置されている。大型のPCやモニターを設置したい場合は苦労する場面もあるだろう。また、収納に関しては写真内のクローゼットとベッド下に用意されている。プライバシー面から洗濯物を部屋干ししたい人もいるだろうが、その際には若干不便かもしれない。

また居室のインターネット設備は無線LANのみとなっている。この点は、湘南藤沢国際学生寮と同様だ。

個室の様子(超広角レンズで撮影) 個室の様子(超広角レンズで撮影)

このほか、居住棟の設備は以下のとおり。

居住棟
共用施設
エントランスロビー、ラーニングコモンズ、コミュニケーションスペース、シェアキッチン、ラウンジ、ランドリールーム、トイレ、エレベーター、駐輪場、下足入れ、Wi-Fi 完備、トランクルーム
個室設備 ベッド、デスク、チェア、本棚、クローゼット、照明、エアコン、カーテン、物干し竿など
(1人室は3点シャワーユニット、車いす対応室はトイレ・シャワー室を完備)

なお、ユニットの入り口と部屋の個室にはそれぞれ電子ロックが設置されており、この点は安心感があるだろう。また各ユニットのメンバーは必ず同性になる。

家賃

Hヴィレッジの家賃については既報のとおり、初年度ユニット室で136万1000円ほで、湘南藤沢国際学生寮に207日分の食費(※朝夕計800円を両方)を入れたものと同程度。なお金額はいずれも執筆時点のものだ。

管理費 寮費(食費込み)
ユニット室
1人室
電気料金 水道料金 インターネット使用料
246,000円/年 78,300円/月
88,300円/月
4,950円/月 3,850円/月 1,650円/月

新たな局面を迎えたSFC 将来の遠藤地区の姿とは?

自分の通うキャンパスにこのような巨大な施設が新築されるというのはめったにない経験で、入寮を予定していなくともワクワクしながら見守っていた人も多いだろう。また実際にソルトダイニングにはSFCの食環境改善にも大きく貢献してくれそうだ。

2017年に湘南慶育病院が開院、そして2021年に湘南藤沢国際学生寮がオープンするなど、SFC周辺の沿道地区は急速な発展を遂げている。ここに300人を収容するイータヴィレッジが完成したことで、相鉄の延伸を含めた地域の発展が加速してほしいと願う。

遠藤地区の景色も急激に変化しつつある。富士山はあと何年見えるのだろうか。 遠藤地区の景色も急激に変化しつつある。富士山はあと何年見えるのだろうか。

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