9月29日(水)、伊藤雄吉さん(09年政・メ修了)が代表取締役を勤める株式会社えいごやが、2010年度グッドデザイン賞を受賞した。えいごや独自の学習方法、学習領域を作るために独自に設計された学びの空間が評価されての受賞である。今回、グッドデザイン賞を受賞したえいごやにて、伊藤雄吉さんにお話をお伺いした。


 株式会社えいごやは、伊藤さんが今井むつみ環境情報学部教授の下で認知学心理学を学び、環境情報学部3年生の時に立ち上げた学習施設だ。今回の受賞は「仕事領域-オフィス・店舗・生産関連施設」ということで、えいごや独自の学習方法、学習領域を作るために独自に設計された学びの空間が評価された。デザインに関しては、伊藤さんと、株式会社木津潤平建築設計事務所代表取締役の木津潤平さんによるものだ。

えいごやの外装

カフェを参考にした室内デザイン

大学生になる前から教育に興味があり、中高生の頃は勉強があまり得意ではなく、様々な学習塾に通った。また、親が小さな学習塾を経営しているので、その手伝いをしたり、その関係で他の教育機関の見学を行った。それらの経験が、理想的な教育機関をイメージする手助けになったと言う。そのイメージを形にしたのが、えいごや。伊藤さんが考えた教育理念を実現する為のデザインを、木津さんとイラストなどで伝え、形にしていったと言う。

えいごやの受付

受付から独自なデザイン
 デザインの際に参考にしたのは、カフェ。静かな学習スペース、例えばSFCメディアセンター内の「静かエリア」の様な場所では、周りが気になったり、ちょっとした物音でも敏感に聞こえてしまう。また、パーティションで区切られた学習スペースは閉塞感を感じる。それとはまた違う、カフェのような、明るく気持ちの良いところを参考にして、学習環境こそ求められると考えた。

学習スペース

学習スペースと棚はこのようになっている

SFCで学んだことを詰め込んだ学習塾

えいごやの学習スペースは、スチールとウッドによって作られた、格子状の棚によって区切られている。これによって、視線などを合わせることがなく、精神的な距離感が生まれるが、人の存在を感じることはできるので安心感が生まれる。また、学習スペースの天井は、天幕で吸音性に優れたものになっている。また、建物内には常時音楽が流れており、天幕天井とともにノイズや声を吸収し、周りを気にせずに英語の音読学習ができる。今回のデザインは、伊藤さんがSFCで6年間学んだ認知科学を利用したもので、棚、天井、照明など、全てのものに意味があるという。ただおしゃれである、というわけではなく、伊藤さんの教育理念が表現されている。それがグッドデザイン賞で評価された。

天幕天井

独特な天幕天井である

SFC生へのメッセージ

伊藤さん

えいごや代表の伊藤雄吉さん
 最後に、伊藤さんにSFC生へのメッセージを伺った。「SFCで、6年間使って学んだこと、そこにはひとつの流れがあります。様々な業界、領域に色々な手法で手を出していくと、実はその中に自分自身を描き出すヒントがあります。えいごやも、SFCと伊藤雄吉というものが化学反応した結果生まれてきたものです。えいごやで使われている考え方や理論は、SFCという領域で学んだことです。SFCはすごい可能性がある、すごくいい環境だと思っています。世界中の大学、いろんな人に会ったり見たり聞いたりしていますけども、SFCを超える環境ってなかなか無いです。もっともっと利用してくれればいいなと考えている。SFCで学んだことから生まれるひとつの答えがえいごやにあります。ぜひ、見学だけでなく遊びにきてください。」

二次審査の模型

小物やフィギュアは手作りとのこと
 現在、えいごやでは、グッドデザイン賞二次審査の際に展示したえいごや内装を12分の1スケールで再現した模型を展示中だ。展示は31日(日)まで行われる。また、えいごやでは、インターンシップを募集している。大学1年生から応募できる。英語力に関しては研修を通して身に付くので一切問わない。