2日(火)、SFCにて「未来構想キャンプ」が開催された。未来構想キャンプは高校生を対象としたワークショップ(以下、WS)で、高校生らと共にSFCの求める「実行力」について考えることを目的として行われた。当日は、様々なWSが繰り広げられた。


 WSは全部で5部門で、それぞれ事前に告知されていた選考課題で選抜された人のみが受けることが出来る。どのWSも非常に個性豊かな色を見せていたので、ひとつずつ見ていこう。

WS1 :デジファブ・ワークショップ/未来のものづくり

WS1では「ものづくり」がテーマだ。高校生は「レゴを超えるおもちゃをつくる」という課題に挑戦した。教室内には様々な素材が並び、どれを選びどう使うかは全て自由だ。

アイデアをカタチにするまでのプロセスは、すべて高校生が自分の手で行う。自然の中から「モジュール」を見つけ出し、プロダクトに活かすという斬新な試みもなされていた。高校生が普段の生活では滅多に触れることのない3Dプリンターやレーザーカッターなどを楽しそうに操作し、プロダクトを作り上げる姿が印象的だった。

WS2 :リトルプレス・ワークショップ

WS2は「取材力」「編集力」「表現力」を体験的に学ぶことを目的として行われた。キャンパスで実施される他のWSを取材したうえで、実際に「かわら版」の出版を行う。半日で取材から編集までを行わなければならず、時間的制約を見据えたうえでの計画的な行動が求められた。

WS2の参加者は5つのグループに分けられ、取材から記事作成までのプロセスは、グループでの話し合いを通して進められた。最終的にすべてのグループが「かわら版」を完成させ、キャンプ終了時、他のWS参加者に自分たちの成果を配布していた。

WS3 :社会デザイン・ワークショップ ― 2040年の世界を構想する

WS3では「2040年、世界はどうなっているのか」をテーマに、社会を多様な視点から眺めるグループワークが行われた。高校生は、机の上に多くの付箋をならべ、ものごとを整理した後、様々な側面から世界を構想していった。

WSの全行程は立ったまま行われ、机の上の付箋を指差しつつ、グループ内で活発な議論が交わされていた。WSの最後には、各グループから「2040年の世界」についてのプレゼンが行われた。

WS4 :社会イノベーション・ワークショップ

WS4は「地域の活性化に向けてなにをするべきか」をテーマに、政策・計画・方向性の観点から地域活性化を考えた。WS参加者は4つのグループに分けられ、地域活性化のためになにをするのかについて、ディスカッションを行った。WSの最後には、グループ内で出た案のプレゼンテーションが行われた

付箋や模造紙を有効に使い、4つのグループそれぞれが個性のある地域活性化案を出していたのが印象的であった。

WS5 :外国語教育環境デザイン・ワークショップ

WS5は「新しい外国語教育の提案」をテーマに、外国語を「教える」のではなく「学ぶ」ための教育のありかたを追求した。高校生は、多言語教育が持ち味とされるSFCだからこそできる外国語教育のありかたを、ディスカッションを通じて考えた。

参加した高校生のほとんどは海外経験者であり、海外の教育をふまえた上で、日本の外国語教育の問題点を探っていった。WSでは、実際にタブレットPCを用いたビデオ教材が作成され、個性豊かな学習環境案がプレゼンされた。

表彰式、そして閉幕

全てのWSが終了し、最後に表彰式が行われた。表彰式ではWS内で活躍をみせた高校生に国領二郎総合政策学部長から手渡しで賞状が渡された。賞状をもらう高校生は喜色満面で、中には嬉し泣きをする人もいた。表彰は42人行われた。
 

未来構想キャンプの閉幕にあたり、高校生へのメッセージとして、国領二郎総合政策学部長は「上下の別がないSFCでカタチあるものをつくりだそう」と述べ、村井純環境情報学部長は「本当のことに接する未来構想キャンプでお互いの個性を尊重し、お互いを尊重しよう」と述べた。
 初めての試みとなった未来構想キャンプ、震災の影響を受け、教員も高校生も手探り状態での開催ではあったが、結果的には非常に魅力的なイベントになったと言えるだろう。