8月1日(水)、SFCで「未来構想キャンプ」が開催される。「未来構想キャンプ」は高校生を対象に5つのワークショップ(以下、WS)を開講し、SFCのものの見方や考え方に触れてもらうイベントだ。受験生を魅了する「未来構想キャンプ」、今年はどのようなものになるのだろうか。


 今回話を伺ったのは、加藤文俊環境情報学部教授、國枝孝弘総合政策学部教授、清水唯一朗総合政策学部准教授の3名。

(無題)


—-去年の未来構想キャンプはいかがでしたか?


 一言で言うと、すごく楽しかった。学部説明会や模擬授業等で高校生に触れあう機会はあるけれど、1日中近い距離で一緒に過ごす機会はなかなか無い。その意味で非常に楽しかった。
 また、他の教授が指導しているところを直接見ることも出来た。授業の評判は学生を通じて知ることが出来るけど、他の教授の指導法を知る機会は、実はほとんど無い。また、高校生と間近に触れあえる機会ということもあり、各教員はどうやって高校生を惹き付けて楽しませるか工夫を凝らしている。そんな授業の工夫を見るのがものすごく楽しい。
 他の教授の研究を知る機会としてOpen Research Forum(以下、ORF)があるが、未来構想キャンプは他の教授の授業を知ることが出来る「Open Teaching Forum」と言ってもいいかもしれない。高校生向けのイベントだが、教員にとっても普段は知ることのできない「先生の授業」を見ることが出来る貴重な機会だ。
 去年は國枝教授のWSが深く印象に残っている。國枝教授は未来構想キャンプにやってくる、SFCが大好きであろう高校生のことを考えてWSを行っており、國枝教授自身も楽しんでいたように見えた。創意工夫を目の当たりにして、「やられた」という感じがした。

—-今年の未来構想キャンプは、開催規模や応募状況はいかがですか?


 開催規模的には、昨年とそれほどの違いは無い。WSの数も定員も、それほど変わっていない。ただ、申込は昨年より増えている。「今年も未来構想キャンプをやりますか?」という問合せもあったと聞いている。去年はそもそも1回目の開催だったので、時間の余裕がなかった。今年は去年より余裕があって、問い合わせに応じたり、より多くの情報を公開したりする時間もあった。

(無題)


—-WSの数も定員もほとんど変えていないとのことですが、去年から変えている所はありますか?


 WSのコンテンツは変わっている。5つあるWSのうち、3つは昨年と同じテーマとなる。これら2年目のWSは、去年の経験を踏まえて改善を図っている。他の2つは新しく開講するWSなので、去年と違う体験をすることができるはずだ。
 スケジュールについても見直しをした。去年は食事やプレゼンテーションに時間を取られてしまい、全体的な余裕が無かった。そこを工夫して、もっと効率的にする。
 それぞれのWSの様子を全体でシェアする方法にも変更がある。去年は教員が閉会式でWSの内容について発表を行った。今年はよりSFCの学生目線で様子を伝えて、みんなでシェアできるように、各WSのSA・TAが閉会式にてWSの内容を発表する予定だ。

—-未来構想キャンプでは、高校生にどのような指導を行う予定ですか?


 未来構想キャンプでは、指導も授業も行わない。教員が「教える」という形式は取らないということだ。
 もちろん、「SFCではこんなことができるよ」という情報提供はするけれど、基本的には高校生主体でやってもらう。高校生と一緒に、あるトピックについて考え、問題発見をし、グループワークで問題の解決策を考える、というSFCでの学びのスタイルを実践する。「知識を与えるための授業」という高校の学びとは違う学び、実践的な大学の学びを体験できると思う。

(無題)


—-未来構想キャンプには何を期待していますか?


 とにかく「楽しくやろう」ということ。教員も、未来構想キャンプを手伝ってくれるTAやSAの皆も「楽しくやろう」という意識を共有している。教員が仕事モードで嫌々やっても楽しくないし、燃えない。
 この未来構想キャンプは、オープンキャンパスで行われる模擬授業とは異なる、普段からSFCでやっているようなWSをやる。教員は、普段の授業のWSも楽しんでやっているつもりだが、そこに高校生という触媒も加わるので、楽しい。もちろん、高校生にも楽しんでもらえるはずだ。楽しくやりつつ、SFCの学びを体験できる意味は、非常に大きいと思う。
 また未来構想キャンプは、同じ柄のTシャツを着たり、一緒にご飯を食べたりと、教員と学生との距離が非常に近い。普段の授業なら、教壇に立って教員としての自分だけを見せればいい。けれど、未来構想キャンプは、他の人間としての側面も見せることになる。それがまた、未来構想キャンプ独特なことなので面白い。
 高校生にとっても、SFCの教員に会える、SFCの学びを感じられるということのほかに、自分と同じ問題意識を持っている高校生に会えるということが大きい。自分の考えや問題意識を、似た価値観を持つ高校生と語り合うことができる。他の高校の仲間ができるということも、大きな意味があると思う。キャンプという名前を付けているくらいだから、ひとりで何かをするのではなく、みんなで共同作業をする場であって欲しいと思う。我々も楽しむ、だから仲間と一緒に楽しんでもらいたい。

 最後に3名にコメントを求めると、全員一様に「とにかく楽しくやりましょう!」と答えた。参加する高校生のみならず、SFCの教員も楽しむことが出来る「未来構想キャンプ」は、単なる大学の説明会とは全く違うものになるだろう。