「総合政策学の創造」(阿川尚之総合政策学部長担当)で、2度目の政策コーカスが始まった。今年のテーマはズバリ「未来創造塾は、こう創る!」。創立20周年のSFCが未来を創造していくためにするべき何かを政策パッケージとして提案、選挙を通して議論を深めていく。選挙には、授業履修者以外も条件付で参加可能だ。


 政策コーカスとは、「総合政策学の創造」において行われる模擬選挙のこと。履修者の中から立候補した4人のリーダーを中心に、それぞれ10名のブレーンを率いて「未来創造塾」すなわち「SFCの今後の在り方」について議論、政策立案を行う。昨年は立場別に政策モデルを分けたが、今回はそのような制約を設けず政策パッケージを自由な発想のもと各自設定する。
 このような取り組みの中で、新入生には民主主義への理解を深めてもらうとともに、合意形成と意見集約の難しさを体験してもらう狙いだ。また「SFCの今後の在り方」というSFC生にとって身近で密に議論できるテーマを設定することによって、参加者全体を巻き込んでいくことを目標にしている。
 9日(火)には立候補者と有権者の討論会が、そして土日を除く9日(火)-15日(月)、2時限と3時限の間に立候補者による生協前での演説も行われる予定。授業の枠を超え、キャンパス全体でSFCの今後を議論していく。
 SFC CLIP編集部では、生協前演説を前に政策パッケージを作成中のコーカスリーダー4名に、それぞれ構想中の「未来創造塾」についてお話を伺うことができた。

池田貴春さん(総1):「新たな学びの機会を創出したい」

池田さん

SFCの、上下関係によらないフラットな学習環境に着目。研究の常設展示会場や談話室の充実など、研究者たちの後姿を見て学べる環境作りを目指す。また弁論コンテストなど自分の研究を他者に伝える訓練をする場を設け、研究を伸ばすためのフィードバックを受けやすい環境を整備する。教育で最も重要なことは機会開発であるとし、チャンスの種まきをしたいと語る。

上原英則さん(総1):「SFCで世界に羽ばたける人材作りをしたい」

上原さん

問題発見・問題解決型で政策を打ち立てることを立案の柱とする。フィードバックを受けながら今ある問題点を洗い出し、その上で最大限のアプローチを行う。SFCで研究活動を行う上で、研究領域の軸が定まっている人にはさらに成長できる場を、定まっていない人に対しては刺激のある環境を提供することを目標に政策提案を行う。

福崎康平さん(総1):「日本の大学制度に衝撃を与えたい」

福崎さん

意欲的な学生たちが集まり、活発的に議論展開を行える風土のあるSFCという環境を大切にしたい。その上で学生が互いに鼓舞出来る場を設けること。共に啓発し合える環境を整備し、個々の創造性を高め包括的に物事を捉える目を養うことを目標にし、世界へ発展できる人材作りに貢献したい。SFCの未来創造塾を通して日本の大学制度に衝撃を与えたいと語る。

松尾一志さん(総1):「マルチな学びを実現したい」

松尾さん

SFCの学習の専門化を危惧。SFC開設当初の理念に立ち直り、様々な分野の知識を、ツールとして使えるような人材育成のできる環境作りを目指す。寮を中心とした学生、教授との交流で自分の中で軸となるテーマを発見できる環境を整備する。地域との交流も積極的に取り入れ、多様な立場の視野を持てる機会を創出し、マルチプロフェッショナルとしての先導者を育成できる環境にしたいと語る。
 今回は受講者以外の投票権も認められる。投票の条件は、6月9日(火)の1時限目の総合政策学の創造に出席すること。当日の授業ではθ、Ω11、ι23、τ11各教室にて討論会が開かれ、非受講者は4つの教室のいずれかで授業に参加することで投票権を得られる。投票に関する詳しい内容は講義時間内に説明されるので、投票を考えている方は出席が必須となる。
 今回のコーカスは未来創造塾の構想の中に組み込まれる予定で、授業受講者でなくとも関係のある内容といえる。副担当である清水唯一朗総合政策学部専任講師はSFC CLIPの取材に対し「興味を持たれた方は是非この機会に投票という形で、未来創造塾に参加してほしい」と語った。