11月22日(水)・23(木・祝)、東京・丸の内にてOpen Research Forum 2006(以下、ORF)が開催される。昨年までの3年間は六本木ヒルズで行われたが、今年は丸の内に会場を移し丸ビル、三菱ビル、TOKIAガリレアなどに分散する形となる。今年のテーマは「現代リアル学」。出展・発表する学生はラストスパートに入った。

丸ビル

●分散する会場、街を巻き込むORFになるか
 今年の特徴は会場の分散。3つのビルで様々な形の空間を会場とする上、丸の内仲通りの街頭を利用した屋外展示や、界隈のディスプレイで放映される「丸の内VISION」の利用などもあり、多様性は昨年に比べて大きく広がりそうだ。
 だが、展示会場は丸ビル1階・3階のほか、隣接する三菱ビル、そして通りを隔てた東京ビル(TOKIA)のガレリアに、同じくセッション会場も丸ビル7階・8階の丸ビルHALLと三菱ビル10階に分かれる。目的の展示ブースやセッション会場が見つからない、という事態も起こり兼ねない。
 それぞれの移動には屋外に出て、横断歩道を渡る必要もある。逆に言えば、エレベーターでしかアクセスできない高層フロアでの開催だった昨年と比べ、街との「地続き感」は強い。丸の内仲通りを利用した実証実験など、街全体をORFのフィールドにできる可能性もあるのだ。その成否が、今年のORFの生命線と言えよう。
●今年の注目企画は?
 セッションでは、金子郁容政策・メディア研究科教授と前宮城県知事の浅野史郎総合政策学部教授の対談「知事をしてみて分かった分権社会日本の課題」や、前総務大臣の竹中平蔵グローバルセキュリティ研究所長と村井純常任理事の対談「変えた日本。変えられない日本。」などが行われ、SFCの名物教授や政治の現場に身を投じていた新旧教授が顔を並べる。
 今年の会場を生かした展示となるのが、iLogHouseだ。天井の高いTOKIAのガレリアに展開されるモデルハウスで、様々な企業・研究室の結集し、住人の生活に適応していく生活空間を作り出すという。他にも丸ビルエントランスの吹き抜けを使うなど、展示空間は華やかになりそうだ。

TOKIA

●丸の内ってどこ?
 学生には馴染みのない街、丸の内。皇居外苑と東京駅に挟まれた地区で、JRの最寄り駅は「東京」。近接する大手町や日比谷と共にビジネス街として知られている。今回のORFの会場にもなっている丸の内ビルディング(通称:丸ビル)、丸の内オアゾ、東京国際フォーラムなどの施設や、郵船ビルや文部科学省ビルなど大型ビルが立ち並ぶ。
 SFCから丸の内へのアクセスは、電車ならば小田急線と東京メトロ千代田線の乗り継ぎが便利。湘南台駅から丸ビル直結の二重橋前駅までは1時間少々で、乗り換えは代々木上原での1回だけ。もちろん、JR東京駅を利用しても丸の内南口・丸の内地下中央口から会場は直近だ。
 車では、都心環状線丸の内出口が最寄となる。ただし、丸の内出口は八重洲線外回りからのみ利用できるので注意が必要。
●来年は原点回帰?
 SFCの研究を公開するため、96年から開催されてきたORFだが、当初はSFCで開催されていた。しかし、来場者の利便性などの問題で03年からは六本木ヒルズへ。来場者数の倍増など、大きな効果をあげた。
 今年からの丸の内開催について、「六本木とは違う組織・企業交流が生まれる」ことが効果として挙げられてきた。しかし、会場が複数に分散してしまうことや、六本木より休日の人通りが少ないエリアであることなど懸念も多い。
 ただ、丸の内での開催が今回のみになる公算大。小島朋之総合政策学部長がHCD2006で「来年のORFは湘南藤沢キャンパスに戻って、HCDもいっしょにやるだろうと思う」と発言するなど、来年はSFCに戻ると予想されている。丸の内に展開されるSFCの研究、今年だけの貴重な光景になるかもしれない。