13日(木)2限、Ω21で行われた「予算編成論」(加藤秀樹総合政策学部特別招聘教授担当)で、衆議院議員の中川昭一氏が特別講演を行った。中川氏は核兵器保有問題や動力としての原子力の可能性、国際的競争力を高める「オールジャパン」構想など、自身の主張を幅広く展開した。


 まず、中川氏は教育問題に触れ、ゆとり教育を批判。日本経済の基盤は教育であるとし、その上で、日本の学力が低下している現状を「没落路線に入っていく」と語り危機感を示した。
 続いて、中川氏は「社会を疑問視する姿勢は重要だ」とし、「(社会を疑問視すると)私は憲法改正の必要性をずっと感じている」と述べ、自身の憲法改正論を主張。従軍慰安婦に関する教科書検定問題については、「(強制連行が)あったのかなかったのか議論が割れている段階で、一方の主張のみを教科書に掲載していいのか」との見解を示した。核兵器保有問題にも触れ、「戦争を起こす起こさないと核の議論は違う。非核三原則の議論すらしないのはどうか」と述べ、諸外国とのアンバランスな関係に苦言を呈した。
 さらには原子力の動力利用について言及し、「初めて公に話すが、原子力艦船、あるいは原子力潜水艦を保有するという議論は必要だと思う」と述べ、原子力の動力研究は技術立国として必要だとする考えを表明した。また、日本のブランド力低下に危機感を示し、「(分割民営化の流れに対し)なんでも分割する必要はない。能力を結集しオールジャパンで攻めることも必要」とし、国際競争力を高めるためには産学官民の幅広い連携が必要との見方を示した。
 最後に中川氏は、目的を果たすためには様々な手段を検討する必要があるとした上で、「皆さんには幅広いチャンネルから情報を収集しうまく加工して、様々な目的に生かしてほしい」と語り、SFC生に対して期待感を示した。
【中川昭一氏・略歴】
1953年東京都出身。1978年東京大学法学部卒。銀行勤務を経て1983年衆議院議員初当選、以後当選8回。自民党要職を歴任し、1998年・2005年農林水産大臣、2003年経済産業大臣に就任。