義塾野球部は東京六大学野球リーグ慶早戦に連勝するも、続く3日(水・祝)、勝ち点・勝率で並ぶ早稲田大学との東京六大学野球リーグ優勝決定戦(プレーオフ)に敗れ、惜しくも春秋連覇を逃した。

慶早戦前のデータでは、義塾は6勝4敗2分で勝ち点3の第2位、早稲田は8勝2敗で勝ち点4の首位。義塾が優勝するには、慶早戦2試合で連勝、続く優勝決定戦で勝利するという対早稲田3連勝が求められていた。
 慶早戦第1戦が予定されていた30日(土)は台風14号が関東地方に直撃し、朝8:00に早々と中止・順延が決定。仕切りなおして翌31日は小雨が舞う中、義塾の先攻で試合開始となった。早稲田の先発は北海道日本ハムファイターズからドラフト1位指名を受けた「ハンカチ王子」こと斎藤佑樹投手。
 13:00試合開始となり、先手をとったのは義塾。1番渕上仁内野手(法4)が3球目の甘い直球を捉え、早大生で埋まるライトスタンドへ初回先頭打者ホームランを叩き込み1点先制。さらに2番、キャプテン湯本達司内野手(商4)、4番伊藤隼太外野手(環3)のヒットなどで2死満塁まで攻めるものの、7番高尾康浩内野手(商4)が遊ゴロに打ち取りられ、斎藤の前に3者残塁。
 対する義塾先発はSFCが誇る、エース竹内大助投手(環2)。変化球を織り交ぜ、得点圏にランナーを背負うものの、粘りのピッチングで早稲田に得点を許さない。2回以降は立ち直った斎藤との投げ合いで試合は膠着状態に。
 試合が再び動いたのは6回表。義塾6番青山寛史外野手(環4)がツーベースヒットで出塁すると、7番高尾康がセンター前にタイムリーヒット。貴重な1点を追加する。
 先発竹内大は7回を投げきり被安打6無失点で、右のエース福谷浩司投手(理2)にマウンドを譲る。後を受けた福谷はランナーこそ背負うものの要所を締め、2イニングを無失点。左右のエースの完封リレーで初戦の勝利をもぎ取った。
10月31日(日) 試合開始13:00 終了15:40  観衆33,000人

1 2 3 4 5 6 7 8 9
慶應義塾 1 0 0 0 0 1 0 0 0 2
早稲田 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

続く第2戦、義塾はこの試合でも先手を取る。早稲田の先発は広島東洋カープからドラフト1位指名を受けた福井優也投手。初回裏の攻撃、4番の伊藤がタイムリーを放ち1点先制。2回表に早稲田市丸大介捕手のタイムリーで追いつかれるものの、3回にこの日3番に抜擢された山崎錬内野手(商2)がライトスタンドへ運び3点を追加。早稲田福井をノックアウトし、NPB6球団からドラフト1位指名を受け、埼玉西武ライオンズが交渉権を獲得している「早稲田の絶対的守護神」大石達也投手をマウンドに引きずり出す。
 しかし、その大石から連投となる先発投手福谷が高めのストレートをジャストミート。レフトスタンドへ2ランホームランを叩き込み勝負あり。福谷は投げては1失点完投勝利を果たした。
11月1日(月) 試合開始14:31 終了17:11  観衆18,000人

1 2 3 4 5 6 7 8 9
早稲田 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1
慶應義塾 1 0 3 2 0 0 1 0 X 7

1日の休養を挟み3日(水・祝)、さわやかな秋晴れのなか、1990年秋季立教-法政以来、20年ぶりの東京六大学野球優勝決定戦(プレーオフ)が開催。慶早両校で行われる決定戦に限っては半世紀振り。球場には36,000人が詰めかけ、予定の10:00開場を1時間早めるなど、神宮球場は超満員となった。
 試合は13:00早稲田の先攻でプレーボール。義塾先発は第1戦同様、左のエース竹内大。しかし初回、打順を組み替えてきた早稲田打撃陣に捕まる。1番土生翔平、2番市丸の連打で無死1、3塁のピンチを招き、3番宇高幸治のレフトへの犠牲フライで、あっさりと先制点を奪われる。さらに早稲田の逆方向への逆らわないバッティングで単打3本を打たれ、ショート渕上のまずい守備もあり、さらに2点を失い、なお2死1、2塁。このピンチにライト伊藤が好返球をみせ、どうにか1回表の攻撃を終わらせるものの、初回3点のビハインドを背負ってしまう。
 疲れの影響からか、直球の走らない竹内大は苦しい投球が続く。3回表、早稲田6番の杉山翔大に2打席連続の安打を許すと、続く7番松永にフォアボール。ここはどうにか凌ぐものの、竹内大は3回を8安打3失点でマウンドを降りる。
 後を受けたのは義塾投手陣を束ねてきた田中宏典投手(環4)。第2戦で9回を投げきっている福谷の負担を減らすべくロングリリーフが期待されたが、5回表にピンチを招き、1回2/3を投げ、右のエース福谷にマウンドを譲る。対する早稲田先発は「ハンカチ王子」斎藤佑樹。この日の斎藤はスライダーのキレが良く、義塾は7回までノーヒット無失点に抑えられる。
 斎藤の好投からこれ以上の失点は防ぎたかったが、代わった福谷がその斎藤佑樹にタイムリーを浴び、失点。6回にも福谷が打ち込まれ、一気に敗戦ムードが漂い始めた。あとがない義塾は松尾卓征選手(環4)や山口尚記選手(商4)といったラストシーズンの4年生を送り出し、意地に賭ける。
 すると8回裏、早稲田のエラーを足がかりに2番手捕手であった松本和将捕手(総4)のチーム初ヒットが飛び出し、その後、奥橋勇斗内野手(環4)、渕上、湯本と4年生の4連打で反撃開始。だが、ピッチャーを使い果たしていた義塾は3番に入っていた金子周作投手(環1)の打順で代打を送れず、スクイズを敢行。これが失敗に終わり、3塁ランナーが憤死。打席の途中、カウント1-1から代打を送る。その後、伊藤のスリーベースヒットなどもあって反撃するも5点を返すも逆転とはいかず、最終回の攻撃に望みを託す。
 投手と捕手を使い果たしていた義塾は、正木拓也内野手(商4)が投手としてマウンドに上がり、元捕手であるが3塁手にコンバートされていた伊場竜太内野手(法3)がマスクをかぶる、急造バッテリーで9回表の早稲田の攻撃に臨むも、3失点。再び5点差まで広げられ、早稲田大石の前に力尽き勝負あり。惜しくも春秋連覇とはならなかった。
11月3日(水) 試合開始13:00 終了16:18  観衆36,000人

1 2 3 4 5 6 7 8 9
早稲田 3 0 0 0 1 2 1 0 3 10
慶應義塾 0 0 0 0 0 0 0 5 0 5

試合終了後、3塁側応援席からは大きな拍手と義塾野球部ありがとう、という声が飛んだ。敗れはしたものの絶体絶命の状況から諦めず、プロから指名された投手を打ち砕いた精神は塾生の中に深く刻まれ、また感動を与えたことは間違いない。
 彼らの中にはSFCで学ぶ仲間が数多くいる。同じ授業等で出会ったら是非ともねぎらいや賞賛の言葉をかけてもらいたい。