SFC Open Research Forum 2006の2日目、23日(木)13:00-14:30、丸ビル7階丸ビルホールにてセッション「変えた日本。変えられない日本。」が開催された。壇上にあがったのは竹中平蔵氏(慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所所長・前総務大臣)と村井純氏(慶應義塾常任理事)。立ち見客が出るほど客席の熱気が高まる中、古巣に帰り落ち着いた様子の竹中氏と、軽快に質問を繰り出す村井氏との、終始打ち解けたムードのトークセッションが展開された。

ORF2006

セッションは「おかえりなさいという言葉がまさにふさわしいと感じる」という竹中氏のコメントからスタートした。そして話は竹中氏が大臣に就任する直前までさかのぼり、「大臣になる1週間前、『私はアカデミズムに残ります』と僕に言っていたのに、どうして大臣になることを決意されたのか」と村井氏が聞くと「なぜ政治に参加したのか? 一言で言うなら、小泉さんのパッション」と返して会場を沸かした。

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その流れで竹中氏は、制度設計の際には民間のチェック機能が欠かせないとしたうえで、学者として政治に参加した自身の経験を活かし、今後は慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所所長として、自らがそのチェック機能を担いたいとの抱負を語った。
 その際、竹中氏は大学を「知的リソースにである場所」と定義し、「知的リソース」とはすなわち「人」であると宣言。大学では多様性を認めてこそ、知的リソースが活かされるとの持論を述べた。

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中盤、村井氏はメディアからの批判に対して、どのように乗り切ったか、と竹中氏に質問。竹中氏は自身が受けた批判を3種(何を提示してもその反対を支持する「コントラリアン的批判」、慎重に行動せよなど「永遠の真理を言う批判」、何にでもレッテルを貼って全否定する「レッテルをはる批判」)に分類し、「けっきょく、対案のない批判は意味がない」と、大方の批判には動じなかったことを明かした。しかし、なおも村井氏が「めげることはなかったのですか?」と問うと、「リーダーのパッションを感じていたから、幸せだった」とさわやかに返した。
 質疑応答では、質問に立った観客の一人が「日銀総裁になってほしい」と大胆に発言。竹中氏が「塾長に『もうどこにも行きません』と言ってしまったので、難しい」と苦笑し、客席の小島朋之総合政策学部長、冨田勝環境情報学部長、徳田英幸政策・メディア研究科委員長らSFCの教員陣を意識してか、「大学人であることに私は大変誇りを持っている」とフォローする場面も。また、学部生からグローバルセキュリティ研究所所長としての所信表明を求められ、困りながらも「義塾を含むみんなのための研究所でありたい。『Watch and Warning』というポリシーで、グローバルなイシューについてメッセージを発信したい」と語り、義塾の一員として再び活躍することを約束した。